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2022年08月24日配信

スキンケアの一般常識?『医師用テキスト』の秘密 | 第720号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/08/23━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第720号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 今日からは一般に言われている
 スキンケアの実際についてお話します。


 「非接触生活とは真逆の情報に
  気持ちがゆらぐことがありますよね」


 そうですね。
 医師用のテキストでも世間の常識が
 ひっくり返っていますよ。
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          スキンケアの一般常識?

         『医師用テキスト』の秘密

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 ▼肌にやさしい石けん?


 今回は石けんがテーマです。


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 6.スキンケアの一般常識

 1)石けんについて
 (1)家庭用品品質表示法の石けんの分類

  経済産業省が管轄している法律のひとつに、
  『家庭用品品質表示法』というものがあります。

  ●家庭用品品質表示法とは――
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   家庭用品品質表示法は、一般消費者が
   製品の品質を正しく認識し、
   その購入に際し不測の損失を被ることのないように、
   事業者に家庭用品の品質に関する表示を適正に
   行うよう要請し、一般消費者の利益の保護することを目的に、
   昭和37年に制定されました。
  ( https://www.meti.go.jp/product_safety/producer/system/13.html
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  家庭用品品質表示法の中では、
  「合成洗剤」と「石けん」を
  区別する表示方法を示しています。

  これが、『石けんはお肌にやさしいもの』と
  一般消費者に誤認させる原因のひとつになっているようです。

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 「たしかに合成洗剤は肌に悪い、
  石けんはやさしいという思い込みは
  ありますよね」


 ええ。
 そのイメージは法律から作られていたのですね。





 ▼石けんは環境にやさしい?


 石けんの特徴について書いています。


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 (2)石けんの特徴と脂肪酸の皮膚刺激性

 ・石けんの特徴

  石けんは水で分解してしまう性質を持っています。
  そのため、環境にやさしいと解釈されてきました。

  また、法律の区分により石けんが界面活性剤では
  ないような伝えられ方をすることもあります。

  しかし、石けんは脂肪酸とアルカリを
  化学反応させることによってできた、界面活性剤です。

  界面活性効果のある物質が皮膚や
  細胞に接触すると、たんぱく変性が起こります。

  また、洗い流した後にも遊離脂肪酸が
  肌に残り刺激となることがわかってきています。

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 ・脂肪酸の皮膚刺激性

  脂肪酸がニキビや毛穴の黒ずみの原因という
  報告は複数されています。(注:参照論文)

  一般に石けんに使われる脂肪酸はラウリン酸(C12)、
  ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、
  ステアリン酸(C18)などです。

  それぞれCの数に注目してみると石けんに
  使われている脂肪酸の炭素数は、
  12~18のものが主体ということが分かります。

  炭素数が12以下の場合は強い刺激性があり、
  14以上は刺激性は弱くなると言われています。

  (参照:日本石鹸洗剤工業会「せっけんメモシート(4)
  石けんはこうしてつくられる...脂肪酸の種類と性質」)

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 「脂肪酸...炭素数...」


 白木さんが沈黙してしまいました。

 ちょっと難しいかもしれませんね。
 なんとなくわかっていただければ大丈夫です。
 まだ少し、炭素数のお話は続きます。


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 また、炭素数が14以上の脂肪酸でも皮膚の刺激と
 なるというデータもあります。

 ※参照:『ザックス有害物質デ-タブック』N.Irving Sax、
   Richard J.Lewis,Sr.〔著〕藤原鎮男/監訳(丸善、初版、1990)
   129頁、38頁、446頁、595頁、643-644頁、648頁

 「神奈川県環境科学センター化学物質安全情報提供システム」
    http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/kisnet/menu.asp)
  ※現在は削除されています。

 脂肪酸は炭素数の多い少ないにかかわらず
 刺激性があると示されています。

 一般的に石けんはパーム核油とパーム油、
 牛脂とヤシ油等を混合して製造されています。

 これらの油脂には、炭素数の少ない脂肪酸が含まれています。
 (参照:『新界面活性剤』堀口博 三共出版(1975)p274)

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 石けん成分やヤシ油など油脂由来の界面活性剤を
 使った洗濯洗剤で洗濯しているモニターは、
 皮膚トラブルがなかなか改善しないという事例があります。

 非接触生活では、洗顔時の石けんの使用だけでなく、
 石けん成分や油脂由来の界面活性剤を使用した
 洗濯洗剤も使わないよう指導し、改善した事例があります。

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 「結局脂肪酸には刺激性があると
  いうことですね!」


 結論はそういうことですね。


 「でも目に見えないのに
  肌や布地に残留してるってどうして
  わかるんですか?」


 それは実際の経過写真や
 測定数値の臨床からわかってきたんですよ。





 ▼次回のテーマは?


 今回はスキンケア編の石けんについての
 テキストをご紹介しました。

 白木さん、いかがでしたか?


 「よさそうなイメージに
  惑わされてはいけないですね」


 そうですね。
 肌への影響はてきめんに
 表れますから。

 次の化粧品の一般常識は
 「保湿」「紫外線」です。




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