バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2022年08月30日配信
保湿と紫外線の常識?『医師用テキスト』の秘密 | 第721号
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/08/30━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと
「秘密の皮膚科学」
第721号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
先週に引き続き、「スキンケアの一般常識」です。
今回は「保湿」と「紫外線」のテキストを
紹介します。
「保湿と紫外線対策はスキンケアの基本ですよね」
と言われていますが......。
今回も世間の常識がひっくり返りますよ。
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保湿と紫外線の常識?
『医師用テキスト』の秘密
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▼スキンケアの常識「保湿」
皮膚のうるおいを保つために
保湿は必須とされています。
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2)保湿について
健康な肌には汗と皮脂から作られる天然の保護膜
(皮脂膜)があり、肌に潤いや滑らかさを与え
外界からの刺激を守る働きをしています。
洗顔をした後は皮脂膜が洗い流されますが、
皮脂膜は自力で再生します。
皮脂膜は皮膚の外側で肌を守っています。
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肌が乾燥していると感じるときは、
一次刺激性物質との接触によって、皮膚の
細胞間脂質が変性・脱脂されて接着力を失い、
角質片が剥離して立ち上がって、
がさがさとした手触りになっています。
参考
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この状態にしっとりした乳液やクリームをつけると、
化粧品に含まれる界面活性剤によって肌はさらに脱脂され、
皮脂膜が自力で再生する機能を妨げてしまいます。
クリームをつけて潤って見えるのは
肌の表面を乳液やクリームが覆っているからです。
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皮膚の役割は体内を守ること。
外側から化粧水や乳液、クリームを与えても
修復はできません。修復は内側からしかできないからです。
いちど角質が立ち上がってしまったら、
白色ワセリンの部分的な使用を推奨しています。
ワセリンで角質を肌にくっつけて誤摩化し、
自然に剥離するのを待ちます。
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※白色ワセリン
成分にBHT(ジブチルヒドロキシトルエン:酸化防止剤)などの
添加物が含まれていないものを推奨。
オイルよりワセリンを推奨する理由は、
オイルよりも融点が高く落ちにくいこと、
精製度が高い炭化水素のためアレルギーが
出にくいというメリットがあるためです。
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「化粧水や乳液をつけても
潤って見えているだけで、
実際の肌は傷んでしまうんですね」
ええ。
化粧品をエンターテイメントとして楽しめる方は
別ですが、肌に悩みのある方が
「お手入れ」をすると逆効果になってしまいます。
▼スキンケアの常識「紫外線対策」
日焼けをするとシミができるので、
一年を通して日焼け止めの使用が必須とされています。
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3)紫外線について
(1)日焼けのメカニズム
1.紫外線を浴びると、色素細胞は
「メラニン」を作り出します。
2.そして、メラニンをまわりの角化細胞にも分配します。
3.基底細胞の核の上にメラニンを乗せ、
皮膚内部にある細胞の大切な遺伝子が
紫外線で傷を負わないように守ります。
このように、メラニンは太陽光の中に含まれる
有害な紫外線を吸収・散乱させて、
肌へ影響が及ばないようにガードしています。
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(2)メラニン色素の量が増える原因は2つ
○紫外線による日焼け
○体調の悪化
これまでの測定結果から、体調を崩して寝込んでいた方は
◎メラニン色素の量が増えて、メラニン値が高くなる
◎安静に過ごしていた(一次刺激性物質と接触しなかった)
ため、紅斑値が下がる
という傾向があることが分かっています。
*参考<2007年2月~体調による肌の変化の測定結果>
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体調が悪くなると、身体の防御反応として
メラニン色素の量を増やすというメカニズムが働き、
メラニン値が上昇するようです。
メラニン値の上昇で肌が黒く見えるかどうかは、
数値の上昇の程度によるようです。
体調を崩したときは、日焼けをしたときほど
メラニン値が大きく上昇しませんから、
肌の色が変化しにくいのです。
体調を崩していた人の場合、メラニン値が
上昇すると同時に紅斑値が下がっているために、
見た目にはむしろ色が白くなったように感じられます。
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「悪者にされがちなメラニンにも
役割があるんですね!」
そうなのです。
シミも肌の傷んだ部分を紫外線から
守るためにできるんですよ。
「体調が悪いときもメラニン値は
上がるんですね?」
はい。白木さんも寝不足や疲れがたまって
肌がくすんで見えたことはないでしょうか。
そんなときはメラニン値が上がっていると
考えられます。
ただ、日焼けでも体調不良でも、
原因がなくなれば、上がったメラニン値は
必ず下がっていきます。
▼次回はテキスト紹介の最終回
次回はいよいよテキスト紹介の最終回、
毎日触れる「水」です。軟水、硬水、塩素など
肌に影響はあるのでしょうか。お楽しみに。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞ。
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