メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2007年05月23日配信
第98号 つければ安心?『日焼け止めとの付き合い方』の秘密
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
すっかり久しぶりの配信となってしまいました。
楽しみに待っていてくださったみなさん。
もしや、牛田に何かが......?
と心配してくださったみなさん。
大変申し訳ありません。
例のごとく、牛田は研究室にこもっていました。
「秘密の化粧品」は激しく稼動中! です。
あと2号に迫った100号では
大きなお知らせができるかもしれません。
もうしばし、お待ちくださいね。
さて。
なかなか配信できないにもかかわらず、
牛田のもとには毎日のように
たくさんの感想・質問メールが届いております。
本当にありがたいことです。
みなさん、どうもありがとうございます。
今日は、ここのところ特に多くいただいている
ご質問についてお答えしたいと思います。
テーマは「日焼け止め」。
久しぶりに白木さんも登場します。
どうぞ最後までお付き合いくださいね。
☆----------------------------------------------------------☆
―― つければ安心? ――
『日焼け止めとの付き合い方』の秘密
☆----------------------------------------------------------☆
▼牛田、実験室から外へ
「牛田さん!
実験室から出てくるのを待ってたんですよ。
季節はもう春を通り越して、初夏です!」
そういえば、すっかり日差しが強くなっているような。
「そういえばじゃありません!
紫外線について、読者さんからメールが届いてるんですよ。
ホラ、こんなにいっぱい!」
(受信トレイを開いて見せる白木)
すみません......。
ではさっそく、ある読者さんからいただいたメールを
一部抜粋してご紹介しますね。
┌――┐
|\/| 【日焼け止めなら何でもダメですか?】
└――――――――――――――――――――――――――――――
|
| バックナンバーを拝見したところ、
| 「日焼止めはおすすめできない」とのことですが、
| どんなものでもダメなのでしょうか?
|
| ちなみに現在は、
| 朝......牛田さんからいただいた秘密の石けんで洗顔
| 昼......ノーメイクで、外出時だけやむを得ず日焼け止め
|
| という感じです。
|
| 「何もつけない」歴も長くなってきていますが、
| 最近、太陽の光が強くなっているような気がして......
|
| 日焼け止めを塗るべきか、やめるべきか。
| とても迷っています。
|
└――――――――――――――――――――――――――――――
お問合せ、ありがとうございます。
日焼け止めをつけたらいいのかどうか、お悩みなのですね。
"太陽の光が強くなっているような気が"するとのことですが、
まずはこの問題から考えてみましょう。
▼紫外線の量は年々増えている?
"紫外線は皮膚や人体に悪影響を及ぼす"。
このことは、健康や美容に関するテレビ・雑誌・広告によって
広く知られるようになりました。
しかし、それらの情報のなかには
事実ではないことが多分に含まれている場合があります。
例えば、「年々増える紫外線量に負けない肌に......」といった記述。
日本では50年前から紫外線量は増えていません。
おそらく、それ以上前から変わっていないでしょう。
そのことを示したデータが
気象庁のサイトに掲載されています。
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/ozonehp/ozone_monthave_sap.html
▼皮膚癌の発生率が増えている?
オゾンホールが出現してからも、
有色人種の皮膚癌が増えたというデータは示されていません。
有色人種の皮膚癌の発生率は変わっていないでしょう。
特に日本では、そもそも50年、いや100年以上前から
紫外線量が変わっていないのですから、当然のことですよね。
紫外線量についても、皮膚癌についても、
「化粧品を売るための文句」として利用されている場合が多いのです。
▼紫外線について、詳しくは......
昨年のちょうど今ごろに、紫外線について取り上げています。
詳しくは、こちらをご覧くださいね。
◇第74号 『紫外線』の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/05/74.php
◇第78号 『もっと詳しく! 紫外線』の秘密(1)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/06/78.php
◇第79号 『もっと詳しく! 紫外線』の秘密(2)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/06/79.php
▼日常生活レベルなら"何もつけない"
「なるほど~。
紫外線量に変化がない、ってことは分かりました。
でも、量に変化がなくても
お肌に影響を及ぼすことには変わりないんですよね?」
そうですね。
紫外線を浴びれば、当然のことながら日焼けをします。
でも、通勤や通学、ちょっとした散歩程度であれば、
何もつけなくても大丈夫なんですよ。
「どうしてですか?」
痛みや赤みを伴わない日焼けであれば、
お肌は自然に回復するからです。
老化・シミ・シワの原因にもなりません。
▼ぜったい焼きたくない! という場合には?
