メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2010年09月07日配信

第247号 ビジュアルで?『カサつきのメカニズム』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。


 とにかく「暑い!」の一言に尽きる、今年の夏。
 9月に入っても、まるで体温のような気温が続いています。

 そんな歴史的猛暑にもかかわらず、7~8月も
 読者のみなさんから、たくさんのメールを頂きました。

 汗や脂でベタつきがちな季節ですが、
 意外にも【乾燥・カサつき】についてのご相談が多かったようです。


 これまでに何度も取り上げているテーマですが、
 今回はちょっと趣向を変えて......

 言葉だけでなく、
 目に見える"ビジュアル"で!
 お肌のカサつきを解説したいと思います。

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            ── ビジュアルで? ──
  
           『カサつきのメカニズム』の秘密

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 ▼夏場も気になる「お肌のカサつき」


  ┌────────────────────────────
  |【乾燥してすごい状態です】
  | 
  | "何もつけない"をはじめて一ヶ月たちますが、
  | 肌の調子はというとニキビがなかなか治らず、
  | 肌自体乾燥してすごい状態です......。
  | 
  | ポリポリ掻くと、皮のようなものがボロボロでてきます!!
  | 
  | もともとが超オイリー肌だっただけに
  | この乾燥状態は自分でも不思議でなりません。
  | 
  | もしかして、いままでのオイリー肌は
  | 化粧品が生み出した肌の状態だったのでしょうか......。
  | 
  |                     (20代・女性)
  └────────────────────────────

  ┌────────────────────────────
  |【お肌の水分不足でしょうか?】
  | 
  | しばらく"何もつけない"を実践していましたから、
  | 顔にパックをしても痛くないのですが、
  | 毛穴の開きと涙型のたるみや顔全体のシワは
  | 増えたような気がします。
  | 
  | かさつきも気になります。
  | やはり水分不足なのでしょうか?
  | 
  |                     (40代・女性)
  └────────────────────────────
   (注:↑こちらの方は読者モニターです。
      ASVCを使っていても一次刺激性物質には勝てません)







 ▼カサついたお肌はどんな状態?


 第242号でもお話ししましたが、
 肌の滑らかさは、細胞間脂質が
 角質を強く接着することで保たれています。

 健康な角質の状態は、こちら。
 http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/07/kakuka.php


 ところが、
 一次刺激性物質である石けんやシャンプー・リンス、
 柔軟剤のついた寝具や衣類に肌が接触すると
 細胞間脂質が変性・脱脂されて接着力を失い、
 角質片が剥離して立ち上がってしまいます。

 これがいわゆる"お肌のカサつき"。
 図にすると、こんな状態になっています。

  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓
 http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/09/kasatsuki.php



 お肌が上の図のようになっているとき、
 「お肌が乾燥している」「水分が不足している」と感じるのです。
 これは、皮膚のバリア力が低下している状態でもあります。






 ▼痒みにつながることも


 細胞間脂質の働きを妨げてしまう一次刺激性物質。
 これは、接触皮膚炎を誘発する物質でもあります。


  ☆【一次刺激性接触皮膚炎とは】ーーーーーーーーーーーーーー

    原因物質の接触によって皮膚の炎症を誘発する。
    原因物質の毒性の強さによって、症状の強さが決まる。
    アレルギーは無関係なので、誰でも起こりうる。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 角質層のカサつきだけでなく、
 深部の炎症をともなう場合もあります。

 角質層がカサカサしてくると表皮細胞に異変が起こります。

 神経成長因子が放出されて、角質層に乱れが生じた部分の下に
 求心性C線維(きゅうしんせい・しーせんい)が伸びるのです。

 この痒み・痛みの神経は、
 普段は表皮と真皮の接合部で終わっているのですが、
 角質層に乱れが生じると、表皮の中にまで伸びてくるのです。

 角質層に乱れが生じた部分は過敏になり、
 痒みや痛みを感じやすくなります。

 これは、傷んだ部分を脳に知らせる
 反射的身体防御機能が働いているためです。






 ▼カサつきは誰にでも起こるもの?


 一次刺激性物質はアレルギーと無関係なので、
 接触すれば誰にでもカサつきが起こる可能性があります。

 しかし、その「症状が出る人」と「出ない人」がいるのです。
 言い換えると前者は「肌の弱い人」、後者は「強い人」となります。

 「肌の強い人」でも角質層への影響は等しくありますが、
 角質片が剥離する、あるいは炎症を起こす、といった
 目に見えるトラブルとなっては現れにくいようです。

 皮膚生理には個人差はありませんが、
 バリア力には個人差があるのです。

 季節の変わり目や生理前など、
 心身がアンバランスになりがちな時期には
 皮膚のバリア力も低下しやすくなります。
 普段は何ともなくても、そのときだけ症状が出る人もいます。






 ▼剥離は修復できる?


 細胞間脂質が変性したり脱脂されたりして
 接着力を失い、角質片が剥離して立ち上がってしまう。

 これがお肌のカサつきのメカニズムですが、
 剥離された状態から修復されるのかどうか
 気になるところです。

 修復のメカニズムは解明されていませんが、
 一次刺激性物質との接触がなければ
 剥離するべき角質片は剥離し、
 一晩で滑らかな肌に戻っています。

 例えば、飲みすぎ・食べすぎで
 肌や唇がカサついてしまっても、
 体調が整えばすぐに治まります。
 これと同じことです。

 カサつきがなかなか治まらない場合は、
 接触が続いています。

 一次刺激性物質との接触で症状が出ない「肌の強い人」は、
 修復能力が高い皮膚の持ち主ではないだろうか――。
 と、牛田は考えています。






 ▼ここまでのお話、いかがですか?


