メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2011年06月21日配信

第282号 色素沈着はじわじわと?『数値で見る肌の変化』の秘密(3)

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。

 前回、前々回と
 長期間の肌測定データをご紹介してきました。


  ☆第280号 赤みが増すのはどんなとき?『数値で見る肌の変化』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2011/06/280.php

  ☆第281号 シミを改善するには?『数値で見る肌の変化』の秘密(2)
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2011/06/281.php


 シリーズの締めくくりとなる今回は
 測定歴3年以上のベテランモニター、
 2名の事例をご紹介します。


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           ── 色素沈着はじわじわと? ──

           『数値で見る肌の変化』の秘密(3)

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 ▼ベテランモニターの事例・その1 ~M.Mさん(40代・女性)~


 M.Mさんは2007年2月に測定モニターに参加されて以来、
 ほぼ毎月欠かさず測定にいらしてくださる
 ベテランモニターです。

 先月(5月)で、測定回数は49回になりました。

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 ○2008年にご紹介した際のデータ&写真はこちら。
  http://jstcd.or.jp/casephotos/2008_1_24_mm/

 ●Mさんの「その後」の経過はこちらでどうぞ!
  http://jstcd.or.jp/casephotos/2008_1_24_mm/

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 白木さん、リンク先のデータをご覧になって
 いかがでしょうか?


 「各箇所で数値が激しく上下していますね!」


 ええ。
 4年もの歳月を重ねると、いろいろあるものですね。

 
 どんなことがあったときに紅斑値が大幅に上下したのか、
 その背景を見てみましょう。


 ◆【紅斑値が30以上上がったとき】

  ○市販のおしゃれ着洗いを使用
  ○マスカラを使用
  ○旅行に行った
  ○使い捨てマスクを使用
  ○ASVCでピンポイントパックをしすぎた
  ○友人宅へ行った
  ○髪をロングにしてからよく触るようになった(※)
  ○洗えない衣類との接触
  ○汗の影響

  (※......牛田からちょっと補足)

   見落としがちな間接接触ですが、
   影響が意外に大きいことがわかる数値です。
   手についた抗菌剤や柔軟剤は、手から髪、髪から顔へと
   付着していきます。


 ◆【紅斑値が大きく下がったとき】

  ○中性洗剤を切り替えた
  ○漂白剤、週1の洗顔料の使用をやめた
  ○マッサージをやめた
  ○洗顔前にティッシュで手をぬぐうようにした
  ○髪を触らないようにした

 (補足)
 ※ティッシュには加工がされているため、現在使用はおすすめしていません。
  手に付着している一次刺激性物質を落とすときは、手ぬぐいや指定のペーパータオルで
  手をぬぐうようにしましょう。(2012.7.23)




 ベテラン測定モニターのMさん。
 今ではほとんどご自分で、数値が上下している理由を
 見つけることができるようになりました。






 ▼小さな上昇が積み重なると?


 以前はおすすめできるおしゃれ着洗いがなかったため、
 Mさんは市販の衣類用中性洗剤を使用していました。

 また、除菌・消臭成分配合の漂白剤も使用していました。

 目の下の数値を見ると、
 おしゃれ着洗いの使用を始めた
 23回目の測定(12月)から27回目(翌年4月)まで、
 毎月、30に満たない数値ながら
 じわじわと上昇していることが分かります。

 使用前の22回目の数値と比べると、
 上下はあるものの、
 各箇所で数値が上がっています。
 (目の下(+99)、額(+103)、頬(+61))


 そのことに気づいたMさんは
 測定後のアンケートに、こんなふうに記入してくださいました。

  ┌────────────────────────────
  |◆【ちょっとした刺激を軽視していたのかも】
  | 
  | ヘアスタイル、肌着や服、化粧など
  | 女性にとってはエンターテイメント重視で、
  | 大きなトラブルがない限り軽視してしまいがちです。
  | 
  | 今回おしゃれ着洗いを長く使用し、
  | ジワジワと確実に悪化したので、大きな勉強になりました。
  |
  └────────────────────────────

