メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2004年12月21日配信

第10号 「大人のニキビ」の秘密(3) ~対処編~

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサー・牛田専一郎です。


 仕事にプライベートに忙しいオトナにとって
 悩みのタネは尽きないものです。
 そんな悩みのひとつが「ニキビ」。
 思春期にできたもの以上に手ごわく、なかなか治らないニキビに
 真剣にお悩みの方はたくさんいらっしゃることと思います。


 そんな方々の気持ちを少しでも軽いものにできたら・・・
 というわけで、3週にわたって「大人のニキビ」について
 お届けしています。

 「原因」「予防」に続き、最終回の今回は、「対処」について。
 できてしまったニキビをキレイに治すコツをお教えします!

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    「大人のニキビ」の秘密(3) ~対処編~


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 ▼いよいよクライマックス? 白木さんのニキビ


 先週まで赤く痛々しかった白木さんのニキビですが、だんだんと白っぽく
 なってきました。いよいよ最終段階に入ってきたようです。



 「ついに爆発までカウントダウン開始って感じですよ。
  中身、もう出しちゃっていいですよね?」



 白木さん、ちょっと待ってください!
 心を鬼にして申し上げますが、出しちゃだめです!
 せっかくそこまできたんですから、もうひとふんばりなんです。

 では、今日はニキビができてしまった後の対処について
 お話ししていきましょう。




 ▼牛田式・大人のニキビ対処法


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  ▽ これが鉄則!
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 大人のニキビができてしまったら。
 その対処には鉄則があります。


 それは、自然に中身が出てくるまで、決して潰さないことです。

 ニキビの色が赤から白に変わり、先が固くなってくると、白木さんのよう
 に「もう中身を出してしまおうかな」という誘惑に駆られるものです。
 早く無くしてしまいたい! というお気持ちはよく分かります。


 しかし、潰すことによって、治るどころか
 新たな悲劇を生んでしまうことがあるのです。

 ニキビを潰して無理に中身を押し出すと、毛穴以外の「真皮層」
 に新たな化膿を引き起こしてしまうことがあります。
 真皮層はお肌の土台の部分。
 そのため、土台の部分を傷つけてしまうと、その部分だけお肌が
 凹んでしまうのです。


 怪我をして、お肌に凸凹とした手触りの痕が残ってしまうことがあります
 よね。ニキビだって同じなのです。

 お肌を傷つけてしまえば、その部分には凸凹が残ってしまいます。
 そして回復することはありません。
 とても残酷なことですが、凸凹は永遠にそのままなのです。


 だからこそ、「中身を出したい」「潰したい」という誘惑に
 なんとか打ち勝って欲しいのです。
 じれったいかもしれませんが、自然に中身が出てくるまで、
 どうかじっと待っていて欲しいのです。


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  ▽どうしても出したいときは
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 それでも、どうしても・・・! という方のために
 やむを得ずニキビの中身を出す場合の対処法を挙げておきます。

 何かの拍子にニキビを触ってしまい、お肌を傷つけて中身が出てしまった!
 なんて場合にも参考にしてくださいね。


 ○o。___________________________。o○

  1.出す前は、入浴して身体を温め、お肌を柔らかくしておく。
    (→一時的に角質を膨潤させる意味があります)


  2.ギュっと出したら、その後は5分間くらい氷をあてて冷やす。
    (→化膿して炎症を起こしているため、それを沈静化させます)


  3.以後1週間くらいは絆創膏などを貼って日光を避ける。
    (→潰した部分は防御能力を一時的に失っています。
      回復する前に日光を浴びてしまうと、シミの原因に!)


 ○o。___________________________。o○


 それから、傷ができてしまったからといって、ベタベタした薬や化粧品を
 厚塗りするのはおすすめしません。むしろ、乾いた状態にしておくと早く
 治りますよ。これは怪我などでできてしまった傷の対処と同じですね。
                        ↑
                この部分は間違っています。
                 (2005.11.3 訂正)


 正解と解説はこちらです。

 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

 1.傷は消毒してはいけない。
   消毒は,傷の治癒を遅ら妨害しているだけの
   無意味で愚かな行為である。

 2.消毒しても傷の化膿は防げない。
   傷の化膿は別のメカニズムで起こっている。

 3.化膿した傷を消毒しても,治療効果は全くなく無意味である。

 4.傷(特に皮膚欠損創)にガーゼをあてるのは,
   創治癒を遅らせる行為である。

 5.傷はどんどん洗ったほうが良い。
   傷の化膿の予防のためにも,治癒を促進させるためにも
   最も効果がある。縫合した傷も洗ってよい。

 6.痂皮(カサブタ)は傷が治らないときにできる。
   痂皮は創治癒がストップしているからできている。
   痂皮は創治癒の大敵である。


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傷は乾かしてはいけない、が正解ですね。

詳しくは第53号をお読みください。(2005.11.8 追加)

詳しくは第54号をお読みください。(2005.11.15 追加)


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  ▽効果あり!? ビタミンC
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 "ニキビ治療には「ビタミンC誘導体」が効果的!"
 そんな文句を化粧品広告や美容雑誌で頻繁に見かけるようになりました。

