メールマガジン「秘密の皮膚科学」

2010年07月06日配信
第242号 似てる?『角質と角栓』の秘密
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサーの牛田専一郎です。
今日は白木さん、しきりに鼻をこすっています。
せっかく独自配信が始まったっていうのに、
相変わらず落ち着きがありませんねぇ。
「鼻の感触がザラザラしてるんです。
早く家に帰って角質を取りたい~!!」
......角質?
白木さん、それは【角栓】ですよ!
コスメプロデューサーの牛田専一郎です。
今日は白木さん、しきりに鼻をこすっています。
せっかく独自配信が始まったっていうのに、
相変わらず落ち着きがありませんねぇ。
「鼻の感触がザラザラしてるんです。
早く家に帰って角質を取りたい~!!」
......角質?
白木さん、それは【角栓】ですよ!
☆------------------------------------------------------------☆
── 似てる? ──
『角質と角栓』の秘密
☆------------------------------------------------------------☆
▼ザラザラの正体は「角質」?「角栓」?
「角質」と「角栓」の区別がついていないのは、
白木さんだけではないようです。
マーケットスタイル開発室には、
こんなお問い合わせが届くことがあります。
┌────────────────────────────
|◇【手ぬぐいを使わない方が良いのでしょうか?】
|
| こんにちは。モニター継続中の○○と申します。
| 未だかつて、お肌のお手入れについて、
| これ程効果を実感したことはありません。
|
| 今まで化粧品に費やした労力とお金は
| なんだったのでしょうか......!
| この一言に尽きる思いです。
|
| さて、日々の経過の中、迷ってはHPを読み返して
| 励んでいる次第なのですがひとつ疑問が出てきました。
|
| お肌のざらつきを感じたら、お風呂でよく温まった後
| そっと手ぬぐいで撫でると良いとあったので、
| 最近肌状態が落ち着いてきた私は早速試してみたのですが、
| 確かに劇的というくらい、肌がさっぱり滑らかに!
|
| しかしその後、バックナンバーに下記の記述を見つけて
| 戸惑っているところです。
|
| =============(以下引用)==========================
|
| ▼角質のサイクル
|
| 皮膚の使命、それは「身体の内側を守ること」です。
| 外界の刺激が入ってくるのを防ぎ、
| 身体の内側の水分が出て行くのを防いでいるのです。
|
| 角質は、その「壁」にあたる役割をしています。
| 防御壁となり、お肌を密閉しているのです。
|
| 死んだ細胞が下から押し上げられ、
| 角質となって表面に壁を作る。
| 身体の内側を守り、役目を終えたら剥がれていく。
|
| これが、角質の自然なサイクルです。
|
| ☆第20号 これでツルツル? 『顔剃り』の秘密
| http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/03/20.php
|
| =============(以上引用)==========================
|
| ......と、いうことは。
|
| 我慢出来るのであれば、手ぬぐいを使わずに
| 自然に剥離するのに任せていたほうが良いのでしょうか?
| と同時に、身体も頭皮も
| 手ぬぐいは使わないほうが良いのでしょうか?
|
| 恐れ入りますが、御教示頂ければ幸いです。
|
| (40代・女性)
└────────────────────────────
この方がおっしゃっている"お肌のざらつき"。
その正体は「角栓」です。
しかし文中で引用しているのは「角質」について述べた箇所。
つまり、「角栓」と「角質」を混同されているようなのです。
ここでおさらいをしましょう。
「角栓」は、毛穴の角質がちょっと多めに剥離して
お肌の一番上まで押し上げられたもの。
皮脂と角質でできています。
角栓について、詳しくはこちらでどうぞ。
☆第66号 『角栓』の秘密(2)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/03/66.php
☆お肌のザラザラ、ガサガサした手触りが気になります
http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/09/q5.php
▼角質をコントロールする美容法?
