メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2008年04月01日配信

第141号 お茶に渋味を感じる理由『タンパク変性』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。


 139号では『タンパク変性』について取り上げました。
 http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/03/139.php

 白木さん、覚えていますか?



 「ええ。
  界面活性剤はタンパク質を変性させる作用を持つ!
  ってことは理解できたんですけど、
  でも、なんだかイマイチ......」



 イマイチ?



 「あまり馴染みがないせいか、
  『タンパク変性』って言葉がピンと来ないんですよねぇ」

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       ―― お茶に渋味を感じる理由 ――

         『タンパク変性』の秘密

☆------------------------------------------------------------☆


 ▼なるほど。

 牛田のような仕事をしている人間にとって、
 『タンパク変性』は"お馴染みの言葉"ですが。

 日常生活で使う機会はあまりないですよね。
 初耳、という方も多いかもしれません。


 でもね、白木さん。

 『タンパク変性』は、
 私たちのごくごく身近で起きている、日常的な現象なんですよ。



 「ホントに? 牛田さんってば、またまたぁ~~」




 ▼そもそも、『タンパク変性』とは



 『タンパク変性』とは、
 タンパク質が、物理的・化学的な影響を受けることにより、
 元の形状や性質を変化させてしまうことです。


  ☆詳しくは......
   サイト『秘密の化粧品』の"資料室"で解説しています。
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/02/tanpaku-hensei.php


 これまでのバックナンバーでは、主なタンパク変性物質として
 水素結合やジスルフィド結合を切断することによって
 皮膚のタンパク質を変性させる、『界面活性剤』を取り上げてきました。


  ☆例えば、この号。
   ~第133号 手荒れはなぜ起きる?『タンパク質と洗剤』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/02/133.php


 読者のみなさんのなかには、もしかしたら
 タンパク変性物質=界面活性剤、
 と思っている方もいらっしゃるかもしれません。



 「私、すっかりそう思い込んでました!」




 ▼意外に身近なタンパク変性



 タンパク変性物質は、界面活性剤だけではありません。

 身近なところでは......例えば『タンニン』。
 白木さんも聞き覚えがありますよね?



 「ええ。お茶やワイン、渋柿などに含まれている物質ですよね」



 そのとおり。

 タンニンが含まれている食物を口に入れると、
 強い渋味を感じますよね。

 その渋味は、

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   (1)タンニンが舌や口腔粘膜のタンパク質と結合する
              ↓
   (2)タンパク質を変性させる
              ↓
   (3)変性によって生じる痛み=「渋味」として知覚する

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 というメカニズムによって発生しているのです。




 ▼渋味が一瞬で消え去るワケ



 「お茶やワインを飲むと、確かに渋味を感じますよね。
  でも、一瞬のことだから、あまり気にしていなかったなぁ」



 渋味がすぐに消えるのも、
 タンパク質の品質管理システムによるものです。
 変性して損傷したタンパク質は、すぐに分解され、修復されます。

 最近の生化学・分子生物学・細胞生物学などの研究で、
 タンパク質の分解と修復は、分子レベルではミリ秒(1/1000)
 単位で行なわれていることが明らかになってきたとか。



 「み、ミリ秒!!
  あっという間、なんて言っていられないくらい早いですね......」




 ▼もちろん、お肌でも。



 シャンプーで髪を洗ったり、
 ボディソープで身体を洗ったり、
 乳液を顔に付けたり、
 柔軟剤で仕上げたマフラーを首に巻いたり。

 このようにして私たちは、
 日常的に界面活性剤を肌に接触させています。


 そしてそのたびに、
 お肌ではタンパク変性が起こり、
 ミリ秒単位で分解・修復が行なわれているのです。




 ▼修復されない人の場合は......



 「修復がすぐに行なわれているのなら、
  誰でもお肌はツルツル、ピカピカのままのはず、ですよね?」



 ええ。
 しかしながら、現実はそうではありません。

 界面活性剤を肌に接触させることによって、
 皮膚トラブルが起きてしまう人と、起こらない人がいます。


 生まれつきの肌質、日常のお手入れ、
 生活環境、メンタルの状態、などなど......
 お肌のバランスを崩す背景にはさまざまな要因が考えられます。



 「皮膚トラブルが起きる人、起きない人の理由が特定しにくい、
  それがコスメプロデューサーとしての長年の悩みでしたね......」



 しかし、現時点ではっきりと申し上げられるのは、
 お肌が傷んでいる人は、タンパク変性物質に肌を接触させているかぎり、
 元の健康な肌を取り戻すことができない、ということです。



 「言い換えると、
  お肌と変性物質が接触しないように気をつけていれば、
  健康なお肌に戻ることができる、ってことですよね?」



 そうです。
 習慣を変えるのは容易なことではないと思いますが、
 まずは、毎日のお手入れを一つひとつ見直すことから
 始めてみてくださいね。

 
 ★牛田への感想・コメントがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php



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