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2024年04月30日配信

どうなってる?『地球の紫外線量』の秘密 | 第797号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2024/04/30━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第797号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 「牛田さん、そろそろ始める時期ですよね」


 白木さん、そろそろ時期......。
 紫外線量の話題ですか?

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           どうなってる?

        『地球の紫外線量』の秘密

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 ▼猛暑日が増えていますが


 「毎年猛暑の日が増えている気が
  するんですが、紫外線対策は毎年同じで
  大丈夫なんでしょうか」


 確かに暑い日は多いですが、
 「暑い」ことと「紫外線量が多い」ことは
 同じではないんです。

 身体で感じる暑さの正体は「赤外線」。
 紫外線とは無関係なのです。

 紫外線量が増える時期は夏至の前後2ヶ月、
 5月から8月です。9月も残暑が厳しいですが、
 紫外線量は4月と同じくらいです。


 「暑いから日焼けすると思ってしまいますが
  そうではないんですね」


 はい。逆にそれほど暑くない日でも
 5月は紫外線対策をしたほうがいいですね。





 ▼観測上は?世界の紫外線量


 「紫外線量が増えてるということで、
  化粧品だけでなくUVカットの服も増えてきましたが、
  実際はどうなのでしょう」


 まず紫外線の量が変動する要因には
 こんなものがあります。

 ・太陽高度
 ・オゾン量
 ・雲の状況
 ・エアロゾル量
 ・地表面の反射率


 「エアロゾルってなんですか?」


 大気中に浮遊する微粒子のことで、
 大気汚染物質や化石燃料の燃焼によるすす、
 黄砂、花粉、胞子などを指します。

 エアロゾルは紫外線を散乱・吸収するので、
 大気が汚れていると到達する紫外線量が減るのです。


 「いろいろな要因があると
  観測も簡単ではなさそうですね」


 そうですね。

 環境省の「令和4年度オゾン層等の監視結果に
 関する年次報告書」で世界の太陽紫外線の状況を
 見てみましょう。


 いくつかの大気な正常な地域での観測によると、
 紫外線量は1990年代後半以降、オゾンの増加に
 呼応して減少している。
 (引用:3.太陽紫外線の監視結果)

 令和4年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書
 https://www.env.go.jp/earth/report/r03-01/ozone_report_00002.html


 世界各地の11観測点のうちアラスカ、ニュージーランド、南極など
 南半球、北極では1998年以降オゾンが増加してから
 紫外線量の減少が顕著に見られるとのことです。

 とくに南極点では10年で34.6%減少しています。

 ただ、北半球中緯度の地域では
 紫外線量が増えているところもありますね。

 これは大気汚染の減少や雲の減少の影響が
 考えられるそうですが、長期変動解析に利用できる
 地上観測データが少ないため、原因を確定することは
 難しいようです。





 ▼日本では?


 日本では10年あたりの紫外線量の増加率は札幌3.3%、
 つくば4.1%、那覇増加なし、となっているようです。


 「オゾン量は増えているのに不思議ですね」


 そうですね。
 大気汚染が減ってエアロゾル量が減ったことや、
 雲量の変化が原因として考えられるそうです。


 「4%がどの程度の影響かわかりませんが、
  紫外線量が増えているとしたら
  何をしたらいいですか?」


 紫外線量が増減しても、行う対策は同じ。

 日常生活では帽子、日傘、長袖の衣類、木陰などを
 利用すれば紫外線対策は十分です。

 仕事やレジャーで紫外線の強い季節の、
 10~14時に長時間屋外で過ごし
 日傘や帽子などを使えない状況のときのみ
 日焼け止めを使ってくださいね。





 ▼宇宙も地球も変動していますが


 ちなみにUNEP(国連環境計画)の
 環境影響評価パネル2010年報告書では、
 北半球中高緯度では紫外線量は2020年代までに
 1980年のレベルに戻ると予測されています。

 その後は低緯度域を除きさらに減少すると見込まれています。

 紫外線量が増えても減っても。
 紫外線の強い季節は、いつも通り
 非接触生活の紫外線対策をしてくださいね。




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