メールマガジン「秘密の皮膚科学」

メールマガジン「秘密の皮膚科学」

2009年11月03日配信

第210号 優位性はひとつじゃない? 『ビタミンCを選んだ理由』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。


 前回は"開発の現場"から

  ・おなじみの3つのフレーズを医学用語化
  ・5人の医師と「非接触療法」の普及活動をスタート

 という2つのご報告をしましたね。


  ☆非接触療法?『開発現場からのご報告』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2009/10/209.php



 今回もまた、
 開発の現場のこぼれ話を......。


 実は意外に知られていない?
 牛田が【ビタミンCを選んだ理由】をお話します。



☆------------------------------------------------------------☆

       ── 優位性はひとつじゃない? ──
 
        『ビタミンCを選んだ理由』の秘密

☆------------------------------------------------------------☆


 ▼ビタミンCと歩んだ4年間


 姉妹メルマガ『秘密のプロジェクト』を創刊したのは、
 2005年4月のこと。

 そこから、読者との共同作業による
 研究開発が始まりました。


 スタートして間もない頃は、
 測定モニターしか
 ご存知なかったことですが......

 当初は、測定モニターのみなさんに
 『ビタミンC原料の中で一番有望なもの』を
 使用していただき、測定をおこなっていました。

 もちろん、"何もつけない"を実践したうえでのことです。



 『一番有望なもの』を使ったことで
 ビタミンCの可能性を確認することができました。

 が、その反面。
 ビタミンC濃度が低いと
 お肌の変化が現れにくいことも分かりました。


 しかし、入手可能な高濃度原料は存在していない──。


 秘密のプロジェクトを存続させるために、
 牛田に残された道はただひとつ。

 "存在しないものは、
  自分でつくってしまうしかない"

 ということです。


 そして、2005年12月から
 ビタミンC安定化の技術開発が始まりました。

 研究室にこもって昼夜なく没頭する日々が続き、
 どうにかこうにか『プロトタイプA』が誕生。


 その後も、測定&読者モニターの声に耳を傾けながら
 試行錯誤を繰り返し......

 ふと振り返ってみれば、
 現在の『ASVC』に至る道が
 できていたのでした。






 ▼牛田が「ビタミンC」に注目したワケ


 「ハイ! ハイ!!」


 白木さんが手を挙げています。
 ご質問ですか?


 「以前からずーーっとギモンに思っていたんですけど、
  星の数ほどある成分の中から【ビタミンC】を選んだのは
  どうしてなんですか?」


 よく考えたら、メルマガでは
 ちゃんとお話したことがなかったかもしれませんね。

 牛田が、以前から【ビタミンC】に注目していた理由。
 それは、次のような優位性があるからです。


 +--------------------------------------------------+
 
  ◆ビタミンCは動物・植物由来のエキス類と異なり、
   アレルギーの心配がない

  ◆医療現場において多く使用されている
   (誘導体が主流ではありますが......)

  ◆同じく医療現場において
   美白目的で使用されている他の製剤と異なり、
   皮膚刺激性・発がん性が認められない

  ◆ビタミンCだけで複数の効果が期待できる


 +--------------------------------------------------+





 ▼ビタミンCの"ゴージャス"な効果


 「ビタミンCの複数の効果と
  同様の効能を持つ成分ってあるんですか?」


 以下に、もたらす作用ごとにまとめてみました。
 おなじみの名前もありますよね?


 ■美白作用

  --- ハイドロキノン
  --- アルブチン
  --- プラセンタエキス
  --- コウジ酸
  --- エラグ酸
  --- m-トラネキサム酸


  ■抗炎症作用

  --- グリチルリチン酸2K
  --- グリチルレチン酸ステアリル
  --- アラントイン


  ■コラーゲン産生促進作用

  --- ヒドロキシプロリン(コラーゲン安定化)
  --- ツボクサエキス


 ■セラミド合成促進作用

  --- ナイアシン(ビタミンB3)


  ■抗酸化作用

  --- コエンザイムQ10
  --- アルファリポ酸
  --- ビタミンA(レチノール)
  --- ビタミンE(トコフェロール・トコトリエノール)
  --- ビタミンP(ルチン・ヘスペリジン)
  --- アスタキサンチン
  --- フェルラ酸


 それぞれに一長一短がありますが、
 関心のある方は調べてみてくださいね。





 ▼そのパワーにメディアも注目!


 『フレグランスジャーナル』誌に掲載されている
 論文のなかで、ビタミンCの皮膚浸透性について
 触れられています。

  ◇フレグランスジャーナル(1997年3月号)
   特集/ビタミンCの機能と応用
   「ビタミンCの細胞機能
    ─細胞内アスコルビン酸の高濃度化と
     それに伴う生物効果の多面性─」

   (山根 隆・長尾 則男・三羽 信比古)


  ビタミンC誘導体の浸透性がグラフ化されています。
  そのコントロールとしてアスコルビン酸の浸透性があります。
  「誘導体より12倍以上浸透性がある」と読めます。




 また、雑誌『日経ヘルス』でも
 ビタミンC誘導体と、ビタミンC単体の浸透性が
 グラフになっています。

 みなさんもご覧になったことが
 あるかもしれませんね。


  ◇日経ヘルス(2003年5月号)
   「ビタミンC パーフェクト・スキンケア」 
   P41「Cの種類と細胞への浸透スピード」


 『フレグランスジャーナル』誌の論文のグラフと
 同じデータが用いられているように見受けられます。





 ▼実は、そもそも......


 ASVCの開発が
 ビタミンC単体での安定化に向かったのは、
 ビタミンC単体の浸透性が優位な論文が
 散見されたからです。
 (Dermatol Surg 2001;27:137-142)


 果たして、本当に
 ASVCは皮膚に浸透しているのでしょうか?

 ASVCの皮膚浸透性については
 試験の準備が関係機関と始まっています。

 この先、どんなことがお知らせできるでしょうか。
 どうぞお楽しみに。





 ▼今回のご報告は、ここまで。


 牛田がビタミンCの可能性に注目し続けているのは、
 その安全性と複数の効果にありました。


 ASVCの治療的な効果が発揮されるには、
 【1】高い濃度が必要なこと
 【2】その高い濃度の酸性刺激に負けないように、
    お肌が傷んでいないこと

 以上2つの併用にあります。


 だから、先週お話した「非接触療法」と
 「ビタミンC塗布療法」はセットになっているのです。

 
 今回は、ASVCの開発秘話......
 というほどではありませんが、
 話していそうで話していなかった
 開発のこぼれ話をお届けしました。


 進捗のご報告は、またこちらで。

 『秘密の化粧品』『秘密のプロジェクト』
 それぞれの今後に、どうぞご期待ください!




  ★牛田への感想・コメントがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php




*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
   ☆メルマガ☆『秘密のプロジェクト』も好評配信中!
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 はげしく稼動中!の『秘密のプロジェクト』。
 最新情報をメルマガでお届けしています。


...続きは『秘密のプロジェクト』をお読みくださいね。


メールマガジン「秘密の皮膚科学」

【次のエントリー】
 →第211号 1番の特効薬?『休むというクスリ』の秘密

【前のエントリー】
 →第209号 非接触療法?『開発現場からのご報告』の秘密

このページのTOPへ