メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2009年10月13日配信

第207号 石けんで洗うべき?『インフルエンザ対策』の秘密

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサーの牛田専一郎です。


 おかげさまで好評をいただいております
 【読者さんのリクエストに答えます】シリーズ。

 前回は、以前から多くのお問い合わせをいただいていた
 『食品パック』についてお話しました。

  ☆美味しいものは肌にも良い?『食品パック』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2009/10/206.php



 シリーズ5回目となる今回は、
 【インフルエンザ】についてお話します。

 インフルエンザは毎年、秋以降に流行する感染症ですが、
 みなさんご存知のとおり、
 今年は豚に由来する新型インフルエンザが発生しています。


 まずは、読者さんから寄せられた
 手洗いについての質問メールからご紹介します。


☆------------------------------------------------------------☆

         ── 石けんで洗うべき? ──
 
          『インフルエンザ対策』の秘密

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 ▼時節柄、こんな質問が増えています


  ┌────────────────────────────
  |◆【インフルエンザ予防には石けんが必要?】
  | 
  | 
  | 200号おめでとうございます。早いですね。
  | 実際にみなさまにお会いしたことはないのですが、
  | 私たち読者も感慨深いです。
  | 
  | ところで、
  | インフルエンザ対策の手洗いとして
  | 石けんは必要でしょうか?
  | 
  | 牛田さんは、ほとんどの汚れはお湯で大丈夫と
  | おっしゃっていますが、どうなのでしょう?
  | 
  | また機会があれば、教えていただけるとうれしいです。
  | ではでは、今後ともメルマガ楽しみにしています。
  | 
  |                     (40代・女性)
  | 
  └────────────────────────────


 手洗いについては、
 バックナンバーでお話したことがありますね。

 白木さん、覚えていますか?



 「覚えてますよ~!
  "調理やお手洗いのあとも石けんで手を洗わなくていいの?"
  っていうお問い合わせをいただいたんですよね」

   ☆殺菌すれば安心?『お手洗いに入ったあと』の秘密
    http://hisesshoku-derm.com/archives/2008/09/164.php



 このときのお話の要点は、次のとおりでしたね。

  ・皮膚には私たちのお肌を守る【皮膚常在菌】が住んでいる
  ・石けんを使うと、悪性の菌と一緒に
   皮膚常在菌まで殺菌してしまう

  ・菌は水やお湯で洗い流せる
  ・だから、トイレのあとも、調理のあとも
   お湯で手を洗うだけで充分!



 「でも牛田さん、
  今度は強敵【インフルエンザウィルス】ですよ!

  まさか、これもまた水で洗い流せばいいってわけには
  いかないですよね??」





 ▼ところが、その「まさか」なんです


 インフルエンザウィルスは、
 粘膜に取り付き、増殖します。


 「手の甲にも、手のひらにも
  粘膜はありませんよね?」


 ええ。
 だから、手にインフルエンザウィルスが付着したとしても
 そこで増殖することはありません。

 また、インフルエンザウィルスも
 バックナンバーでお話した"悪性の菌"と同じように
 水かお湯で洗い流すことができます。




 ▼マスクと手洗いの効果は......


