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2022年09月06日配信

水の影響はある?『医師用テキスト最終回』の秘密 | 第722号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/09/06━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第722号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 今日は、医師用テキストの最終回です。


 「最後のテーマは確か『水』でしたね?」


 はい。今日は塩素は良くないなどの
 一般常識についてお話します。

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           水の影響はある?

       『医師用テキスト最終回』の秘密

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 ▼肌によい水は?


 毎日洗顔に使う水。
 水の硬度や塩素対策に浄水器を
 つけている方も多いようです。


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 4)水について 

 (1) 軟水と硬水、肌によいのはどちら? 

 水には、カルシウム・ナトリウム・カリウムなど
 さまざまなミネラル成分が溶け込んでいます。

 ミネラル分が多く含まれると水の味は硬く感じられ、
 少ないとやわらかく感じられます。 

 水の硬さを科学的に算出した数値は「硬度」と
 呼ばれますが、これらは、ミネラルの主成分である
 カルシウムとマグネシウムの量を測定したものです。  

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  【硬水とは】 

  硬度の高い水のこと。カルシウムと
  マグネシウムの量がリットル当たり357mg以上
  (硬度357)の水を指しています。

  アメリカやヨーロッパの水に多く見られます。


  【軟水とは】 

  カルシウムとマグネシウムの量が
  リットル当たり178mg未満(硬度178)の水を
  指しています。日本の水道水は軟水です。

  工業用水に向き、飲用、炊飯にも適しています。 

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 肌に触れて皮膚に影響を及ぼすものは
 一次刺激性物質です。

 一次刺激性物質が含まれていなければ軟水でも
 硬水でも肌に影響を与えることはありません。

 非接触生活では石けんの使用を勧めていませんが、
 石けんを使う場合は硬水では泡立ちが悪くなります。

 硬水のマグネシウムイオンと、脂肪酸ナトリウムの
 塩である石けんを組み合わせると、
 不溶性の塩(石けんカス=脂肪酸マグネシウムなど)が
 生じるためです。

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 「なんとなく軟水のほうが肌に良さそうな
  イメージはありましたが...」


 皮膚は、身体の内側を守るための組織ですから
 どんな水でも身体の内側にしみ込むことはありません。

 皮膚にとってはその水が硬水でも軟水でも
 なんの影響もないんですよ。





 ▼塩素で肌が傷むのはウソ?


 次はよくご質問のある塩素です。


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 (2)水道水の肌への影響 

 水道水は飲める水ですので、水道水に含まれる
 程度の塩素が肌に影響を与えることはありません。 
 塩素は水道水を"消毒"するために入れるものです。 

 飲用水道水は「病原菌等の繁殖」を防ぐため
 塩素の使用が必須となります。

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 WHO(世界保健機関)の「飲料水水質ガイドライン」によると、
 塩素のガイドライン値は5mg/Lとされています。

 このガイドライン値は、生涯にわたって水を飲んでも
 人の健康に影響が生じない濃度を表しています。 

 東京都水道局では、残留塩素濃度を水道法で
 定められている0.1mg/L以上、水質管理目標設定項目の
 目標値である1mg/L以下を蛇口において
 常に確保できるように管理しています。

 水道水は安全な水なのです。 

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 「ふ~ん。水道水に含まれる程度の
  塩素は問題ないんですね。

  でもプールに入ると目が赤くなったりしますよね。
  あれは塩素の刺激ではないですか?」


 よく勘違いされるのですが、
 実は違うんですよ。


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 (3)プールでの刺激の理由は 

 文部科学省「遊泳用プールの衛生基準について」によると、 
 水道水の塩素濃度は0.1mg/L以上1mg/L以下。 

 プールの塩素濃度は0.4mg/L以上1mg/L以下です。 
 両者にはあまり差がありません。 

 プールでの刺激の原因は「結合塩素(クロラミン)」
 という物質です。 プールには多くの人が入ります。

 汗や体の汚れが水中に溶けて生じた
 アンモニア性窒素と塩素が反応すると
 結合塩素(クロラミン)という物質が生成されます。 

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 クロラミンは皮膚、目、呼吸における刺激や痛みとともに、
 不快な臭いのもととなります。クロラミンには
 「モノクロラミン」「ジクロラミン」「トリクロラミン」の
 3種があります。 

 そのうち、ジクロラミンとトリクロラミンが
 以下の刺激を起こします。 

 ・目の赤み、ひりひり感 
 ・鼻、のど、肺のひりひり感 
 ・肌のかゆみ、乾燥、髪のぱさつき 

 混んでいる時間帯や、子供のスイミングスクールの
 後はクロラミン量が多くなります。

 プールに入って肌トラブルが出る、悪化するという方は、
 朝や休み明けなど、クロラミンの生成が少ない
 時間帯に利用するとよいでしょう。

 プールやジムでは、水の影響以上に他人の使用している
 シャンプーや日焼け止め、抗菌スプレーなどとの
 間接接触による影響が大きくなります。

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 「プールの刺激臭は塩素じゃなくて
  クロラミンのせいだったんですね!」


 そうなのです、白木さん。




 ▼皮膚臨床技術研究会のサイトで公開予定


 16号にわたって紹介してきた医師用テキストも
 今回が最終回です。

 このテキストはリニューアル作業中の
 皮膚臨床技術研究会のサイトで
 読めるようになります。

 公開まで少々お待ちくださいね。


 2004年からの知見をまとめてみました。
 読者モニター、フェローの皆さんのおかげです。

 いかがだったでしょうか。

 ご意見・ご感想をいただければ。
 こちらへ→ https://jstcd.or.jp/contact/
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