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2025年06月03日配信

接着力?『バリア力』の秘密 | 第847号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2025/06/03━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第847号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 先週は肌診断の「〇〇肌」についてお話しました。


 「肌のバリア力ってよく聞く言葉ですが
  具体的な定義をしているものは
  見つかりませんよね」


 そうかもしれません。
 今週はバリア力についてお話しましょうか。 

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              接着力?

          『バリア力』の秘密

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 ▼バリア力のバリア(防壁)は何を指す?


 「一般的には外部の刺激から守り、体内の水分を
  保持する役割と説明されていますが」


 そうですね、白木さん。

 皮膚の角質層は、死んだ細胞の角質を何層も重ねて
 その隙間を細胞間脂質で接着しています。

 よく使われる例えが、角質をレンガに、
 細胞間脂質をモルタルに例えていますね。


 図はこちら↓
 https://hisesshoku-derm.com/archives/2010/07/kakuka.php


 バリア力というのは
 この「細胞間脂質の接着力」に左右されると
 牛田は考えています。

 このメルマガで、皮膚トラブルに悩む人を
 肌の弱い人と説明してきましたが......。

 『細胞間脂質の接着力が低下しやすい人』です。

 じつはバリア力についてはすでに15年前に
 取り上げています。

 ここを読めば皮膚のバリアが何かがわかります。


 ☆第247号 ビジュアルで?『カサつきのメカニズム』の秘密
 https://hisesshoku-derm.com/archives/2010/09/247.php


 「牛田さん、いきなり終わってしまいました......」


 いえいえ。
 せっかくですので振り出しの15年前に戻りましょう。




 ■振り出しに戻ると?


 「接着力が低下......」


 白木さん、まあまあ。

 バリア力が低下しやすい人が接触をしないほうが
 よいのはこんな化粧品や日用品でしたね。

 ◇洗浄剤
  洗顔フォーム・石けん・クレンジング・ボディソープ

 ◇基礎化粧品
  化粧水・乳液・美容液・クリーム・ジェル

 ◇シャンプー・リンス、トリートメント、整髪料

 ◇メイク用品
  一次刺激性物質(界面活性剤・シリコン)配合の下地・
  ファンデーション・コンシーラー・チーク・アイシャドウ・
  口紅・マスカラ・アイブロウ・アイライナー

 ◇日焼け止め
  日焼け止めクリーム・日焼け止めパウダー

 ◇一次刺激性物質が布地に残留する洗濯洗剤
  柔軟剤・蛍光増白剤・シリコン・抗菌剤・アルカリ剤
  石けん・油脂由来の界面活性剤が配合されているもの

 ◇抗菌剤配合の浴槽洗剤
 ◇除菌・消臭スプレー
 ◇クリーニングに出した衣類


 よくご存知の通りです。

 『細胞間脂質の接着力が低下しやすい人』が
 炎症起因物質との接触で皮膚のバリア力が低下して
 さまざまな症状が現れるのです。


 「一方で接触してもバリア力が
  低下しない、症状が現れない人もいる......」


 はい。




 ■バリア(防壁)を守るには?


 「バリア力が低下しやすくなる原因は
  他にもありますか?」


 じつは内的な要因もあります。
 ストレスや体調によって
 接着力が低下しやすい時期があります。

 季節の変わり目にカサついたり、
 ニキビができやすかったりすることがありますね。

 これは接着力が低下しやすいときに
 炎症起因物質と接触したことで
 バリアが破られてしまった状態です。


 「バリア力が低下しやすい状態でも
  接触がなければバリアは
  機能しているんですよね」


 その通りです、白木さん。




 ▼症状別発症機序に戻ります


 今日はバリア力のお話をしました。
 
 もともと自然界にはバリア力を低下させる
 化学物質がありませんでした。


 「だから昔の生活に戻るといいんですね」


 そうですね、白木さん。

 炎症起因物質との接触がなければ
 バリアが破られやすい人も、トラブルを起こすことがなく
 生活することができるのです。


 一般的に言われる肌タイプ、
 「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」
 「混合肌」「敏感肌」

 そして各症状、
 ニキビ、毛穴の開き、酒さ・赤み、毛孔性角化症、
 しわ、カサつき・乾燥、
 肌荒れ、アトピー性皮膚炎、痒み 

 これらがどのような発症機序なのか
 バリア力の話を前提に、改めて
 これから症状別に振り返っていきますね。

 流れを変えて症状別に発症機序を解説すると
 対策も自ら講じることができる、のでは。
 と思案しました。




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  https://jstcd.or.jp/contact/


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