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2022年07月05日配信

シャンプー代替品?カラーリング?『医師用テキスト』の秘密 | 第716号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/07/05━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第716号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 前回からお湯洗髪の方法についての
 医師用テキストを紹介しています。


 「洗髪については、非接触生活の中でも
  疑問や悩みが多い項目ですよね」


 そうですね、白木さん。

 今回はシャンプーの代わりに使えるものや、
 カラーリング後の対策です。

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       シャンプー代替品?カラーリング?

       『医師用テキスト』の秘密

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 ▼使ってさっぱり?シャンプー代替品


 お湯洗髪を始めた方から
 よくいただくご質問。

 それは、

 「シャンプーの代わりに使ってもいいものは?」

 です。


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 ◆代替品を使った洗髪について

 ○洗髪に使用できないもの

  【お酢洗髪】

  お酢の酸は"酢酸"です。
  pHが2.5~3.5くらいと強酸です。
  お酢は酢酸の酸と、うま味成分からできています。

  そのためその作用には疑問があり、結論からいうと
  お酢でシャンプーをしても意味がありません。

  洗髪後にお酢でリンスをしている場合があります。
  アルカリ性のシャンプーならば、酸で中和する
  効果は期待できるかもしれません。

  しかし、今の一般的なシャンプーは酸性水で
  すすぐことに意味は見出せません。

  石けんシャンプー後に石けんカスを酸で中和する
  (金属石けんを脂肪酸にもどす)ためにお酢が
  使われることもあります。

  肌の弱い人はアルカリや
  脂肪酸で肌を傷めることがあります。
  石けんシャンプーは使わないようにしてください。

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  【ガスール】

  ガスールというモロッコの粘土があります。
  洗浄剤の代替として使用する方がいます。

  肌の弱い方には、ガスールが赤みや
  カサつきの原因となります。


  【重曹・シカカイ】

  洗浄剤の代替として、様々な物を使って身体や髪、
  顔を洗う方がいます。重曹、シカカイなどのハーブなど。

  顔、身体や髪の汚れはお湯で落とせますので、
  こうした代替品は、使う意味がないばかりか、
  中には肌に刺激となってしまうものもあります。

  肌の弱い方は使用しないようにしましょう。

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  ○おすすめの代替え品

  【小麦粉シャンプー】
  髪を洗うときの代替品としておすすめ
  できるのは小麦粉シャンプーです。

  (ただし、小麦粉アレルギーの方は使用をお控えください)

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 「シャンプーを使うことに慣れてきたから
  代わりに何か使ってさっぱりしたいですよね」


 その気持ちはわかりますが......。

 意味がないものや肌を傷めるものも
 多いので、注意してくださいね。





 ▼カラーリング後のダメージを減らすには


 「カラーをすると髪や頭皮がとても
  傷むイメージがありますが......」


 そうですね。
 ですが染めた後の対応次第で
 そうしたダメージを減らすことができますよ。


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 (3)白髪染め、カラーリング後

  【白髪染め】

  現在のところ、肌の弱い方におすすめできる
  白髪染めは、ありません。髪を染めるものですから、
  当然ながら頭皮や肌に負担がかかります。

  肌にやさしいことを謳っている製品にも
  一次刺激性物質が使用されていますので、
  週に1度、あるいは2週間に1度くらいの頻度で
  使用すればどうしても肌が傷んでしまいます。

  白髪の伸びた部分にだけ、2週間に
  1回カラーリングをしている実践者は、
  紅斑値(肌の赤み・炎症をあらわす数値)が
  上昇し続けた事例があります。

  ヘナは天然物質ですが、添加物として
  一次刺激性物質が含まれている場合があります。
  ヘナの利用で紅斑値が上昇した事例があります。

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  【カラーリング後の洗髪】

  白髪染めやカラーリング剤を使った後、
  「髪を洗うと色落ちする」「髪の手触りが
  つるつるしている」、

  こんな状態が続く間は白髪染めや
  カラーリング剤に含まれる一次刺激性物質
  (シリコンなど)にコーティングされた状態です。

  そのため髪が触れる部分の肌に
  影響が出てしまいます。カラーリング後の
  影響を少しでも小さくするために
  3つのポイントに気をつけましょう。


  1.髪をいつもより時間をかけて丁寧に洗う

  白髪染めをした後は、お湯または小麦粉シャンプーで
  丁寧に洗います。洗い流した白髪染めの成分が
  体に接触しないように洗面器にお湯をため、
  綿手袋を使って時間をかけて洗いましょう。

  充分な時間があれば、お湯に色がつかなくなる
  程度までお湯を変えて洗います。
  最後はシャワーでよく洗い流しましょう。


  2.1週間程度は枕カバーを毎日変える

  白髪染めに含まれる一次刺激性物質や
  シリコンは髪を洗ってもすぐには落ちません。
  1週間程度は髪に付着しています。

  髪の触れた枕カバー、寝具カバーが肌に触れると
  その部分に赤みが出たり、カサついたり、
  ニキビができたりします。

  カラーリングの影響が出続ける1週間程度は
  寝具カバーを毎日洗うか新しいものに取り替えると
  影響を小さくすることができます。


  3.ヘアブラシを指定の中性洗剤で洗う

  シャンプー・カラーリングをした髪を
  とかしたブラシには、一次刺激性物質が付着しています。

  髪に付着した一次刺激性物質が落ちても
  ブラシを洗っていなければ、髪をとかすたびに
  一次刺激性物質が付着することになります。

  ブラシは指定の中性洗剤でよく洗いましょう。

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 「カラーリング後はどうしても数値に
  影響が出てしまうんですよね」


 はい。

 カラーリングを短期間で繰り返すと
 炎症が治まる時間がなく、
 炎症状態が続いてしまいます。

 できるだけ頻度を減らせるといいですね。
 そして適切な対策をすれば、
 肌トラブルを長引かせずに済みます。





 ▼診察室での時間は限定されますが


 「ところで医師向けのテキストにここまで
  詳しく書くのは、先生が患者さんに
  聞かれた場合を想定しているんですか?」


 そうできるといいのですが......。

 実際には診察室で患者さんに質問されて
 答える時間のある医師は少ないと思っています。

 ただ、知っているのと知らないのでは大きな
 違いがありますから、テキストでは
 これまでの知見をすべてまとめています。


 まだまだ実践編の身近なテーマが続きます。
 お楽しみに。




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