さて、ここからは「角質」のお話をしましょう。
「角質」は、角質層で壁の役割をしています。
最近では、この角質に関連して
肌をこすらない、角質を育てる、肌を厚くする......などなど
さまざまな情報・美容法が噂になっているようです。
その1【角質を育てる?】
┌────────────────────────────
|
| 「○○○○スキンケア」という方法にトライしています。
| これは「肌をとにかくこすらないで7週間、
| 角質を育てて自然にはがれるのを待ちましょう」
| というスキンケア法です。
|
| この「こすらない、はがさない、待つ」という考えは
| 「秘密の化粧品」とも共通ではないかと思うのですが、
| ○○○○スキンケアでは石けんによる泡洗顔をしています。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 数週間前からなにもつけないを実行しており、
| 顔にあってもお湯のみで洗ってきました。
|
| にきび等も少なくなり、非常に調子がいいのですが
| 洗顔をして肌が濡れると、なにやら
| 白い垢のようなものがついています。
|
| 角栓というには大きく、フケのようなものが
| ピタッとくっついているのです。
| これについても、牛田様のおっしゃるように、指もしくは
| 手ぬぐい等でぬぐってしまってもよいのでしょうか。
|
| 実は、別のサイトで同じようなことが起きている方の
| 質問を拝見したところ、これは未熟な角質であり、
| これを取ってしまうと、更に未熟な角質が
| 外部に露出してしまうため、とってはだめ、
| むしろ育てろというようなくだりが書いてありました。
|
| (20代・男性)
└────────────────────────────
その2【皮膚を厚くする?】
┌────────────────────────────
|
| ネットで「○○○○」という美容法を見つけて、
| 今実践しています。
| 基本が「こすらず、保湿」という考え方で、
| 角質を育て、皮膚を厚くして強くしようという方法です。
|
| 保湿している点と、徹底的に肌をこすらない点以外は
| 「何も付けない」と同じだと思います。
|
| (20代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 赤みがなかなか消え無かったのですが、
| 顔をタオルでごしごしこする癖があり、
| この1週間はこすらないように我慢しています。
|
| 顔をこすらないようにすると、
| 角質が厚くなっているような気がします。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
その3【角質・皮脂の蓄積がニキビの原因に?】
┌────────────────────────────
|
| 汚れは洗顔なしでは落とせず、落としきれなかった
| 角質や皮脂は蓄積され、毛穴詰まりを起こし、
| ニキビを誘発させる恐れもあると聞いたのですが。
|
| (20代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 3~4日のターンでガサガサの表面(角質?)が
| 手ぬぐいで取れます。
|
| お肌のターンオーバーを考えると、
| 3~4日は早すぎると思うのですが、
| 毎日ガサガサを取り除くと下で作られている
| 新しいお肌に悪影響でしょうか。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
これまでにもお話してきましたが、
皮膚という器官には、
身体の中身を守るという大切な役割があります。
何時いかなるときも
この"バリア機能"を低下させないために、
皮膚には様々なバックアップ体制が備わっています。
例えば、
角質層に異常剥離や乱れが生じたときに、
痒みを伝える神経C線維が引き寄せられるのも、
バックアップのひとつです。
(かゆみの仕組みについては、こちらでお話ししています)
☆第102号 『ピリピリのメカニズム』の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2007/06/102.php
皮膚は、生命維持の最前線を担う臓器。
意思の力の及ばない、不随意の臓器でもあります。
お問い合わせのメールにあるように、
意図的に角質の厚さを変化させることができるでしょうか?
おそらく不可能だと考えられます。
▼皮膚のメカニズムを確認しましょう
皮膚の断面はこんな風になっていましたね。
☆皮膚の断面図
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/post-5.php
角層は肌の一番外側にあり、体内を守る働きをしています。
角層の中身は角質、セラミド、コレステロール、脂肪酸。
角質以外の3つを細胞間脂質と呼びます。
厚さは0.02mm。食品ラップと同じくらいです。
角質は角層内で壁の役割をし、
細胞間脂質は接着剤の役割をして
角質の剥離を止めています。
お問い合わせのメールには、
「角質を育てる」「皮膚を厚くする」といった表現がありましたが......
