メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2013年08月27日配信

第374号 "指定"のワケ 『洗濯洗剤の切り替えを!』の秘密(1)

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/08/27━☆
     健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと!

            「秘密の皮膚科学」

     第374号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。

 前回はステップ1アンケート、
 3回目の集計結果をお知らせしました。

  ☆第373号 推奨の洗剤?『ステップ1アンケート(3)』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2013/08/373.php


 アンケート結果にもあらわれていましたが、
 
 8つの生活習慣の1つである
 【肌に触れる衣類や寝具は指定の洗剤で洗う】が
 なんとなく後回しになりがちのようです。

 そこで、今回から3回にわたって
 洗濯洗剤を指定のものへ切り替えることの重要性を
 お知らせしたいと思います。




 注:トップクリアリキッドは2019年4月24日のリニューアルで指定洗剤でなくなりました。

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            ── "指定"のワケ ──

         『洗濯洗剤の切り替えを!』の秘密(1)

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 ▼指定の洗剤とは?

 非接触研究会では、
 肌に触れる衣類・寝具の洗濯洗剤として
 『トップクリアリキッド』
 を指定しています。

 (これまで"推奨"という表現を使っていましたが、
  洗濯洗剤の重要性をお伝えするため
  文言を改めました)

 この銘柄を指定する理由は2つ。



  ◆柔軟剤、蛍光増白剤、抗菌剤が含まれていないこと

  ◆石けんや油脂由来の界面活性剤から
   脂肪酸が布地に残留しないこと

 今回はその中身を詳しくお話しいたします。



 ▼界面活性剤が入っていてもいいの?

 「牛田さん。
 トップクリアリキッドにも
 界面活性剤が含まれていますよね。
 それでも肌の弱い人が使って大丈夫なのでしょうか?」
 界面活性剤が一次刺激性物質であることを知っている方は、
 白木さんと同じ疑問を持つかもしれませんね。

 まずは、
 洗濯洗剤に含まれる界面活性剤が
 どのような働きをしているのか解説しましょう。



 ▼界面活性剤のはたらき

 衣類や寝具の線維には、皮脂や剥離した角質片が
 「汚れ」として付着します。
 洗濯洗剤は、
 皮脂の脂分を落とすために強めの界面活性力が必要です。

 また、アルカリ性にすることで
 付着している角質片にタンパク変性を起こし
 汚れを落としています。

 柔軟剤や抗菌剤、蛍光増白剤も
 強めの界面活性力がなければ
 落とすことができません。

 つまり、界面活性剤は
 洗濯洗剤が充分な洗浄力を発揮するために
 欠かせない成分なのです。

 ちなみに、
 シルクやニットなどの繊維はタンパク質です。
 アルカリ性の洗剤を用いると、生地そのものが
 タンパク変性を起こして傷んでしまいます。

 そのため、おしゃれ着用の洗濯洗剤は中性なのです。



 ▼洗剤選びのポイントは【生地に残留するかどうか】

 「汚れを落とすために
 界面活性剤が必要であることは分かりました。
 でもやっぱり、界面活性剤は
 肌によくないものですよね......?」

 白木さんが言うように、
 界面活性剤は一次刺激性物質であり、
 肌に刺激を与えるものです。

 トップクリアリキッドなら大丈夫、
 と勘違いされている方も多いようなのですが、
 この製品も、素肌でじかに触れれば
 肌はタンパク変性を起こしてしまいます。

 ただし、
 洗濯洗剤は水で洗い流すもの。
 化粧品のように肌に直接つけて使うものではありません。

 界面活性剤が含まれていることや
 その割合が多い・少ないということよりも、

 【水ですすいだあとの生地に
 一次刺激性物質が残留するかどうか】
 が重要なのです。



 ▼生地に一次刺激性物質が残留していると、どうなる?

 洗濯後の布地に残留して
 肌を傷めてしまう一次刺激性物質には、
 次のようなものがあります。

 ┌────────────────────────────
 | 
 | ◆【柔軟剤】
 |
 |  柔軟剤は、界面活性剤の皮膜で繊維を覆い、
 |  布地のすべりを良くし、風合いを保ち
 |  手触りを柔らかくしています。
 |  柔軟剤はタンパク変性作用がある炎症起因物質であり、
 |  肌の弱い人は、皮膚も皮膚常在菌も影響を受けます。
 |  柔軟仕上げ剤の主成分は、陽イオン界面活性剤です。
 |
 | ◆【抗菌剤】
 |
 |  抗菌作用とは、タンパク変性作用を意味します。
 |  炎症起因物質であり、肌の弱い人は、
 |  皮膚も皮膚常在菌も影響を受けます。

 | ◆【蛍光増白剤】
 |  蛍光増白剤は布地をコーティングする染料の一種です。
 |  肌の弱い方には刺激となることがわかっています。
 |
 | ◆【石けん・油脂由来の界面活性剤】
 |  石けんやヤシ油など油脂由来の界面活性剤を
 |
 |  使用したものは、洗濯後の布地に脂肪酸が残留します。
 | 脂肪酸は、炎症起因物質です。
 

 | ◆【粉末タイプの洗剤や、重曹などのアルカリ剤】
 |  粉末タイプの洗剤、重曹などは
 |  水温が低いと溶け残りがあり、
 |  布地に微粉末が残留してしまいます。

 └────────────────────────────





 ▼第三者機関でも「布地には残留しない」

 かつて、洗濯洗剤には成分の表示義務がありませんでした。
 そのため、開発室では独自に臨床テストを実施。
 肌の弱い人がさまざまな洗濯洗剤を実際に使用し、
 使えるかどうかの判定をおこないました。

 そして、
 肌の弱い人が使える市販の洗濯洗剤は、
 トップクリアリキッドしかない、という結果に。

 2011年11月、
 日本石鹸洗剤工業会が成分情報開示の
 自主基準を制定し、これまで確認できなかった
 洗濯洗剤の全成分が表示されるようになりました。


 トップクリアリキッドの全成分も公表され
 実は脂肪酸が配合されていることが明らかに。

 そこで開発室では
 第三者機関に成分分析を依頼。

 ☆第三者機関による分析試験成績書
  http://jstcd.or.jp/dataroom/2012_5_10_certificate/

 布地には脂肪酸が残留しないことが分かりました。
 肌の弱い人による臨床テストの信頼性が高いことも
 確認できました。

 皮膚科医と開発したという洗濯洗剤や
 敏感肌用といわれる洗濯洗剤にも、
 一次刺激性物質が含まれていました。


 ▼まとめ ~ 付加価値よりも、肌への影響を ~





 今回は、
 トップクリアリキッドを指定する理由を
 お話しました。

 白木さん、いかがでしたか?

 「パッケージや香りでなんとなく選びがちな洗濯洗剤ですが、
  肌に影響を及ぼすものであることを
  しっかり自覚しなきゃいけませんね!」

 ええ。
 いまは肌へのやさしさを謳ったコピーや
 華やかな香りなどで
 さまざまな付加価値をつけている商品が主流ですね。
 
 トップクリアリキッドは単価が安く
 売り場効率が悪いせいか
 店舗に置かないドラッグストアもあるようなのですが、
 ぜひがんばって見つけてくださいね。

 次回はお問い合わせの多いテーマ、
 「石けんと合成洗剤」
 についてお話いたします。

 どうぞお楽しみに!



 ☆質問・疑問などがありましたら、

  お気軽にどうぞこちらへ。
  →→ http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php








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