メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2009年12月01日配信

第214号 "お肌の弱い人"って?『接触性過敏症候群とは』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。

 


 【非接触療法】の普及活動をスタートさせるにあたり、
 当メルマガでおなじみのフレーズを
 次のように呼ぶことになりました。

 

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  「何もつけない」お手入れ法⇒「非接触療法」
   ASVCを使用すること    ⇒「ビタミンC塗布療法」
   「お肌が弱い人」          ⇒「接触性過敏症候群」

 

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  (このことは、10月下旬のメルマガでお知らせしましたね↓)
   ☆209号『開発現場からのご報告』の秘密
    http://hisesshoku-derm.com/archives/2009/10/209.php

 

 さて、このたび。
 3つめの「接触性過敏症候群」の英名が決まりました。


 【Contact Hypersensitive Syndrome】
 (コンタクト ハイパーセンスィティブ シンドローム)


 です!

  
 

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        ── "お肌の弱い人"って? ──

         『接触性過敏症候群とは』の秘密

 

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 ▼具体的にはどんな症状を指す?


 化粧品や石けん、柔軟仕上げ剤に感作を示さず、
 生まれつき強くてキレイなお肌の持ち主がいる一方で、
 ごく当たり前の日常生活を送っているはずなのに
 お肌が赤くなったり、かぶれたり、
 吹き出物ができてしまう人がいます。


 このような、タンパク変性物質や感作物質が配合された
 化粧品や日用品を使用することによって
 皮膚トラブルを起こしてしまう、
 接触物の影響を受けやすい肌質を
 "接触性過敏症候群"と名づけました。

 

 「症候群(Syndrome)って、症候のかたまりのことですよね。
  そのなかには、どんな症状が含まれているんでしょうか?」


 白木さん、なかなかいい質問ですね。

 接触性過敏症候群に含まれる症状は、 
 ニキビ、シミ、シワ、肝斑、皮膚炎、角化症などです。

 お肌の弱い人が、
 タンパク変性物質や感作物質に接触すると起こる
 皮膚トラブルの多くを指しています。


 これから、非接触療法の普及活動を続けていくにあたって、

 接触性過敏症候群を医学的に定義できるのか?
 その診断基準は何か?
 検査の方法は?

 などなど、さまざまな課題がありますが、
 ゆっくりとevidence(科学的根拠)をつくっていこう
 と考えています。

 

 "お肌が弱い人の肌"とは
 どんなお肌のことを指しているのか──?

 これを具体的に突き詰めていけば、
 課題の解に近づくかもしれませんね。

 

 


 ▼"お肌の弱い人"ってどんな人?


 「このメルマガ&サイトでいうところの
  "お肌の弱い人"とは、
  具体的にどんな人のことを指しているのでしょうか?」


 お肌の強い人と、弱い人。
 両者の分かれ目を解くキーワードのひとつに
 "タンパク変性"があります。


 以前にもお話したことがありますが、
 "タンニン"というタンパク変性物質を
 例にとって考えてみましょう。

 お茶や渋柿などを口に含むと、
 口の中に強い渋味が広がります。

 

 そのメカニズムはこちら。

  (1)タンニンが舌や口腔粘膜のタンパク質と結合する
  (2)結合されたタンパク質で活性の低下・消失が起こる
  (3)変性によって生じる痛みを「渋味」として知覚する


 タンパク質が変性しても、
 その分解と修復はミリ秒(1/1000秒)で行われています。

 分子生物学では、
 舌の表面のタンパク質は数時間で新しいタンパク質に
 入れ替わっている、と言われているほど。

 どんなに渋い柿を食べても、
 渋味がいつまでも続かないのは
 人間が知覚できないほどのハイスピードで
 タンパク質の分解と修復が行われているからなんですね。

 

 


 ▼お肌でもタンパク変性が起こる


 「渋柿の話と、お肌の弱い人の話は
  どこで繋がってくるんですか......??」


 白木さん、もう少し続きを聞いてください。
 もうちょっとで繋がってきますから。


 お茶を飲んだり、
 渋柿を食べたりすれば、
 誰でも口腔粘膜でタンパク変性が起こり、
 分解・修復されます。

 粘膜では、どんな人でも等しく起こる現象です。


 ところが、
 お肌の場合は誰でも同じ、ではありません。

 お肌でも、界面活性剤などを使用することにより
 タンパク変性が起こります。

 ここまでは誰でも同じですが、
 その後の反応は人それぞれ。


 ◎タンパク変性後、
  問題なく修復される人→お肌が強い人

 ◎修復されずトラブルに繋がってしまう人→お肌が弱い人

 大きく分けて、このふたつに分かれるのです。

 

 


 ▼タンパク変性後、お肌では何が起きている?


 「"お肌が弱い人"とは、
  タンパク変性で受けたダメージを
  リカバリーできない人のことを指しているのですね。

  タンパク変性の後、
  お肌ではどんな現象が起きているのでしょうか?」

 

 肌の外側は、角層と呼ばれる薄い層で覆われています。

 表皮の細胞は表皮の最下層で生まれ、
 4週間かけて押し上げられ、最後には
 死んで角質となり表面から剥がれ落ちる、
 というサイクルを繰り返しています。


 角層の中身は、角質と
 セラミドと、コレステロールと、脂肪酸。
 角質以外の3つを細胞間脂質と呼びます。


 皮膚の上部へと押し上げられる過程で、
 細胞は死んで細胞間脂質を放出します。

 自らの中身を出し、接着剤とすることで
 自分自身が剥がれないように繋ぎ止めているのです。

 タンパク変性は、
 この【接着剤】の役目に影響を与えます。

 

  生まれつきお肌が弱い人や、
 季節の変わり目で疲れていたり、体調を崩している人。
 精神的なストレスを抱えている人、などなど。

 何らかの理由で"お肌が弱い"状態にある人は
 角質層の接着力が低下してしまう場合があるのです。

 

 皮膚が突っ張るように感じたり、
 カサカサしたり、
 皮がむけたり。

 

 こういった症状は、
 接着力の低下によるもの。

 シャンプーやリンス、
 洗顔剤や洗濯洗剤に接触して
 お肌でタンパク変性が起きた後、
 皮膚が以前の状態に回復できないために
 起こるのです。

 

 


 ▼あなたは"接触性過敏症候群"?


 頭皮や顔、身体などに
 こんな皮膚トラブルがある方は
 "お肌の弱い人"かもしれません。


 1 .フェイスラインにニキビがある
 2 .いつも同じ場所にニキビができる
 3 .毛穴の開きや黒ずみが目立つ
 4 .何を使ってもお肌がカサつく
 5 .いつもお肌に赤みがある
 6 .身体に吹き出物やカサつき、痒みがある
 7 .頭皮に湿疹がある
 8 .化粧崩れしやすく、テカリやすい
 9 .小じわが気になる
 10.シミができる、増える

 

 もし、
 夏場に汗でかぶれた経験をお持ちなら......

 あなたは"接触性過敏症候群"である可能性大、です。

   ☆汗のしわざ?『メイクを休む!』の秘密
    http://hisesshoku-derm.com/archives/2009/07/199.php


 悩みを解くカギは、日常生活にあり。
 毎日の生活習慣を見直すことから始めましょう。

 


 ★牛田への感想・コメントがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  → http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php

 

 

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