メールマガジン「秘密の皮膚科学」

メールマガジン「秘密の皮膚科学」

2006年07月06日配信

第82号 お肌にやさしい?『石けん』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサー・牛田専一郎です。


 東京は梅雨まっさかり......のはずが、
 真夏のように暑い日が続いています。

 もっか、白木さんの悩みは"お肌のテカリ"。


 この時期に皮脂分泌量が増えるのは自然なことなのですが、
 どうも納得がいかない様子です。

 そして、今日もまた。
 新しいコスメグッズを買ってきたみたいですよ。


 「牛田さん、見て見て!!
  "お肌がベタつく人用"っていう石けんを買ってみたんです。
  石けんだし、お肌によさそうですよね?」


 ......。

 今日のお題は"石けん"で決まりですね。

 白木さん、洗顔をする前に!
 牛田の話をよ~く聞いてくださいね。

☆----------------------------------------------------------☆

     お肌にやさしい?『石けん』の秘密


☆----------------------------------------------------------☆


 ▼○×クイズです


 『石けんはお肌にやさしい』。

 果たしてこれは○でしょうか?
 ×でしょうか???



 ・・・・・(ちょっと考えてみてくださいね)



 正解は、×です。

 今までのメルマガでも何度かお話をしていますが、
 石けんはれっきとした合成界面活性剤。

 油脂とアルカリを加熱して作られています。


 なぜか『石けん=自然なもの』というイメージが定着していますが、
 石けんは自然界には存在しない人工物なのです。



 ▼界面活性剤の"はたらき"をおさらいしましょう


 クレンジング剤や石けんを使うと、汚れがよく落ちる。
 これは誰もが体験的に知っていることですよね?

 しかし、このとき。
 お肌は汚れと一緒に大切なものを失っているのです。


 界面活性効果のある物質が皮膚や細胞に接触すると、
 たんぱく変性が起こります。

 お肌は脱脂して、もともと持っている潤いを失ってしまいます。
 そして、"体の内側を守る"というお肌本来の機能にも
 影響を及ぼしてしまうのです。



 ▼石けんならカサつかない???


 クレンジング剤が強い洗浄力を持っていること。
 たくさん使えばお肌にダメージを与えるということ。

 これもまた、みなさん体験的にご存知なのではないでしょうか。


 しかし、石けんも同じく界面活性剤で、
 ちゃんと脱脂能力を持っているものだということは
 あまり知られていないようです。

 むしろ、『石けんはお肌にやさしい』と思っている人のほうが
 多いかもしれません。


 どうしてそんなことになってしまったのか?
 コスメプロデューサーならではの"裏話"を
 ちょっとご紹介しましょう。



 ▼誤解のはじまりは"表示法"


 経済産業省が管轄している法律のひとつに、
 『家庭用品品質表示法』というものがあります。


 ●家庭用品品質表示法とは――
 ----------------------------------------------
  家庭用品品質表示法は、一般消費者が製品の品質を正しく認識し、
  その購入に際し不測の損失を被ることのないように、
  事業者に家庭用品の品質に関する表示を適正に行うよう要請し、
  一般消費者の利益の保護することを目的に、
  昭和37年に制定されました。

 ----------------------------------------------


 家庭用品品質表示法の中では、
 「合成洗剤」と「石けん」を区別する表示方法を示しています。

 実際にはどちらにも界面活性剤が含まれているのに、
 なんだか前者にだけ人工的なものが含まれているような。

 そんな印象を受けませんか?


 これが、『石けんはお肌にやさしいもの』と
 一般消費者に誤認させる原因のひとつになっているようです。

 そしてもう1つ。
 "誤認"に繋がる原因があります。

 それは、石けん関係者によるキャンペーンです。



 ▼石けんの弱点をアピールポイントに


 いわゆる「理想的」な界面活性剤とは、
 "使い終わった後に分解する"ものです。

 しかし、石けんは
 "水で分解してしまう"
 という性質を持っています。

 そういった側面から見ると、
 石けんは界面活性剤としては劣るものであると言えます。


 その「弱点」に石けん関係者は注目しました。

 "水で分解してしまう=だからお肌にも環境にもやさしい"
 という風に解釈して、石けんが界面活性剤ではないかのような
 キャンペーンを展開したのです。



 ▼石けん業界のいま...


