メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2005年03月15日配信
第21号 肌の味方? 『石けん』の秘密
※洗浄力の弱い洗浄剤として、「石けんで落とせる程度のメイクをしましょう」と
伝えている箇所がありますが、石けんを含むどのような洗浄剤も肌には刺激となります。
ふだんのメイクはお湯で落とせる程度にし、洗浄力の弱い洗浄剤も使わないようにしましょう。
(2012.7.3)
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
最近、洗顔についてのお問い合わせが増えています。
○石けんでメイクが落ちるの?
○石けんはお肌にやさしいの?
○マスカラはどうやって落としたらいいの?
などなど。
みなさんからたくさんの声をお聞きすることができて
とっても嬉しく思っています。
なかなかお返事を書く時間がとれず、
こころ苦しいかぎりですが...。
メルマガ上で、すこしでもお答えできたらと思っています。
というわけで、今週からしばらく
洗顔についてお話をしていく予定です。
顔を洗わない日はありませんよね。
身近な話題だからこそ、気合いを入れてお届けします。
まずは『石けん』のお話からおつきあいください!
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肌の味方? 『石けん』の秘密
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▼白木さんの新しい洗顔法
「今日は牛田さんに報告があるんですよ!」
お、白木さんゴキゲンですね。
何かいいことあったんですか?
「洗顔剤を石けんに切り替えたんです。
メイクはクレンジングじゃなきゃ落ちない!
って思い込んでいたけど、キレイに落ちちゃったんですよ~。
洗いあがりもサッパリ、ツルツル!」
そうそう。
パウダーファンデーションくらいなら、
ごくごくフツウの固形石けんで落ちてしまうんですよ。
「石けんで洗顔するなんて、手抜きみたいで嫌だったけど...。
これからはドンドン、石けんをオススメしていきましょう!」
......。
「牛田さん、ノリ悪いですねぇ。
あれ!?
もしかして...オ、オススメじゃないんですか?」
............。
そうなんです。
実は、牛田は石けんをオススメしているわけではないのです。
ゴメンナサイ。今まで、舌っ足らずだったようです。
これまでのメルマガで、
『メイクは石けん洗顔で落ちる程度のものにしましょう』
というお話を何度かしてきました。
いかにも『石けんがベスト!』
と言っているように聞こえてしまって...いましたよね。
しかし、牛田が意図していたのは、
『石けんは安全である、自然にも肌にもやさしい』
ということではありませんでした。
あくまで、『石けんで落ちる程度』。
洗浄力の目安として、石けんを挙げていたのです。
「?? なんだかよく分からないです...」
なぜ石けんをオススメしないか。
今週はじっくり、その理由をご説明します。
▼これが石けんの正体です
石けんには、一般的に
「肌にやさしい」
というイメージがあるようです。
まるで、界面活性剤が含まれていないかのように
捉えられていることもあります。
しかし、石けんは脂肪酸とアルカリの化学反応によってできたもの。
自然界には存在しない化学合成品です。
つまり...
石けんは、りっぱな合成界面活性剤なのです。
石けんは、本来混ざり合うことのない水と油をくっつけることで、
汚れを落としているのです。
果たして、
そんな界面活性効果を持つものが
肌にやさしいと言えるでしょうか?
もちろん、答えはノーなのです。
白木さん、ムズカシイ表情になっちゃいましたね。
「う~~~ん。
石けんには、軽いメイクを落とすだけの洗浄力があるけど
そのぶん、肌を傷めるチカラも持っている。
そういうことなんですね?」
そうです。
石けんはアルカリ性ですから、肌が傷んでいると刺激も感じます。
しかし、石けんにも良いところがあるんですよ。
それは、水で洗い流すことができるということ。
界面活性力も、水と一緒に失われるのです。
「界面活性効果が残らないことが、石けんの救いなんですね。
結局のところ、一番いい洗顔剤って何なんですか?」
(補足訂正)
石けんは洗い流した後も遊離脂肪酸が肌に残り、刺激となることがわかっています。(2012.7.3)
▼結局のところは...
実を言うと、そう言われると少し困ってしまうんです...。
なぜなら。
そもそも、皮膚は自浄作用を備えているものなんです。
肌は、何もつけないことで、健康が保たれるものなんです。
「メイクをするから、落とさなければいけないんですね。
つまり、メイクをしなければ、洗顔剤はいらないんですね」
ええ。
何も付けなければそのままでいいけれど、
何か付けてしまうから、それを落とす「チカラ」が
必要になってしまうんですよ。
ですから、せめて......。
洗顔剤を使うなら、
洗浄力の低いものを選んでほしい! と思っています。
「大切なのは洗浄力の強さなんですね。
それは、一体どうやって見極めたらいいんですか?」
白木さん、お答えしたいんですが...。
今週も長くなってきてしまいました。
洗浄力についてのお話は、また来週にさせてくださいね。
(補足訂正)
洗浄力の低いものも、肌を傷めてしまうことに変わりありません。
日常的に洗浄剤は使わないようにしましょう。(2012.7.3)
次回をどうぞお楽しみに!
* * * * * * * * * *
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