 感染した人が同じ家の中にいる場合は、
 家族はインフルエンザウィルスと濃厚に
 接触してしまいます。

 目には見えませんが、
 インフルエンザウィルスは
 空気中にも浮遊しています。


 この条件では、手洗いをしても、ウィルスは
 すぐにまた、身体に付着してしまう可能性が高いのです。


 「たしかに、室内の空気中に漂っていたら
  いくら洗い流してもキリがないですよね......。

  家族の感染に気付いたら
  同じ部屋で過ごさないようにすればいいんでしょうか?」


 インフルエンザの発症は
 感染から3~4日かかると言われています。

 症状が現れてくる数日前から
 感染者は呼吸しながら、息とともに
 ウィルスを吐き出しているのです。


 「つまり、症状が現れてから部屋を別々にしても、
  すでに手遅れということなんですね!?」


 ええ、残念ながら。


 「発熱、下痢、嘔吐などの症状がまだ現れていない人でも
  インフルエンザウィルスに感染している可能性があるんですね。

  ってことは、
  外出するときだけでなく
  家にいるときもマスクが手放せないってことでしょうか?」


 近年、インフルエンザウィルスのレセプター(受容体)は
 のどや鼻(気道粘膜)だけでなく、
 目の粘膜にもあると言われています。

 つまり、マスクをして鼻と口を覆っただけでは
 ウィルスの感染を防ぎきれないということです。





 ▼インフルエンザはこうして広がっていく


 「そもそも、ウィルスって
  どんなふうに人から人へ感染するのでしょうか?」



 インフルエンザの感染経路には
 「飛沫感染」「空気感染」「接触感染」の3パターンがあります。


 <<1.飛沫感染>>

  インフルエンザウイルスは気管支や肺に感染して増殖し、
  感染者が咳やクシャミをする際に、
  粘液や脱落粘膜などと一緒に
  周辺1.5メートルの範囲内に飛散します。

  これが近くにいる人々の気道内に吸い込まれると、
  ウイルスの感染が起こります。

  これを「飛沫感染」と呼びます。
  このときの飛沫物の大きさは直径5ミクロン以上で、
  到達距離は1メートル前後と言われています。


 <<2.空気感染>>

  咳やクシャミの際に生じるジェット気流によって、
  飛沫物から周辺の水分が消えて
  小さな粒子である飛沫核が形成されます。

  飛沫核は軽いため、しばらくの間空気中を漂っています。

  そして、その飛沫核が周辺の人の気道内に吸い込まれると、
  やはりウイルスの感染が起こります。
  これが「空気感染(飛沫核感染)」と呼ばれるものです。

  この飛沫核の大きさは5ミクロン以下で、
  到達距離は長いとされていますが、
  飛沫核感染によって感染が起きる確率については
  現在のところ、明確になっていません。

  飛沫物の大多数は下方に落下します。
  若干の小粒子、または小飛沫物質から水分が失われた飛沫核は
  しばらく空中を浮遊しますが、
  そのウイルス量はそれほど多くはありません。

  人前で予期せぬ咳やクシャミが出そうになったときは、
  ティッシュで口と鼻を押さえる必要があります。
  それが間に合わない場合は、肘の内側で押さえましょう。


 <<3.接触感染>>

  接触感染は、
  欧米で重要視されているインフルエンザ感染様式です。

  ・飛沫物が周辺の物体の表面に付着して、
   それを触ることで手に付着したウイルスが気道内に吸い込まれる

  ・さらにその汚染された手を介して
   周辺の物体にウイルスが広がってゆく

  という経路で感染が拡大していきます。




 ▼どうしたらいいの? インフルエンザ対策


 「なるほど。
  こういうルートで人から人へ感染しているのですね。
  目には見えないものだけに、対処法が難しいですが
  感染を防ぐにはどうしたらいいんでしょうか?」


 <<感染を防ぐためには>>

  外出先では、不用意に物の表面に触れないようにしましょう。

  人混みの中に長時間いる場合は
  マスク着用が手段の一つとして考えられますが、
  それだけでは飛沫感染に対して効果はそれほど期待できません。

  顔や髪の毛にも、感染者の飛沫物が
  付着している可能性があるからです。

  帰宅後には洗顔を行いましょう。
  可能ならば洗髪することもおすすめです。
  
  また、外套や上着など
  感染者からの飛沫物を浴びたと考えられる衣服は、
  8時間以上は手に触れない場所に吊しておきましょう。

  飛沫物中のウイルスは室温で数時間、
  さらに気温が下がると1日以上生きているからです。

  インフルエンザ対策として
  "確実に有効な方法"は未だ見つかっていませんが、
  基本的には『人混みに入らないこと』が
  最善で賢明な感染予防対策といえます。



 <<感染を広げないためには>>

  自分自身がかからないように心がけることだけが
  対策ではありません。

  かかってしまった場合は、
  自分以外の他人にうつさないようにすることが
  最も重要な対策です。

  発熱、咳、クシャミなどの
  インフルエンザ様症状がでてしまった場合は、
  『自宅に留まること』が基本的義務です。




 ☆新型インフルエンザの現状・対策については
  厚生労働省のホームページで紹介されています。
  こちらもチェックしてみてくださいね。

  【健康:新型インフルエンザ対策関連情報】
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html




  ★牛田への感想・コメントがありましたら、
  お気軽にどうぞこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php




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