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2022年05月10日配信

化粧品と日用品?『総まとめテキストの紹介』の秘密 | 第708号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/05/10━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第708号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさんこんにちは。
牛田専一郎です。


 「牛田さん、先日公開した
  医師向けの説明資料、好評でしたね!」


 嬉しいことに、続きが読みたいというお声を。

 今日はテキストの中から
 「化粧品」と「日用品」を紹介しましょう。
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           総まとめ?

       『これまでの知見をテキストに』の秘密

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 ▼化粧品の基礎知識から紹介


 皮膚の知識、化粧品や日用品の知識は
 別々に語られることが多く、セールス用ではない
 情報を得ることが難しくなっています。


 「これまでの研究で、化粧品や日用品が
  皮膚生理にどんな影響を与えるか、が
  はっきりしたんですね」


 そうですね、白木さん。
 それを理論だけでなく実際のデータで
 蓄積することができました。

 まずは、化粧品の知識のお話です。


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 化粧品の成分

 肌の一番の役割は体内を守ることです。
 身体の一番外側で、紫外線や細菌・ウイルス、
 化学物質などの侵入を防ぎ外的刺激から体内を守っています。

 つまり、肌は体内に何も入り込ませない機能を持っているといえます。
 そのため、化粧品であっても泥水同様に、
 肌にしみこませたくないのです。


 ○薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の
  確保等に関する法律)との関係

 薬機法(昭和35年8月10日 法律第百四十五号)に
 規定する、化粧品の定義は次のとおりです。

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 化粧品(薬機法第2条第3項)

 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、
 美化し、魅力を増し 、容貌ぼうを変え 、又は
 皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、

 身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で
 使用されることが目的とされている物で、
 人体に対する作用が緩和なものをいう。

 ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号
 又は第3号に規定する用途に使用されることも
 併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

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 「肌は化粧品すらしみこませたくないからこそ、
  何もつけないのが一番負担が少ないんですね」


 そういうことです。

 とはいえ、ここまでは化粧品についての
 定義を含めた基礎知識のお話でした。

 重要なのは、ここから。

 おそらくこの点は知らない方も
 多いのではないでしょうか。


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 化粧品は効能・効果を表現できず、
 求められているのは安全性です。

 化粧品が浸透して何らかの効果を発揮するのであれば、
 生化学的に細胞に影響を与えているということ=薬理作用が
 あるということになります。従って副作用の疑いが
 発生していることになります。

 行政の立場から化粧品は皮膚に浸透しては
 いけないものとされています。

 なお、薬事法では、PRに「浸透」という表現を使う場合は
 「角質層まで」と但し書きをすることを義務づけています。
 従って化粧品は肌内部には浸透せず、角質層までです。

 ただし、医薬部外品は肌内部にしみ込むものもあり、
 効能を表記することができます。故に、美白の
 効果効能は医薬部外品となります。

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 「う~ん。そもそも化粧品は
  効果があってはいけないんですね......」


 はい。ふだんの生活では
 詳しくは知ることがない法律かもしれませんね。





 ▼日用品の基礎知識


 続いて日用品です。

 ここでは洗濯洗剤を取り上げています。


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 1)洗濯洗剤の種類と影響

 洗濯洗剤が肌荒れの原因になることは、
 一般的にはあまり知られていません。

 洗濯洗剤は、界面活性剤そのものです。
 肌に塗るものではありませんが、
 洗濯後の衣服に界面活性剤などの成分が
 残留していると、接触性皮膚炎の原因となります。

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 ◆洗濯洗剤の種類

 【粉末】
 粉末タイプの洗剤、水温が低いと溶け残りがあり、
 布地に微粉末が残留してしまいます。残留した微粉末は
 肌に刺激となりますので使わないようにしましょう。

 【固形】
 固形タイプの洗剤も粉末タイプ同様に水温が低いと
 溶け残りがあり、布地に残留してしまいます。
 残留したものは肌に刺激となりますので使わないようにしましょう。

 【液体】
 液体タイプの洗剤。柔軟剤や抗菌剤等の成分が
 配合されていると布地に成分が残留します。

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 「ドラッグストアなどで販売している
  洗剤はどれを使っても避けられないですね」


 はい、そうなんです。
 そのため、研究会では肌の弱い人が
 使える洗濯洗剤を開発しました。


 「ちなみに、洗濯洗剤のどんな成分が
  肌にどんな影響をもたらすのでしょうか?」


 それについても、細かくまとめてありますよ。


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 ◆洗濯洗剤に含まれる成分と肌への影響

 洗濯洗剤には、様々な成分が含まれています。
 衣類の汚れを落とすための成分が肌へ悪影響を
 及ぼすこともあります。

 【柔軟剤】

 柔軟剤は、界面活性剤の皮膜で繊維をコーティングします。
 それにより布地のすべりを良くし、風合いを保ち
 手触りを柔らかくしています。

 柔軟仕上げ剤の主成分は、陽イオン(カチオン)界面活性剤です。
 すすぎをしても布地の表面を成分が覆っています。
 柔軟剤は一次刺激性物質です。
 肌の弱い人は、使わないようにしましょう。

 【抗菌剤】

 抗菌剤は一次刺激性物質なので肌の弱い人は
 使わないようにしましょう。

 【蛍光増白剤】

 蛍光増白剤は布地をコーティングする染料の一種です。
 一次刺激性物質なので肌の弱い人は使わないようにしましょう。

 【界面活性剤】

 洗剤の主成分です。衣類や寝具の線維には、
 皮脂や剥離した角質片が「汚れ」として付着します。
 洗濯洗剤には、皮脂の脂分を落とすために強めの
 界面活性剤が含まれています。

 詳細は次項目「界面活性剤の種類」参照。

 【アルカリ剤】
 粉末タイプの重曹などのアルカリ剤は
 水に溶けにくく、布地に微粉末が残留してしまいます。
 アルカリ剤が残留した衣類や寝具に肌が触れると、肌に刺激となります。

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 「そういえば洗濯洗剤にも
  いろいろありました......」


 そうですね。
 肌に刺激があるものをここまで特定するのには
 時間がかかりました。

 さまざまな洗濯洗剤で洗濯したもので
 どんな影響が出るのか、実際に肌に長時間接触させて
 様子を見たりしましたね。





 ▼おわりに ~感想をお待ちしています~


 長くなりましたので、今日はここまで。

 ご感想は→→ https://jstcd.or.jp/contact/


 ◆アンケート調査を継続中です

 前回ご協力をお願いいたしました、
 肌の悩み4区分にたくさんのご返信をいただきました。
 ありがとうございます。

 アンケートの内容は
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 皮膚科的に疾患は下記の4区分に
 分けられるとお話しました。

 1.ニキビ、毛穴の開き、酒さ・赤み、毛孔性角化症
 2.シミ・くすみ、肝斑、黒ずみ
 3.しわ・カサつき、乾燥
 4.肌荒れ、アトピー性皮膚炎、痒み


 それぞれ、
 1は脂腺、汗腺などの付属器疾患、
 2は色の問題、
 3は乾燥からくる症状で炎症までまだ起こしていないもの、
 4は炎症を伴うもの、です。

 当てはまる症状はありますか?

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 調査を継続中です。
 よろしければ番号でお知らせくださいね。
 メッセージもお待ちしています!

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