実際のところ、角質はどのように形成されるのでしょうか。
そのプロセスをみていきましょう。
☆角化の過程
(基底層→有棘層→顆粒層→角質層まで)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/07/kakuka.php
1.基底層で分裂した細胞は、
上層の有棘(ゆうきょく)層に移行します。
2.有棘層では、角質細胞の素となる
ケラチンと呼ばれるタンパク質を作りながら
顆粒層に向かって移動します。
3.有棘層から移動してきた細胞は、水分を失い
扁平な形をした顆粒細胞になります。
4.顆粒細胞は、角質層の細胞間脂質の素を放出して
核など細胞内の器官も無くなります。
角質層は、ケラチン線維になった角質と
細胞間脂質の層です。
細胞間脂質は、角質を強く接着していますが、
表面に近づくと少なくなり接着力を失い、角質は剥離します。
表皮には血管が無く、
基底層で分裂した細胞は栄養の補給なしで、
遺伝子のプログラム通りに角化を繰り返しています。
▼接触が「接着剤」の働きを妨げる
角質が細胞間脂質によって適切に接着されていれば
皮膚のバリア力は保たれます。
しかし、一次刺激性物質と接触すると、
接着剤は変性して機能が低下してしまいます。
皮膚は、表皮と真皮、皮下組織のコンビネーションによって
衝撃や摩擦を和らげる機能を持っています。
表層の角質層は、信じられないくらい強い組織です。
すぐに角層が破れてしまうようでは
体内を守るという、本来の役目が果たせないからです。
皮膚を軽くこすったくらいでは、
角質が剥がれてしまうことはありません。
(ただし、赤みが残るほど強く擦りすぎれば傷ついてしまいます)
▼どんなときも「皮膚生理に忠実に」
角質層の厚さは、手や足などの部位によって異なりますが、
意図的に厚くしたり薄くしたりすることは
おそらくできないでしょう。
(強い圧迫を繰り返すと肘、膝は肥厚し、手、足には
タコやマメができる、という防御反応もありますが)
こすりすぎて角質層が薄くなれば
痒みや痛みで異常を知らせますし、
こすらないだけでは自然な剥離は制御できそうもありません。
表面に見える角質層だからこそ、
本来の役割と健康な状態を妨げない
美容法やお手入れをお薦めします。
ニキビや炎症のある部分は
こすらないようにすることはもちろんですが、
健康な肌であれば、手ぬぐいで軽くこする程度では
ダメージを受けることはありません。
角栓ができることは代謝ですから自然なことです。
毛穴や角栓が気になる時は、お風呂でよく温まった後
鏡を見ながら指先でやさしくこすってみましょう。
肌の弱い方は、
新しい美容法を試したり、
石けん洗顔や保湿をしたりする、その前に。
その目的が皮膚生理に適っているかどうか、
冷静に考えて判断してくださいね。
☆牛田への感想・コメントなどがありましたら、
お気軽にどうぞこちらへ。
→ http://jstcd.or.jp/contact/
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
☆編集後記☆
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
☆編集後記☆は独自配信のみでお届けしております。
独自配信版のメルマガをお読みいただくには、
お申し込みをしていただかなくてはなりません。
大変お手数ですが、下記のフォームから
メールアドレス等のご登録をお願いいたします。
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=himituco
「秘密の化粧品」の読者のみなさんと続けている
「牛田プロジェクト」は→< http://jstcd.or.jp/>
メルマガ「牛田プロジェクト」先週のパスワードは?
ワールドカップ8強
ヨーロッパチームの11番3点セット!
(アリエン・ロッベン =オランダ代表 )
(ジョアン・カプデビラ =スペイン代表)
(ミロスラフ・クローゼ =ドイツ代表)
次号の「牛田プロジェクト」は7月8日配信予定。
ご登録はこちらから→< http://jstcd.or.jp/mailmagazines/ >
── 似てる? ──
『角質と角栓』の秘密
☆------------------------------------------------------------☆
▼ザラザラの正体は「角質」?「角栓」?
「角質」と「角栓」の区別がついていないのは、
白木さんだけではないようです。
マーケットスタイル開発室には、
こんなお問い合わせが届くことがあります。
┌────────────────────────────
|◇【手ぬぐいを使わない方が良いのでしょうか?】
|
| こんにちは。モニター継続中の○○と申します。
| 未だかつて、お肌のお手入れについて、
| これ程効果を実感したことはありません。
|
| 今まで化粧品に費やした労力とお金は
| なんだったのでしょうか......!
| この一言に尽きる思いです。
|
| さて、日々の経過の中、迷ってはHPを読み返して
| 励んでいる次第なのですがひとつ疑問が出てきました。
|
| お肌のざらつきを感じたら、お風呂でよく温まった後
| そっと手ぬぐいで撫でると良いとあったので、
| 最近肌状態が落ち着いてきた私は早速試してみたのですが、
| 確かに劇的というくらい、肌がさっぱり滑らかに!
