メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2008年02月05日配信

第133号 手荒れはなぜ起きる?『タンパク質と洗剤』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。


 今日はいつになく元気がない白木さん。
 手のひらを見つめては、ため息ばかり。

 一体どうしたんですか?



 「食器用洗剤を変えたせいか、手が荒れてしまって。
  カサカサするし、なんだか痒いし、掻きすぎると痛いし!
  あ~あ。はぁぁぁ......」


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         ―― 手荒れはなぜ起きる? ――

          『タンパク質と洗剤』の秘密


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 ▼読者さんからも、同じお悩みが。


 岡山にお住まいの読者さんから、
 こんなメールが届いているんですよ。
 一部抜粋してご紹介します。


 ┌――┐
 |\/|【手のひらが、ぱっくりと......】
 └――――――――――――――――――――――――――――――
 |
 | 牛田さん、こんにちは。
 | 手のひらの傷に悩んでいます。
 | おそらく、食器洗いなどでついた石けんが原因だと思います。
 | 
 | 手のひらが割れる時は、前日とっても痒くなります。
 | ぽりぽり、あー痒い痒いとやってしまうと、
 | 数日間ぱっくりと割れて、なかなかひっつきません。
 | 
 | 「アルカリ剤は皮膚を傷める」とありましたが、
 | 食器洗いや、外出後や汚れた後の手洗いなどは、
 | 中性洗剤や弱酸性といわれるソープのほうが良いのでしょうか?
 | 
 | お忙しいとは思いますが、お返事まっています。
 | 
 | 
 |                   (岡山県・30代の女性)
 | 
 └――――――――――――――――――――――――――――――


 ▼早速ですが、回答を。


 結論からお話しすると、
 お肌が弱い方、お肌が傷んでいる方には
 中性洗剤も弱酸性のソープもおすすめできません。


 洗剤には界面活性剤が含まれています。
 接触した肌に"タンパク変性"を引き起こすという意味では、
 アルカリ性でも中性でも、
 酸性でも弱酸性でも、同じことなのです。



 「"タンパク変性"って、今までにも
  何度か登場しているキーワードですよね。
  何となく怖いなぁってイメージがありますけど、
  具体的にはどんな状態を指す言葉なんですか?」



 ▼タンパク質とは。


 タンパク質は、生体が生命活動を営むうえで
 中心的な役割を担っている物質です。

 私たち"ヒト"で言えば、
 水分を除いた約半分近くの重量を占めています。
 

 皮膚や毛髪のように生体を形づくる構造タンパク質、
 免疫グロブリンなどの防御タンパク質、
 インスリンやアドレナリンなどのホルモンなど。

 タンパク質の働きは非常に多岐にわたっています。



 ▼絶え間なく活動するタンパク質


 人体を構成するタンパク質は、
 20種類のアミノ酸が直鎖状に結合した高分子です。
 コンパクトに折りたたまれた、立体的な高次構造をしています。


 しかし、熱を与えたり、極端なpHに曝したりすると
 その高次構造を維持することができなくなり、
 タンパク質の活性の低下や消失が起こります。

 これを"タンパク変性"と呼んでいるのです。



 「界面活性剤は、どのようにタンパク変性を引き起こすんですか?」



 界面活性剤は、タンパク質の水素結合を切断することによって
 皮膚のタンパク質を変性させています。


 しかし、タンパク質は
 壊す→修復する、という活動を絶えず行なっているもの。

 界面活性剤によって変性が起きても、
 タンパク質の立体構造を決める一次構造は失われないため、
 元の高次構造に修復しているのです。


 ただし......




 ▼ただし??


 カサつき、つっぱり感、痒み、赤み、ニキビ、湿疹が
 顔でも身体でもなかなか治まらない人は。

 お肌を元の状態に戻すためには、条件が必要です。
 それは、"お肌を傷める原因となっている変性物質に触れないこと"。


 乳液でも、シャンプーでも、食器洗い洗剤でも、
 お肌が弱い人、傷んでいる人にとってはダメージになります。

 そして、それらに触れ続けている限り、
 お肌のトラブルが回復することはないのです。


 タンパク変性の秘密
 http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/02/tanpaku_hensei.php




 ▼水仕事の前に、○○○○を



 「私の手荒れも食器用洗剤の影響なのかな。
  でも、お皿を洗わないわけにはいかないしなぁ......」



 食器洗いなど水仕事をするときは、
 作業をする前にワセリンを手に薄く塗るといいでしょう。
 ワセリンが保護膜の役目をしてくれます。

 ここで大切なことは、
 手を洗った"後"ではなく"前"に塗ること。


 無防備な状態で界面活性剤に触れてから
 ケアをしても手遅れなのです。

 事後のお手入れではなく、事前の予防。
 これを心がけてくださいね。


  ☆詳しくはこちらを!~第60号 キケンなの!? 『ワセリン』の秘密~
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/60.php



 ▼最後にもうひとつ。


 冒頭でご紹介した読者さんからのメールに

 『外出後や汚れた後の手洗いなどは......』

 という一文がありましたが。


 油汚れやインクの汚れなど、
 明らかに洗剤を使わなければ落とせない汚れがついていないかぎり、 
 水のみ、お湯のみの手洗いで十分です。

 お肌が荒れているときは
 ソープの使用をできるだけ控えるようにしましょう。



 ★牛田への感想・コメントがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php




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