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2025年06月18日配信

なぜ起きる?『乾燥肌』の秘密 | 第849号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2025/06/17━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第849号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 847号では肌のバリア力についてお話をしました。
 白木さん、覚えていますか?


 「はい!これまで使ってきた『肌の弱い人』は
  『細胞間脂質の接着力が低下しやすい人』という
   ことでしたよね」


 その通りです。

 今週から〇〇肌の各症状の発症機序を
 シリーズで、バリア力の視点から
 振り返ってみましょう。

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            なぜ起きる?

          『乾燥肌』の秘密

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 ▼シリーズ最初は乾燥肌です


 肌タイプ診断には
 普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌、
 敏感肌がありましたが。

 乾燥肌は、バリア力が低下しやすい人だけが
 起こす症状です。普通肌の人には無縁の症状です。


 「乾燥肌は水分不足って一般的には説明されていますが」


 見た目の感覚表現ではそう考えられますが。
 実際は角質片の剥離した状態で、
 乾燥しているわけではないのです。

 保湿をしっかりしましょう、と
 アドバイスがされることが多いですが。
 皮膚は外側から水分を補うことはできない、でしたね。





 ▼なぜ起きる?


 「細胞間脂質の接着力が低下すると
  起きるということですか?」


 はい。

 細胞間脂質が変性・脱脂されて
 接着力が低下し、角質片が剥離して
 立ち上がっている状態でした。

 ☆角質のかさついた状態の図
  https://hisesshoku-derm.com/archives/2010/09/kasatsuki.php


 「めくれているからカサカサして
  見えているんですね」


 そうなんです、白木さん。

 ただ、角質片の剥離はまだ表面的なもの。
 バリアは破られていませんから、角質層の
 下には変性物質は侵入していません。


 「だからまだ炎症は起こしていないんですね」


 はい。

 ただ、細胞間脂質の接着力が失われ、
 角質層の下に変性物質が到達してしまうと
 バリアが破られて炎症が起きます。

 細胞が炎症を起こすことによって
 組織防衛のメカニズムが起動します。

 バリアが破られると、痛みを伝える
 神経線維(C-線維)が
 角質層直下まで伸びてきます。

 そして異常が起きている場所を知らせるのですね。


 ☆異変を知らせるメカニズムの図
  https://hisesshoku-derm.com/archives/2007/06/piripiri.php


 「先ほどのカサつきより深刻そうですね」


 そうですね、白木さん。

 痛みの神経が感じる弱い痛みが
 かゆみであると考えられています。

 (C-線維はかゆみを伝える神経という
 説もあります)





 ▼バリア力の基本のメカニズムでした


 乾燥肌は『細胞間脂質の接着力が
 低下しやすい人』だけに起きています。

 乾燥ではなく角質片の剥離、
 それも自然な剥離でなく、異常剥離です。

 日々繰り返されている自然な剥離は
 気づきませんが。

 不自然な剥離ですから異常剥離です。

 接着力を低下させるものは一次刺激性物質でした。


 「まずは原因を取り除くことですね」


 そうですね。白木さん。
 いつも通りのお答えになりますが。

 バリアの構造図を記憶にとどめておいてくださいね
 『異常剥離』は繰り返し出てきますので。

 次回は何肌を解説しましょうか。
 ご希望があればお知らせくださいませ。




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  https://jstcd.or.jp/contact/

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