 本当に効くの?
 試してみたい!
 そう思っていらっしゃる方も多いかもしれません。


 ビタミンCは、もともと不安定な物質です。
 時間や環境の変化に伴って性質が変化してしまうため、化粧品としての商
 品化は難しいとされてきました。
 そこで、ビタミンCに分子を加えて安定化を図ったのが「ビタミンC誘導
 体」なのです。

 牛田も、ニキビにビタミンCは効果があると見ています。


 ポピュラーになったビタミンC誘導体(水溶性)はph8のアルカリ性です。
 ニキビがあって赤みが出ている肌、毛穴が開き気味の肌、にはアルカリ性は
 マイナスの効果になります。

 オイルやクリームなどに使われる油溶性のビタミンC誘導体は酸性ですが、
 ニキビが育ってしまいますので、ニキビのある肌には奨められません。

 ビタミンCはニキビに効果があると見ていますが、ビタミンC誘導体は水溶性、
 油溶性ともに、ニキビの肌にはお奨めしにくいということになります。


 ・・・というわけで、白木さん。
 つらいけれど、今はとにかく我慢!なのです。



 「美のためには、時には我慢も必要なんですよね。
  私としたことが、コスメフリークとしての自覚を忘れてました」



 そうそう、その意気です! きっときれいに治りますよ。


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  ~読者の方から頂いたメッセージをご紹介します~
  「秘密の化粧品」メール相談室

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 先週までは読者の「さつきさん」とのやりとりを連載でご紹介させていた
 だきました。


 今も牛田のメールボックスには読者の方からのメッセージが途絶えること
 なく届いています。中には、「今後もこのコーナーをぜひ続けてください
 !」という嬉しい感想まで・・・。


 そんな声にお応えして、今号からもこのコーナーは継続します!
 読者の方からのご意見・ご質問&牛田からの回答をご紹介していきたいと
 思います。


┌――┐
|\/| 読者・Aさんからのメッセージ
└―――――――――――――――――――――――――――――――――


 牛田さん、こんにちは。
 いつもメルマガを楽しみにしています。


 実はお肌のことで悩んでいます。
 目と口の周りは乾燥するのですが、他の部分はしっとりしてテカテカ。
 首やあごの周りに絶えずニキビができてしまい、治ったと思ったらまた
 プツっとできてしまう・・・という繰り返しです。
 中高生のころはあまりできなかったのですが・・・。


 治りたい一心ですがなかなか改善せず、なんだか精神的にも不安定になっ
 てきているようです。
 牛田さん、どうかアドバイスをお願いします!


――――――――――――――――――――――――――――――――――


┌――┐
|\/| 牛田からのメッセージ
└―――――――――――――――――――――――――――――――――


 Aさん、こんにちは。
 文面から推察しますに、皮脂分泌は正常にあるようなのですが、弱い肌質
 でらっしゃるようですね。そして、ニキビの原因はストレスのようです。
 中高生のころに皮脂分泌が過剰でなかった方が、大人になって急にベタベ
 タする肌質になることはありませんからね。


 では、早速ですが、ニキビができてしまっている間のお手入れについて
 お話します。


 まず、出来ている部分に、化粧水等しっとりするものをつけるのは逆効果
 です。お化粧も治癒を遅らせてしまいます。
 肌を擦る行為を出きるだけ避けましょう。


 ポイントを挙げてみますね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 1:リンス等のお顔への付着・残留を防ぐため、
   洗髪後に石けん洗顔をしましょう。

 (訂正)
 シャンプー・リンス、石けんは一次刺激性物質です。使わないようにしましょう。(2012.7.3)


 2:夜は、洗顔後に何もつけないで寝ましょう。


 3:朝の洗顔は石けんを使わずに流水で。


 4:ファンデーションはパウダータイプに。

 (補足訂正)  ニキビができているときは、ファンデーションをつけないほうが早く改善します。
 どうしても必要な場合は、界面活性剤やシリコンが配合されていないものを選びましょう。
 お湯のみで落とせる程度をブラシでつけるようにしてくださいね。(2012.7.3)


 5:ファンデーションを使用する時は、
   乾燥する部分にだけワセリンをつけましょう。


 6:メイクを落とす時も石けん洗顔だけにしましょう。
   クレンジング剤の使用、コットンによる拭き取りはやめましょう。

 (補足訂正)普段のメイクはお湯のみで落とせる程度にしましょう。(2012.7.3)


 7:自分の髪がニキビの出来ている部分に触れないようにしましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ニキビ痕を気にして、ついしっかりメイクになりがちですが、新しいニキ
 ビを作らない為にも、少し我慢してみましょう。


 今は人の目が気になってしまうかもしれません。お辛いことでしょう。
 でも、上に挙げたポイントに気をつけていただければ、きっと綺麗なお肌
 に近づくはずです。それによってストレスも軽減されますから、きっとニ
 キビもできにくくなりますよ。

 コスメプロデューサー 牛田専一郎

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             次号の秘密

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 次号は『薬事法の秘密』
 をお届けします。
 法律から見た化粧品のお話をします。
 エ、そうだったの? なんてお話が飛び出すかも。


 来週も、世間でまことしやかにささやかれている常識が
 見事にひっくり返ります。
 どうぞ心のご準備を・・・

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