|
| しかしその後、バックナンバーに下記の記述を見つけて
| 戸惑っているところです。
|
| =============(以下引用)==========================
|
| ▼角質のサイクル
|
| 皮膚の使命、それは「身体の内側を守ること」です。
| 外界の刺激が入ってくるのを防ぎ、
| 身体の内側の水分が出て行くのを防いでいるのです。
|
| 角質は、その「壁」にあたる役割をしています。
| 防御壁となり、お肌を密閉しているのです。
|
| 死んだ細胞が下から押し上げられ、
| 角質となって表面に壁を作る。
| 身体の内側を守り、役目を終えたら剥がれていく。
|
| これが、角質の自然なサイクルです。
|
| ☆第20号 これでツルツル? 『顔剃り』の秘密
| http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/03/20.php
|
| =============(以上引用)==========================
|
| ......と、いうことは。
|
| 我慢出来るのであれば、手ぬぐいを使わずに
| 自然に剥離するのに任せていたほうが良いのでしょうか?
| と同時に、身体も頭皮も
| 手ぬぐいは使わないほうが良いのでしょうか?
|
| 恐れ入りますが、御教示頂ければ幸いです。
|
| (40代・女性)
└────────────────────────────
この方がおっしゃっている"お肌のざらつき"。
その正体は「角栓」です。
しかし文中で引用しているのは「角質」について述べた箇所。
つまり、「角栓」と「角質」を混同されているようなのです。
ここでおさらいをしましょう。
「角栓」は、毛穴の角質がちょっと多めに剥離して
お肌の一番上まで押し上げられたもの。
皮脂と角質でできています。
角栓について、詳しくはこちらでどうぞ。
☆第66号 『角栓』の秘密(2)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/03/66.php
☆お肌のザラザラ、ガサガサした手触りが気になります
http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/09/q5.php
▼角質をコントロールする美容法?
さて、ここからは「角質」のお話をしましょう。
「角質」は、角質層で壁の役割をしています。
最近では、この角質に関連して
肌をこすらない、角質を育てる、肌を厚くする......などなど
さまざまな情報・美容法が噂になっているようです。
その1【角質を育てる?】
┌────────────────────────────
|
| 「○○○○スキンケア」という方法にトライしています。
| これは「肌をとにかくこすらないで7週間、
| 角質を育てて自然にはがれるのを待ちましょう」
| というスキンケア法です。
|
| この「こすらない、はがさない、待つ」という考えは
| 「秘密の化粧品」とも共通ではないかと思うのですが、
| ○○○○スキンケアでは石けんによる泡洗顔をしています。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 数週間前からなにもつけないを実行しており、
| 顔にあってもお湯のみで洗ってきました。
|
| にきび等も少なくなり、非常に調子がいいのですが
| 洗顔をして肌が濡れると、なにやら
| 白い垢のようなものがついています。
|
| 角栓というには大きく、フケのようなものが
| ピタッとくっついているのです。
| これについても、牛田様のおっしゃるように、指もしくは
| 手ぬぐい等でぬぐってしまってもよいのでしょうか。
|
| 実は、別のサイトで同じようなことが起きている方の
| 質問を拝見したところ、これは未熟な角質であり、
| これを取ってしまうと、更に未熟な角質が
| 外部に露出してしまうため、とってはだめ、
| むしろ育てろというようなくだりが書いてありました。
|
| (20代・男性)
└────────────────────────────
その2【皮膚を厚くする?】
┌────────────────────────────
|
| ネットで「○○○○」という美容法を見つけて、
| 今実践しています。
| 基本が「こすらず、保湿」という考え方で、
| 角質を育て、皮膚を厚くして強くしようという方法です。
|
| 保湿している点と、徹底的に肌をこすらない点以外は
| 「何も付けない」と同じだと思います。
|
| (20代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 赤みがなかなか消え無かったのですが、
| 顔をタオルでごしごしこする癖があり、
| この1週間はこすらないように我慢しています。
|
| 顔をこすらないようにすると、
| 角質が厚くなっているような気がします。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
その3【角質・皮脂の蓄積がニキビの原因に?】
┌────────────────────────────
|
| 汚れは洗顔なしでは落とせず、落としきれなかった
| 角質や皮脂は蓄積され、毛穴詰まりを起こし、
| ニキビを誘発させる恐れもあると聞いたのですが。
|
| (20代・女性)
└────────────────────────────
┌────────────────────────────
|
| 3~4日のターンでガサガサの表面(角質?)が
| 手ぬぐいで取れます。
|
| お肌のターンオーバーを考えると、
| 3~4日は早すぎると思うのですが、
| 毎日ガサガサを取り除くと下で作られている
| 新しいお肌に悪影響でしょうか。
|
| (30代・女性)
└────────────────────────────
これまでにもお話してきましたが、
皮膚という器官には、
身体の中身を守るという大切な役割があります。
何時いかなるときも
この"バリア機能"を低下させないために、
皮膚には様々なバックアップ体制が備わっています。
例えば、
角質層に異常剥離や乱れが生じたときに、
痒みを伝える神経C線維が引き寄せられるのも、
バックアップのひとつです。
(かゆみの仕組みについては、こちらでお話ししています)
☆第102号 『ピリピリのメカニズム』の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2007/06/102.php
皮膚は、生命維持の最前線を担う臓器。
意思の力の及ばない、不随意の臓器でもあります。
お問い合わせのメールにあるように、
意図的に角質の厚さを変化させることができるでしょうか?