 本日初登場の白木さん。
 夏バテのせいか? ずーっとおとなしく聞いていましたね。


 「牛田さん、ひとつ再確認しておきたいことがあるんですけど......。
  角質片が剥離して立ち上がっているとき、
  お肌に化粧水や乳液をつけても意味はないんですよね?」


 良いところに気がつきましたね。

 これまでに何度もお話ししていることですが、
 読者のみなさんにも念を押しておきましょう。

 お肌がカサついているときに、
 皮膚に水分を与えても修復はできません。
 修復は内側から、体内からしかできないからです。

 いちど角質が立ち上がってしまったら、
 ワセリンで角質を肌にくっつけて誤摩化し、
 自然に剥離するのを待つのみです。


 「ワセリンは、細胞間脂質の機能が復活するまでの
  "代役"なんですね」






 ▼解決策は「接触を断つ」のみ!


 「皮膚のトラブルがなかなか改善しない」
 「お肌が乾燥している」
 「カサついている」
 「水分が不足している」

 ......こんな状態が慢性化しているという場合は、
 1つでも一次刺激性物質との接触が残っていると、
 健康な素肌を取り戻せません。

 一次刺激性物質との接触をしなければ
 乾燥やカサつきは改善します。


 実際に、非接触療法にチャレンジした方々から
 以下のようなご報告が届いています。

  ┌────────────────────────────
  |【乾燥肌が治りました】
  | 
  | 40代後半でアメリカ南部在住のものです。
  | 牛田さんのサイトを見つけたのは、今年2010年の5月で
  | それ以来『何もつけない』『小麦粉シャンプー+湯シャン』
  | を続けていますが、続けて2週間で
  | 好結果を見てびっくりしています。
  | 
  | 今まで肌に合う化粧品やシャンプーなどを捜し求めて
  | 悩んでいたのが嘘のようです。
  | 
  | 肌は元々きめが細かいほうでしたが
  | こめかみや首筋、頬のにきびが出ていたのが解消し、
  | おまけに毛穴も小さくなった上に
  | 皮脂膜のお陰で乾燥肌も治りました。
  | 
  | 顔色は、息子たちでさえ言い出すくらい
  | 一段明るくなったので、ファンデーションも極薄く、
  | で済んでいます。
  | 
  | 頭皮はサイトで紹介されていた手袋も併用し
  | 簡単・さっぱり!です。
  | 3週間くらいは髪の毛もごわごわしていましたが、
  | 今はさらさらになってきました。
  | この調子でがんばっていけそうです♪
  | 
  |                     (40代・女性)
  └────────────────────────────

  ┌────────────────────────────
  |【肌が傷んでいたのが理由とわかりました】
  | 
  | お肌は乾燥しないんですね。
  | 私は自分は乾燥肌だと思っていました。
  | 
  | "何もつけない"を始めてから、
  | 乾燥しなくなったと思っていましたが、
  | お肌が正常に近づいてきたということだったのですね。
  | 
  | 本来の肌質が乾燥肌というものだったわけではなく、
  | 日々の生活でお肌が傷んで、かさついていた
  | だけだったのだとわかりました。
  | 
  | まだまだ奥が深いです!
  | これからも色々教えてください。
  | 
  |                     (20代・女性)
  └────────────────────────────

  ┌────────────────────────────
  |【何もつけなくても潤うように】
  | 
  | 「何もつけない」を始めて約2ヶ月経ちます。
  | 以前は顔を洗ったあと、数分も経たないうちに
  | 粉をふいていた(皮剥けしていた)肌が、
  | 今では何もつけなくても潤っていて、すごく驚いています。
  | 
  | また、常に全体的にあった
  | 顔の赤みがなくなってきています。
  | 
  |                     (30代・女性)
  └────────────────────────────

  ┌────────────────────────────
  |【皮むけがなくなってきました】
  | 
  | "何もつけない"をはじめて1ヶ月半くらいになりますが、
  | 洗顔後のつっぱりが大分なくなってきて口まわりの
  | 皮むけ以外は乾燥は気にならなくなってきました。
  | 
  | ただ額に汗疹のようなものが出来て
  | ちょっと気になっていますが、
  | これも少しよくなってきたところです。
  | 
  | 何もつけないで頬に皮むけができないなんて
  | 以前の自分なら考えられないことです。
  | 
  | 以前は洗顔してすぐに化粧品を付けないと
  | 顔全体がつっぱって皮がむけていました。
  | 
  | 肌の力ってすごいですね。
  | "何もつけない"を知ることが出来て
  | よかったと思っています。
  | 
  |                     (30代・女性)
  └────────────────────────────





 ▼終わりに ~接触の影響をもっと分かりやすくお伝えするには?~


 肌のカサつき、乾燥や水分不足を感じる状態を
 ご理解いただけたでしょうか?

 一次刺激性物質と接触すると
 細胞間脂質の接着力が低下するだけでなく
 「紅斑値が上がる」という反応を伴います。

 過去の測定モニターのデータでも紹介しましたが、
 一次刺激性物質と接触すると炎症が起こるのです。


 これまで数年間にわたって
 多くの測定モニター、読者モニターのみなさんに
 ご協力をいただいて分かってきたことを、
 もう少し分かりやすく解説できないかと考えています。

 何回かのシリーズになるかもしれません。
 ご期待くださいませ。



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