メールマガジン「秘密の皮膚科学」

メールマガジン「秘密の皮膚科学」

2013年07月23日配信

第370号 取捨選択?『ちまたに溢れる美容情報』の秘密

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/07/23━☆
     健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと!

            「秘密の皮膚科学」

     第370号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆


 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。

 みなさんから毎日のように届く
 お問い合わせのメールを読んでいると、

 『ちまたには本当にさまざまな美容情報が溢れている』
 ということが、よく分かります。

 その情報の真偽が分からないまま
 振り回されてしまう......

 そんなケースが少なからずあるようで、
 ちょっと気がかりな今日このごろです。



☆------------------------------------------------------------☆

             ── 取捨選択? ──

            『ちまたに溢れる美容情報』の秘密

☆------------------------------------------------------------☆


 ▼まずは10問クイズにチャレンジ!

 
 一般的によく言われている美容情報を
 リストアップしてみました。


 さて、正しいものはいくつあるでしょうか?
 ○×で答えてみてくださいね。

 

 ┌────────────────────────────
 | 
 |     『ちまたの美容情報・○×クイズ』
 | 
 |
 | 
 | 【1】石けんは合成界面活性剤ではないので
 |    肌にやさしい
 | 
 | 【2】手を洗うとき、洗浄剤や殺菌剤を使わないと
 |    衛生上問題がある
 | 
 | 【3】合成界面活性剤を使用していない化粧品なら
 |    肌が弱い人でも問題なく使用できる
 | 
 | 【4】空気が乾燥すると、肌から水分が
 |    奪われてしまうので、保湿が必須である
 | 
 | 【5】ときどき石けんで顔を洗わないと
 |    皮脂でかぶれたり、毛穴がつまったりする
 | 
 | 【6】界面活性剤が使われていなければ
 |    オイルで保湿をしてもいい
 | 
 | 【7】洗い残した皮脂があっても、
 |    ニキビはできない
 | 
 | 【8】日焼けはシミの原因になるので、
 |    室内にいるときや冬でも、毎日紫外線対策をすべき
 | 
 | 【9】肌をこすらないことで皮膚を厚くし、
 |    丈夫にすることができる
 | 
 | 【10】たるみ対策として、
 |    クリームをつけた顔のマッサージが有効である
 | 
 └────────────────────────────






 ▼正解発表!



 白木さん、いかがでしたか?



 「×ばかりで、○がほとんどないような......?」



 そうです。

 正しいものは【7】だけ。
 それ以外はすべて×です。


 どの項目についても、
 バックナンバーで解説しています。

 詳しく知りたい方、おさらいをしたい方は
 下記のサイトでキーワード検索してみてくださいね。

 ☆何もつけない皮膚科学
  http://hisesshoku-derm.com

  ↑用語の検索は、各ページ上部の「サイト内検索」窓からどうぞ!






 ▼とくに根強い? 石けんの思い込み


 一般的によく言われている10項目を挙げてみましたが、
 なかでも『石けんは肌にやさしい』
 という思い込みが根強いようです。


 「トップクリアリキッドは合成洗剤なのに
  洗濯石けんよりオススメなのですか?」

 という質問が届くことがありますが、
 石けん洗剤を使用すると、布地に刺激物である脂肪酸が残留し、
 肌の弱い方は皮膚を傷めてしまうことが分かっています。

 脂肪酸は炎症起因物質です。

  ☆脂肪酸について:第233号 14以上は?『脂肪酸と菌』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/04/23314.php


 ◆柔軟剤、蛍光増白剤、抗菌剤が含まれていない
 ◆石けんや油脂由来の界面活性剤から
  脂肪酸が布地に残留しない


 上記2つの条件を満たす市販の洗濯洗剤は、
 「トップクリアリキッド」しかないのが現状です。

 (※ヤシ油脂肪酸アルカノールアミドなど
   油脂由来の界面活性剤を使用した洗剤も、
   遊離脂肪酸が布地に残留し肌に刺激となります)






 ▼洗濯洗剤は"生地に残らないもの"を


 「界面活性剤を使用していない洗濯洗剤や、
  トップクリアリキッドより界面活性剤の割合が
  少ない洗剤のほうがよいのでは?」


 というお問い合わせもありますが、
 洗濯洗剤は肌に直接つけて使うものではないので、
 界面活性剤が使用されていても
 布地に残留していなければ問題ありません。

 界面活性剤を含まない洗剤には
 強い洗浄力がありません。

 そのため、衣類に付着している
 落ちにくい柔軟剤や抗菌剤、
 脂肪酸を落とすことができないのです。

 洗濯洗剤を選ぶときは
 界面活性剤の配合量ではなく、

 (1)布地に残留する成分が含まれているか?
 (2)着用によって付着した
    落ちにくい一次刺激性物質を洗い落とせるか?

 という2つのポイントが重要になります。






 ▼改めて。肌とビジネスの関係


 冒頭でお話したとおり、
 私たちは毎日たくさんの情報に晒されています。

 効果のありそうな化粧品や
 便利な日用品の新製品は
 とても魅力的に見えますね。

 ただし、化粧品、日用品の市場も"ビジネス"です。
 どうしても必要と思い込ませて購入を促したり、
 不安を煽って消費を促すものも少なくありません。

 過去にこんなお話をしたこともありましたね。

  ☆第118号 つなぐ場所?『お肌とビジネス』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2007/10/118.php


 読者の方から

 「医師(あるいは大学などの研究機関)が
  ○○○という発表をしていましたが、
  実際はどうなのでしょうか?」

 というお問い合わせをいただくこともありますが......

 化粧品会社や製薬会社からの依頼で
 研究発表が行われることも、
 決して珍しくありません。






 ▼まとめ ~情報を取捨選択する基準を~


 「手軽で便利」を追求するあまり
 肌の弱い人には暮らしづらい環境に
 なってきているように感じます。

 これからも、みなさんの前には
 次から次へと新しい情報が現れることでしょう。

 新しい情報に接するときは、
 まず落ち着いて
 次の2点をご自分で考えてみてください。


 ◎本当に必要なものか?
 ◎皮膚生理に適っているか?


 そうすれば、
 真偽のあやふやな情報に振り回されることはありません。
 自分の健康を、自分で守ることができます。

 生物としての人間の皮膚は
 特別な「お手入れ」をしなくても
 健康な状態を保つことができる器官です。

 一人でも多くの方に
 皮膚生理の基本を理解し
 情報を取捨選択する基準を
 ご自分の中にしっかりと持ってほしい。

 ......と、牛田は願っています。



 ☆質問・疑問などがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  →→ http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php







メールマガジン「秘密の皮膚科学」

関連性の高い記事

【次のエントリー】
 →第371号 補足します『何もつけない紫外線対策』の秘密

【前のエントリー】
 →第369号 抜け毛?『お湯洗髪をめぐる心配』の秘密

このページのTOPへ