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2022年11月29日配信

効果は?安全性は?『レチノール配合商品』の秘密 | 第733号

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022/11/29━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第733号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 最近はレチノール配合の
 スキンケア商品が話題とよく耳にします。


 「シワを改善するっていう成分ですよね!」


 ですが、使用上の注意も必要なのですよ。

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         効果は?安全性は?

       『レチノール配合商品』の秘密

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 ▼そもそもレチノールとは


 「そもそも、レチノールって
  どんな成分なのでしょう?」


 レチノールとは「ビタミンA」のことです。

 生体においてレチノールは、

 ・胚発生、胎児発育中の臓器形成
 ・正常な免疫機能
 ・眼の発達および視覚における重要な役割

 などのはたらきがあります。

 欠乏すると、
 失明、甲状腺や皮膚の疾患、
 感染症にかかりやすくなるなどの症状が現れます。


 食品中のビタミンAには、
 動物性食品からの既成ビタミンAと
 果実や野菜からのプロビタミンAカロテノイドの2種類があります。

 既成ビタミンAが豊富な動物性食品は、
 乳製品、肝臓、魚油。

 プロビタミンAカロテノイドは、
 サツマイモやほうれん草などの野菜に
 豊富に含まれています。


 ただし、既成ビタミンAの過剰摂取においては
 強い毒性が認められ、妊娠前および妊娠中は
 特に禁忌とされています。

 これは、重度の先天性欠損をもたらす
 可能性があるためです。


 「なんだか怖いですね。
  足りなくても取りすぎても
  よくないものなんですね」


 そうですね、白木さん。

 また、ビタミンAは脂溶性ビタミンですので、
 こちらに書いたような特徴もあります↓ 
 https://jstcd.or.jp/vitamin/





 ▼治療としてのレチノール


 レチノールとその類似体を総称して「レチノイド」と呼びます。

 レチノイドは網膜色素変性、
 急性前骨髄球性白血病や皮膚疾患の
 治療に使われています。

 ただし、先ほどお話したようにすべてのレチノイド化合物は
 先天性異常を起こすことが認められているため、
 潜在的な副作用と毒性を伴うようです。

 妊娠の可能性のある女性はレチノイドの服用は
 禁忌とされています。


 「いつから化粧品に配合されるように
  なったんでしょうか」


 日本では化粧品メーカーの申請により、2017年に
 医薬部外品でシワ改善有効成分として
 厚生労働省に承認されました。

 レチノイドはさまざまな化粧品にも配合されるようになり、
 今注目の成分かもしれません。





 ▼肌につけると?


 「もともと治療にも使われる成分だったら、
  効果が期待できそうですよね!」


 ええ、そうだといいのですが......。

 レチノールを使用すると赤み、
 乾燥感、腫れ、かゆみなどの
 レチノイド反応が現れることがあります。

 また、多くの皮膚科医は妊娠中、糖尿病の方には
 外用ビタミンAを避けるように指導しています。

 そのため、社団のサイトに掲載している
 以下の皮膚症状がある方には
 好ましくないと牛田は考えています。


 〇ニキビ、毛穴の開き、酒さ、赤み、毛孔性角化症
 〇シミ、くすみ、肝斑、黒ずみ

 〇しわ、カサつき、乾燥、
 〇肌荒れ、アトピー性皮膚炎、痒み





 ■現状の商品は?


 一般の化粧品に配合されている含有量は、
 0.025%以下のセールス用の成分のようです。


 「セールス用の成分......」


 配合濃度が高い場合は
 医師の指導に従ってくださいね。

 肌が接触の影響を受けやすい方は、
 良さそうなものを試す前に、
 肌の状態を見て判断しましょう。




 ☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞ
  →→ https://jstcd.or.jp/contact/

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