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2025年07月29日配信

どんな肌?『敏感肌』の秘密 | 第854号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2025/07/29━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第854号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 『乾燥肌』『脂性肌』3回と『混合肌』の解説をしました。
 今週のテーマは『敏感肌』です。


 「ときどき肌が敏感になったように
  感じることがありますよね」


 そうですね。
 敏感肌にも原因があるんですよ。

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             どんな肌?

          『敏感肌』の秘密

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 ▼敏感肌とは


 「『敏感肌』とよく聞きますが、
 どんな症状が当てはまるのでしょうか」


 一般的にはこんな症状が言われているようですね。


 ◇ヒリヒリする
 ◇かゆくなりやすい
 ◇赤くなりやすい

 ◇乾燥しやすい
 ◇ニキビ・吹き出物ができやすい
 ◇物理的刺激に弱い


 体調や季節の変化で肌が不安定になり
 弱い刺激に対しても過敏に反応し炎症を
 起こしやすい、ということのようです。


 「う~ん。なんだか曖昧な表現ですね」


 そうですね。
 皮膚科学上の明確な定義はありません。





 ▼症状が起きる機序


 下記の敏感肌の症状は炎症によるものです。


 ◇ヒリヒリする
 ◇かゆくなりやすい
 ◇赤くなりやすい


 細胞間脂質の接着力が失われ、
 角質層の下に変性物質が到達してしまうと
 バリアが破られて炎症が起きる、でしたね。

 バリアが破られると、痛みを伝える
 神経線維(C-線維)が角質層直下まで
 伸びて異常が起きている箇所を脳に知らせるのです。

 ☆異変を知らせるメカニズムの図
  https://hisesshoku-derm.com/archives/2007/06/piripiri.php



 ◇乾燥しやすい

 カサついている状態は、細胞間脂質が
 変性されて接着力が低下し、角質片が
 剥離して立ち上がっている状態でした。

 ☆角質のカサついた状態の図
   https://hisesshoku-derm.com/archives/2010/09/kasatsuki.php



 ◇ニキビ・吹き出物ができやすい

 剥離した角質片と皮脂が毛穴の中にたまり、
 毛穴の出口をふさぎ、嫌気性のアクネ菌が
 増殖することで発症するのでした。

 アクネ菌の酸性の産生物によって
 毛穴の内部で炎症が起き、ニキビへと進みます。

 ☆にきびができるしくみ
  https://hisesshoku-derm.com/archives/2019/02/post_11.php





 ▼どうして敏感に?


 「どうしてこういう症状が起きやすく
  なるのでしょうね」


 一般的にはこんなことが言われています。


 ◇体内的要因

  ストレス、睡眠不足、栄養の偏り
  暴飲暴食、生理、妊娠、加齢など


 ◇体外的要因

  紫外線、化粧品、温度・湿度の変化、
  汗、ハウスダスト、金属、衣服など


 「ふ~ん。こういうものでバリア力が
  低下するとされているんですね」


 そうですね、白木さん。

 たしかに睡眠不足やストレス、暴飲暴食で
 体調が悪くなると肌のバリア力が低下する人がいます。

 気温差が激しいときも、体温を一定に保つため、
 間脳の視床下部には恒常性維持のための
 ストレスがかかっています。

 季節の変わり目にはトラブルが出やすくなることがあります。

 これらが原因で細胞間脂質の接着力が低下するとしても。

 炎症を起こす物質と接触しなければ
 敏感肌の症状は起きないのです。


 「体内的な要因で起きる症状はないんですね?」


 じんましんや圧迫によるかゆみ、
 体質によるとされるアトピーや乾癬などがありますが。

 他に体内的な要因だけで皮膚に症状が
 現れるものはまれと考えています。





 ▼敏感肌にならないために?


 まずは異常剥離を起こさないことと
 バリアを破られて炎症を起こさないこと、でしたね。

 敏感肌用の低刺激といわれる化粧品もありますが。
 一次刺激性物質との接触は、細胞間脂質の接着力が
 弱い人には、バリアが破られる原因となります。


 「紫外線も敏感肌の原因になっていますが」


 紫外線も一次刺激性ですから、
 紫外線の強い季節に無防備に浴びると
 皮膚に炎症を起こしてしまいます。

 ですが、敏感肌に当てはまる人は
 日焼け止めではなく、日傘や帽子で物理的に
 日差しを遮りましょう。





 ▼結論としては


 明確な定義がないため
 荒れやすい、刺激を感じやすいなど
 感覚的な症状が多い敏感肌ですが。

 はっきりとした症状がまだ現れていなくても、
 それぞれの症状の発症機序は同様の経過でしたね。

 どの症状も一次刺激性物質との接触による、
 細胞間脂質の接着力が低下、あるいは侵入される
 ことによるものです。

 一般的に言われているように
 「もともと敏感肌体質だから」ではありませんでしたね。

 バリア機能が低下していること、バリア機能を阻害する、
 壊す物質の侵襲によって起きているのです。



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 侵襲とは:
 
 医学で、生体の内部環境の恒常性を
 乱す可能性がある刺激全般をいう。

 ここでは、皮膚の内部環境の恒常性(バリア機能)を
 乱す要因です。
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