 中性洗剤を切り替えた翌月の測定では、
 紅斑値が大きく下がっています。






 ▼接触を断たなければ、やがて色素沈着に


 Mさんの目の下や頬の数値を見ると、
 うっかり接触を繰り返すうちに
 だんだんとメラニン値が上がっていることが分かります。

 炎症を起こしている部分を守るために、
 皮膚は防御反応として
 メラニン色素を増やしているからです。

 接触を繰り返していると、肌の内部の炎症が治まらず
 炎症性の色素沈着を起こしてしまう可能性が高まります。

 原因を見つけて接触を断てば、
 紅斑値はすぐに下がりますが、
 メラニン値はすぐに下がることはありません。

 メラニン色素が表皮上層に上がり、
 角質となって剥離するまで時間がかかるからです。

 メラニン値を下げるには、
 再び炎症を起こさないよう
 紅斑値が低い状態を保つことが大切です。






 ▼ベテランモニターの事例・その2 ~U.Tさん(30代・女性)~


 2008年の7月に測定を開始したUさん。

 以前、洗濯洗剤を切り替えて
 紅斑値が大きく下がったところまでご紹介しました。


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 ○2009年にご紹介した際のデータ&写真はこちら。
  http://jstcd.or.jp/casephotos/2009_3_30_ut/

 ●Uさんの「その後」の経過はこちらでどうぞ!
  http://hisesshoku-ryouhou.com/archives/2011/06/20110621_ut.html

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 Uさんのグラフにも変動がありますが、
 紅斑値が大きく上昇したときの背景を見てみましょう。


 ◆【紅斑値が30以上上がったとき】

  ○海外旅行で日焼け(紫外線対策なし)
  ○ストレッチ時のタオルとの接触(※)
  ○洗えないクッションとの接触
  ○美容院へ行った


  (※......牛田からちょっと補足)

   ご自分のタオルだけトップクリアリキッドで
   洗濯してあっても、共用のストレッチマットには
   他人の衣服やタオルの柔軟剤等が付着しています。
   そのため、タオルを介して間接接触をしてしまうことがあります。






 ▼屋外スポーツの紫外線の影響は?


 Uさんは、マラソンやゴルフなどをするため
 長時間を屋外で過ごすことが多いそうです。

 そんなときも日焼け止めを使用せず
 長袖の服と帽子で紫外線対策をしているとのこと。

 7回目の測定は沖縄でのフルマラソンに参加した4日後、
 8回目の昨年5月は、30kmを走った後の測定でした。

 数値を見ても、特に日焼けの影響は現れていないようですね。






 ▼まとめ ~ ちょっとした接触、のつもりでも ~


 今回はベテランモニターの事例をご紹介しました。

 ●M.Mさんのデータ
  →自分ではわずかな接触のつもりでも
   大きな影響が現れるということ。

 ●U.Tさんのデータ
  →長時間、屋外でスポーツをしても影響がないこと。

 をそれぞれ読み取っていただきたいのですが、
 お二人ともASVCを使っていますので
 改善するときの数値の変動幅が大きいことが特徴です。



 さて、ここまで3回にわたって
 長期間の肌測定データを見てきましたが
 白木さん、いかがでしたか?


 「一次刺激性物質と接触することで肌が傷む!
  ってことは頭でじゅうぶん、理解しているつもりでしたが......

  実際の数値を見ると、その影響の大きさを
  しみじみと実感しますね~」



 そうですね。
 肌の弱い方は1回のマスクの使用、
 1回のシャンプー・リンスでも
 一気に紅斑値が上がることがデータから分かります。

 また、手や髪を経由した間接接触は
 気づきにくく見落としがちですが、
 測定をしてみると紅斑値が大きく上昇していることから、
 その影響の大きさを知ることができます。






 ▼みなさんの声に、たくさんのヒントが!


 「牛田プロジェクト」では、
 健康な素肌を取り戻す方法の研究と開発を目的に、
 2005年6月から測定モニターを募集して
 データを蓄積してきました。

 モニターのみなさんのご協力により、
 長期間の測定データを
 発表できるようになりました。

 研究がここまで進んだのも、
 測定モニター・読者モニターだけでなく、
 読者のみなさんのご報告メールの中に
 大きなヒントが含まれていたお蔭です。

 たくさんのご協力ありがとうございました。

 これからも、みなさんからのご報告、ご相談のメール、
 そしてモニターへのご参加をお待ちしております。





 ☆測定データに関する質問・疑問などがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  →→ http://jstcd.or.jp/contact/





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