おそらく不可能だと考えられます。
▼皮膚のメカニズムを確認しましょう
皮膚の断面はこんな風になっていましたね。
☆皮膚の断面図
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/post-5.php
角層は肌の一番外側にあり、体内を守る働きをしています。
角層の中身は角質、セラミド、コレステロール、脂肪酸。
角質以外の3つを細胞間脂質と呼びます。
厚さは0.02mm。食品ラップと同じくらいです。
角質は角層内で壁の役割をし、
細胞間脂質は接着剤の役割をして
角質の剥離を止めています。
お問い合わせのメールには、
「角質を育てる」「皮膚を厚くする」といった表現がありましたが......
実際のところ、角質はどのように形成されるのでしょうか。
そのプロセスをみていきましょう。
☆角化の過程
(基底層→有棘層→顆粒層→角質層まで)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/07/kakuka.php
1.基底層で分裂した細胞は、
上層の有棘(ゆうきょく)層に移行します。
2.有棘層では、角質細胞の素となる
ケラチンと呼ばれるタンパク質を作りながら
顆粒層に向かって移動します。
3.有棘層から移動してきた細胞は、水分を失い
扁平な形をした顆粒細胞になります。
4.顆粒細胞は、角質層の細胞間脂質の素を放出して
核など細胞内の器官も無くなります。
角質層は、ケラチン線維になった角質と
細胞間脂質の層です。
細胞間脂質は、角質を強く接着していますが、
表面に近づくと少なくなり接着力を失い、角質は剥離します。
表皮には血管が無く、
基底層で分裂した細胞は栄養の補給なしで、
遺伝子のプログラム通りに角化を繰り返しています。
▼接触が「接着剤」の働きを妨げる
角質が細胞間脂質によって適切に接着されていれば
皮膚のバリア力は保たれます。
しかし、一次刺激性物質と接触すると、
接着剤は変性して機能が低下してしまいます。
皮膚は、表皮と真皮、皮下組織のコンビネーションによって
衝撃や摩擦を和らげる機能を持っています。
表層の角質層は、信じられないくらい強い組織です。
すぐに角層が破れてしまうようでは
体内を守るという、本来の役目が果たせないからです。
皮膚を軽くこすったくらいでは、
角質が剥がれてしまうことはありません。
(ただし、赤みが残るほど強く擦りすぎれば傷ついてしまいます)
▼どんなときも「皮膚生理に忠実に」
角質層の厚さは、手や足などの部位によって異なりますが、
意図的に厚くしたり薄くしたりすることは
おそらくできないでしょう。
(強い圧迫を繰り返すと肘、膝は肥厚し、手、足には
タコやマメができる、という防御反応もありますが)
こすりすぎて角質層が薄くなれば
痒みや痛みで異常を知らせますし、
こすらないだけでは自然な剥離は制御できそうもありません。
表面に見える角質層だからこそ、
本来の役割と健康な状態を妨げない
美容法やお手入れをお薦めします。
ニキビや炎症のある部分は
こすらないようにすることはもちろんですが、
健康な肌であれば、手ぬぐいで軽くこする程度では
ダメージを受けることはありません。
角栓ができることは代謝ですから自然なことです。
毛穴や角栓が気になる時は、お風呂でよく温まった後
鏡を見ながら指先でやさしくこすってみましょう。
肌の弱い方は、
新しい美容法を試したり、
石けん洗顔や保湿をしたりする、その前に。
その目的が皮膚生理に適っているかどうか、
冷静に考えて判断してくださいね。
☆牛田への感想・コメントなどがありましたら、
お気軽にどうぞこちらへ。
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*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
☆編集後記☆
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ヨーロッパチームの11番3点セット!
(アリエン・ロッベン =オランダ代表 )
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(ミロスラフ・クローゼ =ドイツ代表)
次号の「牛田プロジェクト」は7月8日配信予定。
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