メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2012年07月24日配信

第319号 洗濯しても?『落ちない加工』の秘密

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2012/07/24━☆
     健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと!

            「秘密の皮膚科学」

     第319号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 おや白木さん。
 今日はすてきな帽子をかぶっていますね。


 「帽子は"何もつけない夏"に
  欠かせないアイテムですからねっ。

  かぶる前に、ちゃーんと洗濯したから
  肌に触れても大丈夫!」



 白木さん、実は......

 何回洗濯をしても
 落ちない加工もあるようなのです。


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             ── 洗濯しても? ──

              『落ちない加工』の秘密

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 ▼2回洗濯しても落ちない?


 これまで、このメルマガでは

 「新品のタオルや衣類、帽子は
  指定の洗剤(トップクリアリキッド)で
  2回以上洗濯してから使用しましょう」

 とお伝えしてきました。


 ところが、
 2回以上洗濯をしても
 肌が弱い人にとっては
 刺激となる物質が残留する場合がある。

 そんなことが分かってきたのです。



 測定モニター・Kさんの報告をご紹介しましょう。


 ┌────────────────────────────
 | 
 | 【UV加工の帽子をかぶったら、かゆみと赤みが】
 | 
 | 先日、新しい帽子を買いました。
 | UV加工とありましたので、
 | 2回は洗って使用しましたが、
 | つばがあたった部分にかゆみと赤みがでました。
 | 
 | 帽子のせいと思い、
 | 10回くらい洗ってから使ってみました。
 | 
 | そうしたら部分的な赤みは少なくなりました
 | (帽子のせいだけではないかもしれませんが)。
 | 
 | UV加工は洗濯には弱いと聞きましたが、
 | 2回の洗濯では落ちないのかもしれないです。
 | 
 | 最近の帽子は加工してあるものが多くて、
 | 買い物しづらいです。
 | 
 | というわけで肌がなおさら不安定です。
 | 洗えば大丈夫かなと思いましたが、
 | やっぱりだめでした。
 | 
 | 次は
 | オーガニックの素材の帽子を買うことにします。
 | 
 └────────────────────────────


 紫外線遮蔽素材(UVカット加工をした生地)は、
 紫外線を吸収・拡散する素材を
 繊維に練り込んでいるものと、
 繊維表面に付着させているものがあります。

 一般に、後加工で生地に付着させる方法は
 持続性が弱いとされていますが、
 2回程度の洗濯では落とすことができないようですね。

 紫外線を遮蔽するには
 生地は厚地であるほど、
 色は黒などの濃い色のほうが遮蔽効果があります。

 また、ポリエステルは
 繊維そのものにある程度遮蔽効果がありますが、
 綿やレーヨンは通過しやすいという
 特徴もあるようです。

 探すのが難しいかもしれませんが、
 額にトラブルの出やすい人は
 UV加工が施されていない帽子を選ぶか、
 日傘などを使いましょう。






 ▼加工が謳われていない素材でも......


 その後、再び
 Kさんからご報告がありました。


 ┌────────────────────────────
 | 
 | 【今度はオーガニックコットンの衣類で】
 | 
 | 先日、殺虫剤を使ったとき
 | 顔にかかり、荒れてしまいました。
 | パック(ASVC)もピリピリしました。
 | 
 | 何日か経ってピリピリしなくなり、
 | よかったと思っていたら、
 | また手触りも悪くビタミンもしみて、
 | デコルテにもかゆみがでました。
 | 
 | いつもと変わった事はないかと考えましたら、
 | オーガニックコットンの下着やTシャツを
 | 購入して2回洗い、着始めたことが思い当りました。
 | 
 | 販売もとに問い合わせてみたら、
 | 生地にした後、一度石けんで洗っているそうです。
 | 
 | そのあと縫製していて、水洗いのみして
 | 販売しているそうなのです。
 | 
 | がっかりしました、せっかく買ったのに......。
 | 石けんの残留は落ちにくいですよね。
 | 
 | 娘もオーガニック製品の服を買ってきましたが、
 | その服を着ると、首元と膝のうらがかゆいと言います。
 | 
 └────────────────────────────


 生地の段階で石けんで洗っている
 オーガニックコットンは少なくないようです。

 2回以上洗濯してもトラブルが出る場合は、
 残念ですが、もう着ないほうがよいでしょう。

 一般的な綿でも、生地の段階で
 シリコン系の柔軟剤を使ったりと
 さまざまな加工がされているものがあります。

 確認のしようがないところですが、
 きちんと洗っているにもかかわらず
 新しい衣類でトラブルが出るようになったときは、
 何らかの加工が施されている可能性を疑ってみましょう。






 ▼多機能繊維、新品の布製品にも注意


 Kさんのケースの他にも
 2回の洗濯では加工が落ちないもの、
 何回洗っても影響が出続けるものがあります。

 たとえば次の2つ。
 肌の弱い人は気をつけてくださいね。


 ◎多機能繊維の衣類・寝具

  抗菌加工、防臭加工、消臭加工、防ダニ加工、防カビ加工、
  撥水加工、帯電防止加工をしたもの
  発熱・冷感効果、保湿効果のあるもの......など


 ◎新品のタオル・衣類・寝具

  新品のタオルなども、2回洗っただけでは
  柔軟剤が落ちないことがあります。
 
  2回以上洗っても手触りがヌメヌメしているときは
  うっかり顔を拭いたりしないようにしましょう。

  生地の段階でシリコン系の柔軟剤が使われていると、
  何回洗っても落ちないこともあります。






 ▼まとめ ~ 早めの見極めが肝心 ~


 最近は加工されている生地が多く、
 一概に"洗えば大丈夫"とは言えなくなってきました。


 ○新しい布製品はトップクリアリキッドで洗い直している
 ○何もつけない生活・8つの習慣を実践している
 ○それなのに、肌の状態が改善しない・悪化した!

 というご相談が届くこともありますが、
 そんな方は、洗濯をしているにもかかわらず
 生地に刺激物質が残留している可能性が考えられます。


 白木さんは眉間にシワをよせ腕組み......。


 「洗い直せば落ちる加工なのかどうか、
  買うときに判断がつかないのが悩ましいですねぇ」


 そうですね。

 せっかく買ったのに、と
 残念な思いをすることもあるかもしれませんが。

 何回洗濯し直しても
 トラブルが出てしまうものは
 すっぱりと着用・使用をやめましょう。

 トラブルの慢性化を防ぐためにも
 早めの決断をおすすめします。






 ☆質問・疑問などがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  →→ http://http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php

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