資料室

2008年03月03日

ASVC(活性保持型ビタミンC)の秘密

ASVC(活性保持型ビタミンC)の機能および取扱いについて

1.高濃度安定化と活性保持を両立させるメカニズム

ASVCにはビタミンC(アスコルビン酸)、グリセリン、ジグリセリンのみが含まれていますが、通常はグリセリンに35%もの高濃度でアスコルビン酸を溶解させることはできません。アスコルビン酸を特殊な方法で超微細結晶とし、これをグリセリンに懸濁させてクリーム状にすることにより高濃度安定化を達成しています。さらに、この微細結晶の特殊な性質により、体温付近まで温度が上昇するとグリセリンに溶解し、皮膚に塗布した後に本来の活性を発揮することができます。実際に塗布してみると、白いクリーム状だったものが透明になっていくのがわかります。


2.アスコルビン酸の浸透性について

化学修飾していないアスコルビン酸は皮膚に浸透しにくいと一部では言われていますが、物質が浸透するメカニズムは共存する物質や溶媒の種類などによって変化し、非常に複雑なもののようです。ASVCについては、数多くのモニター結果により、アスコルビン酸によってもたらされる効果が明確に現われており、相当量が浸透していることは間違いないと思われます。詳細な浸透メカニズムの解明についても今後の研究課題として予定しています。


3.使用方法について

一度顔全体に塗布したあと、3分程度待ってから洗い流すという使い方をします。グリセリンと溶解したアスコルビン酸が酸性物質として残留していると皮膚の負担になるため、適切な時間で洗い流します。モニター結果からは、長時間洗い流さずにおいても、短時間の場合に比べて効果は変わりません。刺激を感じる場合は塗布直後に洗い流していますが、この場合にも良好な結果が得られています。

部分的な使用も可能ですが、これを継続すると、使用している部分だけがまわりと比べて白くなってしまうことがあります。できれば一度顔全体に使い洗い流してから、気になる部分だけに再度塗布して洗い流すことをおすすめしています。顔だけではなく、体の気になる部分にも使用することができます。顔よりもむしろ早く変化を感じられるようです。


4.使用方法についてのユーザー指導のポイント

(1)洗い流すまでの時間が長くなり過ぎないようにお願いします。

高濃度のアスコルビン酸は酸性も強いため、3分間以上洗い流さない場合には、より皮膚が赤くなったりヒリヒリしたりすることがあります。一般ユーザーの方は洗い流すまでの時間を長くしようとする傾向がありますが、皮膚に負担をかけずに効果を得るための時間設定であることを理解していただくようご指導をお願いします。ただし、アスコルビン酸自体は体内に広く存在する物質のため、アレルギー反応を生じることはありません。長時間洗い流さず発赤を起こした場合も、放置すれば自然に治りますが、1日以上かかることがあります。

(2)必要以上の量を使うことはお勧めしません。

現在までの試験結果から、アスコルビン酸の濃度と効果には強い相関があると考えておりますが、必要以上の量を一度につけても効果には関係がありません。


5.保管方法と安定期間について

直射日光を避けていただければ常温保管でかまいません。ただし、室温が25℃以上になる場合には冷蔵庫での保管をお願いします。室温が25℃以上で放置した場合、クリーム状の部分が溶解して透明液状になることがあります。ただし、この場合でも菌の繁殖はなく、また機能に影響はありません。
(透明液状になると酸化が始まります)

現在までの保存試験では、18℃の恒温槽において19か月間安定であることが確認されており、引き続き試験を継続しています。19か月の時点で劣化の兆候はないので、常時18℃以下であれば2~3年は安定しているものと考えられます。


6.防腐剤について

アスコルビン酸、グリセリン、ジグリセリンのみで作られており、水も配合されていないため、防腐剤を全く必要としません。

※ASVC(Activity Sustained Vitamin C)

ASVC(活性保持型ビタミンC)は、アスコルビン酸、グリセリン、ジグリセリンのみでつくられた、クリーム状のビタミンC製剤です。

ビタミンC濃度が35%と高いタイプがクリニックのみに外用剤として供給されています。

作用が穏やかな、ビタミンC濃度が25%のタイプが化粧品原料として一般市場に供給されています。

メールマガジン「秘密の皮膚科学」

関連性の高い記事

【次のエントリー】
 →水道水の硬度等について

【前のエントリー】
 →タンパク変性の秘密

このページのTOPへ