 石けん関係者によるキャンペーンは、
 環境問題の高まりを背景に、一時期大きな運動になっていました。

 しかし、現在の市場では石けんの消費量が減少し続けています。
 廃業する石けん工場もあり、一時のような石けん関係者の団結も
 崩れつつあります。

 それにともなって、キャンペーンの維持も難しくなっているようです。


 まだキャンペーンを継続している会社もありますし、
 一部の手作り石けん関係者がその流れを踏襲している姿も見られますが、
 だんだんとその声は小さくなってきている。

 牛田はそんな風に見ています。



 ▼化粧品ならではの「常識」にご用心


 ......ここまでのお話、白木さんいかがでした?



 「石けんも界面活性剤なんですね。
  そういえば前にも牛田さんに言われたような気がするけど、
  どうしても"お肌にやさしい"ってイメージが強くて」



 そうですね。
 いちど定着してしまったイメージを修正するのって
 本当に難しいことなんです。

 化粧品にまつわるものには、
 こういう"誤ったイメージ"って多いと思いますよ。


 それをひとつひとつ解き明かしていくことが
 牛田の役目だと思っています。



 ▼牛田式・洗顔法


 日本人には『洗顔』の習慣がしっかりと身についています。
 そして、そのたびに泡をブクブクと立てなければ......と
 思っている人が多いようです。


 でも、メイクをしていないときや、顔がベタついていないときには
 水かぬるま湯でサっと洗い流すだけで十分なんですよ。

 洗顔剤は必ず使わなければいけないものではありません。
 まずはその認識を持ってくださいね。


 どうしても使わなければいけない「理由」があるときだけ、
 こんな風に洗顔してくださいね。↓


 ※今思えば陳腐です。昔はこんなことが語られていたなぁ・・・
  どのような石けん、洗浄剤も界面活性剤です。特別落ちにくいメイクをしたとき以外は、
  日常的には洗浄剤は使用しないようにしてくださいね。(2012.7.13)


  ○o。。o○。○o。o○。○o。o○○o。o○○o。o○

    1)洗顔剤を手に取ります。


    2)そしてよ~~~く泡立てます。


    3)ブクブク...と泡立ったら、お肌に乗せます。


    4)やさしく、やさしく洗ってください。
      ゴシゴシとこすってしまうと、お肌を傷めてしまいます。
      「手で洗う」というより「泡で洗う」というイメージで...。


    5)十分にすすいで洗い流します。

  ○o。。o○。○o。o○。○o。o○○o。o○○o。o○



    ☆詳しくはこちら!~第24号 洗顔のキホン! 『洗い方』の秘密
     http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/04/24.php



 ベタベタする梅雨も、
 牛田式のさっぱり洗顔で乗り切りましょうね。

 では次号をお楽しみに!


  ★牛田への感想・コメントがありましたら、
   お気軽にどうぞこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
   ☆メルマガ☆『秘密のプロジェクト』も好評配信中!
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 はげしく稼動中! の『秘密のプロジェクト』。
 "ほやほや"の最新情報をメルマガでお届けしています。

 最新号をちょっとだけご紹介。

...続きは『秘密のプロジェクト』をお読みくださいね。


 ☆ご登録はこちらからどうぞ!
 →< http://jstcd.or.jp/mailmagazines/ >

メールマガジン「秘密の皮膚科学」

関連性の高い記事

【次のエントリー】
 →第83号 フタ?ノリ?『化粧水をつけた後』の秘密

【前のエントリー】
 →第81号 化粧品にも"ルール"があります『守ってる? 薬事法』の秘密(2)

このページのTOPへ