「ふーん。肌の色は黒くなるけど、
お肌に負担をかけない程度の紫外線であれば
元どおりになるってことですね」
そのとおり。
真夏に小麦色の肌になっても、
たいてい冬には白くなっているでしょう?
お肌はおそるべき自然回復力を持っているんですよ。
ただし、夏であろうとも徹底的に焼きたくない!
という方は、次のことを気をつけましょう。
○紫外線量の多い時間帯(10時~14時)は
外出を控えるなどして、直射日光を浴びないようにする
○やむをえず外出をするときは、衣服で肌を覆う
(長袖のものを着る・帽子を被る・日傘を差す......etc)
▼日焼け止めは??
「やっぱり、日焼け止めは避けるべきなんでしょうか?」
結論から言うと、おすすめはしません。
お肌を紫外線から守る働きをしてくれますが、
"副作用"が大きすぎるからです。
「副作用!?」
日焼け止めはお湯や石けんで落とすことができません。
どうしても、クレンジング剤が必要になります。
以前からお話をしているとおり、
クレンジング剤には界面活性剤が含まれています。
日焼け止めでお肌を守っても、
それを落とすときにお肌を傷めてしまう。
結果的には、日焼け止めを使う前より
お肌が荒れてしまう......という皮肉な結果になりかねないのです。
▼"落ちにくいタイプ"にご用心
"落ちにくい"日焼け止めには、特に注意が必要です。
その類の日焼け止めは「シリコン」を使って作りますから、
シリコンの影響を受けやすい人や、お肌の弱い人が使ってしまうと
大きなダメージを受けてしまうでしょう。
しかも、強力なクレンジング剤でなければ落ちませんから
お肌に二重の苦難を強いているのと同じことになります。
だから、日焼け止めは「最終手段」。
スポーツをしたり、レジャーをするときなど、
屋外で長時間にわたって直射日光を浴びる場合だけ
日焼け止めを使用するようにしてください。
その場合も、日焼け止めを使うリスクをお忘れなく。
できるだけ"日焼け止めに頼らない工夫"を心がけてくださいね。
▼専門家であるはずの病院でも
病院でも、レーザー治療の後や、ピーリング治療の後、
そして火傷の治療の後などに
日焼け止めをつけることを勧められるケースがあるようです。
医療の現場に化粧品の情報が届きにくいせいか、
"日焼け止めをつけた後のケア"
(=さらにお肌を傷めるクレンジングが必要であるということ)
まで、配慮が行き届きにくいのかもしれません。
最近、牛田がお医者様とお話をしていて感じたことです。
▼それでも、どうしても!
【以下は内容が古いので読まないでください。】
※肌が傷んでいなければ、日常生活レベルの日焼けをしてもシミになることはなく、
すぐに白い肌に戻ります。全成分に問題のないファンデーションでも肌につけたままに
しておくことは、皮膚生理を妨げます。肌の調子が悪いとき、荒れやすい人はファンデーションも
つけないようにしましょう。(2012.7.10)
「洋服や日傘だけじゃどうしても不安だなぁ......。
私はおでこが日焼けをしやすいんです。
どうしたらいいでしょうか?」
日焼けをしやすい方や、何もつけずにはいられない方は
パウダータイプのファンデーションをつけましょう。
パウダーファンデーションには、日焼け止めと同じ
「散乱剤」という成分が含まれているんですよ。
日常レベルの紫外線であれば、
十分に紫外線をはね返すことができます。
また、パウダータイプであれば石けんで落とすこともできます。
ただし、お肌への負担が軽い分、
日焼け止めとしての効果は持続しにくくなります。
こまめに塗りなおすなどの工夫が必要ですね。
▼こんなメールをいただきました
┌――┐
|\/| 【原因はコレでした】
└――――――――――――――――――――――――――――――
|
| どうも頬のあたりからあごにかけてカサカサするのです。
| "何もつけない"を続けているのに、なぜだろう?
| と思ったのですが......1つだけ、つけていました。
|
| それは日焼け止めです。
|
| 化粧はしないのですが、日焼け止めを塗っていました。
| しかも、石けんのみで洗顔していました!
|
└――――――――――――――――――――――――――――――
"何もつけない"を実践しているのに、
どうもお肌の調子が思わしくないという方。
日焼け止めだけは別だと思っていませんか?
海や山へお出かけの日でなければ、
ちょっとお休みをしてみてください。
日焼け止めという「フタ」を取って
軽いお肌で初夏を楽しんでみませんか?
★牛田への感想・コメントがありましたら、
お気軽にどうぞこちらへ。
http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php
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