第278号増えると黒くなる？『メラニン値』の秘密｜メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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　　　　　　　　── 増えると黒くなる？ ──

　　　　　　　　　　『メラニン値』の秘密

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　▼測定モニターにお話していること
　　～メラニン色素の量が増える原因は２つ～

　測定モニターに『メラニン値の読み方』を
　説明するときに、メラニン色素の量が増える原因は
　２つあることをお話しています。

　１つめは「紫外線による日焼け」です。
　日焼けをすると肌が黒くなりますから、
　誰でも体験的に知っていることですね。

　２つめは「体調の悪化」です。

　これまでの測定結果から、
　体調を崩して寝込んでいた方は

　　◎メラニン色素の量が増えて、メラニン値が高くなる

　　◎安静に過ごしていた（一次刺激性物質と接触しなかった）
　　　ため、紅斑値が下がる

　という傾向があることが分かっています。

　　＊参考＜2007年２月～体調による肌の変化の測定結果＞
　　　http://jstcd.or.jp/numberphotos/2007_2_19_yh/

　　（↑このころから、測定モニターの方には
　　　「体調が悪いとメラニン値が上がり、
　　　　紅斑値と弾力値が下がる傾向がある」とお話していました）

　▼日に当たらなくてもメラニン値が上がる？

　白木さん、何だか腑に落ちない表情ですね。

　「日に焼けてメラニン値が上昇するのは納得できるんですけど
　　体調が悪いときにも上昇するなんて......！
　　日に当たっていないのに、どうしてなんでしょうか？」

　体調が悪くなると、
　身体の防御反応として
　メラニン色素の量を増やすというメカニズムが働き、
　メラニン値が上昇するようです。

　「でも、体調を崩していたというモニターにお会いしても
　　日に焼けたように見えたことはありません。

　　体調の悪化によってメラニン値が上昇しているなら
　　お肌の色が黒く見えるのでは？」

　メラニン値の上昇で肌が黒く見えるかどうかは、
　数値の上昇の程度によるようです。

　体調を崩したときは、
　日焼けをしたときほど
　メラニン値が大きく上昇しませんから、
　肌の色が変化しにくいのです。

　体調を崩していた人の場合、
　メラニン値が上昇すると同時に
　紅斑値が下がっているために、
　見た目にはむしろ色が白くなったように感じられます。

　

　▼メルマガを読んでのご質問１：目からの紫外線について

　　┌────────────────────────────
　　｜◆【目が光を感じるとメラニンの分泌量が増える？】
　　｜　
　　｜　今回のメルマガに、『目からの紫外線で肌にシミが
　　｜　できることはありません』との記述がありましたが。
　　｜　
　　｜　○○大学医学部 ○○○○教授の研究によると、
　　｜　目に紫外線が当たると、肌が黒くなるとのこと。
　　｜　この研究結果の真偽が気になっていました。
　　｜　
　　｜　大学教授がメーカーから研究費をもらうのは
　　｜　当然の経済活動ですので、恣意的な応用があったとしても、
　　｜　それをもって研究結果が嘘だと思うつもりはないのですが。
　　｜　
　　｜　それでも「目が光を感じると、メラニンが
　　｜　多く分泌されるのは本当？」
　　｜　という疑問を感じてしまいます。
　　｜　
　　｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（30代・女性）
　　└────────────────────────────

　目からの紫外線でメラニン量が増えるというお話は
　本当ですが、誇張されているように思います。

　雪目の事例でお話しましたように、
　強い紫外線を無防備に目に浴びてしまうと、
　目の組織にも障害が現れます。

　「強い紫外線によって、
　　お肌が炎症や火傷を起こすことと同じですね？」

　そのとおり。

　目の障害は強い身体的ストレスになりますので、
　前述したメラニン色素の量が増える原因の１つである
　"体調の悪化"につながります。

　その防御反応として
　メラニン色素の量が増えていることは充分に考えられます。

　「紫外線そのものによってメラニン値が増えているのではなく、
　　強い紫外線で傷んだ目からのストレスで
　　メラニン値を増やしているんですね」

　そうなのです。

　体調が整うと
　メラニン色素の量が減ってメラニン値が下がるように、
　傷めた目が回復すれば、メラニン値も元の数値に戻るはずです。

　でも、当たり前のことですが、
　目でも肌でも強い紫外線は組織を傷めます。

　夏の紫外線の強い時間帯に屋外でレジャーをするときは
　肌だけでなく、目も傷めないように気をつけましょう。

　▼メルマガを読んでのご質問２：シミの蓄積について

　　┌────────────────────────────
　　｜◆【シミ予備軍、気になります】
　　｜　
　　｜　『皮膚の細胞は、代謝により日々入れ替わっている。
　　｜　　浴びた紫外線が蓄積して、数年後に現れる
　　｜　　ということは、皮膚生理上考えられないでしょう。』
　　｜　
　　｜　というお話がメルマガにありましたが、
　　｜　テレビなどでシミ予備軍という言葉を聞いたり、
　　｜　スキンスキャナーで肌を調べると、目に見えない
　　｜　しみが顔中にたくさんある映像を見かけたりします。
　　｜　
　　｜　美白化粧品の体験談で、
　　｜　"シミが薄くなる過程で、ターンオーバーが活発化すると
　　｜　　メラニンが肌の表面に押し出されて
　　｜　　一時的にシミが濃くなるが、
　　｜　　その後徐々に薄くなってきた"というのもありました。
　　｜　
　　｜　私の経験上、ASVCでシミが薄くなる過程で
　　｜　濃くなったことはありませんが、
　　｜　スキンスキャナーの映像には関心があります。
　　｜　
　　｜　色々な情報についつい迷いが出てしまいます。
　　｜　
　　｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（30代・女性）
　　└────────────────────────────

　肌測定器のシミ予備軍は、
　紅斑などをもとに測定しているのかもしれません。

　ただ、実際にその通りに、顔中にシミができて
　しまう人はいないと思われます。

　ほとんどの肌測定器は、
　商品を販売することを目的として使われてしまいます。

　肌の水分量の数値が
　保湿を勧めるためのデータとして使われているのと同じように、
　シミ予備軍の映像も、美白用化粧品や日焼け止めを
　販売するためのツールとして使われているのでしょう。

　▼解説は次週も続きます

　どのように紫外線対策をするかという実践方法だけでなく、
　肌のメカニズムについても
　みなさんに知っていただきたいと思い、
　今回は詳しい補足説明をしました。

　できるだけ分かりやすくお話したつもりですが
　「読んでもよく分からなかった」という部分がありましたら
　遠慮なくお知らせくださいね。

　来週も引き続き、みなさんから届いた質問
　「日焼けそのものが肌によくない？」について
　補足の説明をする予定です。

　☆紫外線対策に質問・疑問などがありましたら、
　　お気軽にどうぞこちらへ。
　　→→ http://jstcd.or.jp/contact/

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　　　　　　　　　　　　☆編集後記☆
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　編集後記には、本編でお知らせできなかった情報を
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