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2025年08月19日配信

メラニン色素は何のため?『シミ、色素沈着』の秘密 | 第856号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2025/08/19━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第856号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 〇〇肌の症状には出てこなかった「シミ」。


 「色白の人や手足が冷えている人、
  乾燥肌の人にできやすいって聞いたことあります」


 いろいろなことが言われていますね。
 今週はシミ、色素沈着の機序を確認しましょう。


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           メラニン色素は何のため?

         『シミ、色素沈着』の秘密

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 ▼そもそも肌の色が黒くなるのは


 「肌が黒ずむのは何が起きているんですか」


 外部刺激や紫外線で基底層のメラノサイトが
 メラニン色素を増やして表皮細胞に放出します。

 ☆基底層(基底細胞層)の場所は↓
  https://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/post-6.php

 色を黒くすることで、
 皮膚は皮下を侵襲(刺激:紫外線含む)から
 守るのです。


 「肌の色が黒くなるのも
  身体の防御反応なんですね」


 その通りです、白木さん。
 侵襲が無くなれば表皮細胞の新陳代謝(剥離)で
 元の肌色に戻ります。

 生体の内部環境の恒常性を
 維持しようとする反応ですね。


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  侵襲とは:

  生体の内部環境の恒常性を
  乱す可能性がある刺激全般をいう。

  ここでは、皮膚の内部環境の恒常性
  (バリア機能、新陳代謝)を乱す要因です。
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 ▼色素沈着の原因は


 「肌が黒くなる理由はわかりましたが、
  それが色素沈着になってしまうのはなぜですか?」


 表皮細胞の基底層の上と下では
 新陳代謝の方向が逆向きになります。


 「方向が逆向き?」


 ええ。

 図の基底層から上は表皮細胞ですから、
 体外に向かって表皮細胞の新陳代謝(剥離)が
 毎日繰り返されています。

 基底層から下は体内に向かっていますから、
 組織は分解、吸収、代謝がリンパ液や
 血液によって行われています。


 「なるほど。考えたこともありませんでした」


 基底層から下は表皮細胞に比べると遅いといいます。

 基底層の上に放出されるべきメラニン色素が
 何かの手違いで下に放出されれば、代謝が遅いので
 色素が沈着してしまうことになります。


 「何かの手違いって......どんなことですか?」


 炎症や火傷、傷によって、
 基底層の周辺で正常な機能を妨げることが
 起きているのでしょう。

 以前のメルマガで、
 人体組織の修復はミリ秒単位で行われている、と
 お話しましたが。

 ☆第141号 お茶に渋味を感じる理由『タンパク変性』の秘密
 https://hisesshoku-derm.com/archives/2008/04/141.php

 侵襲が続いていると組織の修復が進みません。
 それで、修復が行われるまで皮下を守る
 必要があるのです。


 傷ややけどのように組織破壊が
 行われるときも同じです。


 「傷跡ややけど痕がシミになるのは
 そういう理由なんですね」


 これも生体の内部環境の恒常性を
 維持しようとする反応ですね。

 炎症、傷や火傷の組織修復が済むまでの間、
 メラニン色素を集めて守っているのです。





 ▼予防・改善するには


 「皮下を含めた皮膚内部の機能を
  損なうほどの状態にしないことが
  シミの予防につながるんですね」


 はい。
 皮膚の内部環境の恒常性を乱す要因、
 侵襲を無くしましょう。

 これまでお話してきたように、
 肌の炎症を継続させない、火傷状態にまで
 しないことが大切です。

 炎症が治まっていき、メラニン色素で皮下を
 守る必要がなくなると
 シミはだんだんと薄くなっていきます。


 「シミの変化を早くできませんか?」


 シミのある部分は組織の修復が進んでいない場所。
 正常でないため代謝が遅いのでしょう。


 「だんだん濃くなっていくこともありますよね」


 そうですね、白木さん。

 その場合は侵襲が続いているということです。
 侵襲が続いていると皮膚組織の修復が進みません。

 濃くなってしまうときは、
 炎症起因物質や皮膚組織の修復を妨げる行為から
 生活習慣を見直しましょう。





 ▼恒常性が乱されていませんか


 皮膚にシミができるのも
 炎症、組織破壊が起きたときの身体の防御反応です。


 「皮膚に起きるさまざまな症状は
  体内を守るために起きているんですね」


 そうですね、白木さん。
 色素沈着もかゆみ、ひりひり感、皮脂分泌の促進も
 生体の内部環境の恒常性が乱されていることを
 知らせている反応でした。

 皮膚トラブルと一括りにされがちですが、
 それぞれ起きている理由があります。
 原因となるものを取り除いていけば治まっていきます。


 図がなく文章だけでわかりにくい部分もあったと思います。
 ここがよくわからない、という表現がありましたら、
 下記からお気軽に牛田に質問をしてくださいね。




 ☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞ
  https://jstcd.or.jp/contact/

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