メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2005年04月27日配信

第27号 『菌』の秘密 ~お肌編~

 みなさん、こんにちは。
 コスメプロデューサー・牛田専一郎です。


 先週から「菌」の秘密についてお話しています。

 悪者のイメージが根強い菌のこと、
 すこし身近に感じていただけたでしょうか??


 今週は、お肌に住む菌のお話。
 菌は、お肌の健康にも密接に関係しているんですよ。



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         『菌』の秘密 ~お肌編~


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 ▼先週のおさらいです


 先週から『菌』の秘密についてお話しています。
 白木さん、先週のポイントをお願いします!



 「ハイ!

  ○水中・空中・土壌中...菌はいたるところに棲息している

  ○地球上に生きる生物は菌を始めとした微生物の活動に守られている

  ○人間の身体にも無数の菌が棲息。
   皮膚の上にも、口腔や消化器内にも!

  ○"悪者"のイメージが定着している悪玉菌も、
   人間の身体バランスを保つために欠かせない存在。
   善玉菌と悪玉菌が共生してこそ、
   人間は健康を維持することができる。

  ...ということでしたよね」



 そうそう。
 詳しくはこちらをお読みくださいね。
 →☆先週号「菌の秘密~善玉菌・悪玉菌編~」
 http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/04/26.php



 「目には見えないけど、
  私の身体には菌がたくさん住んでいるんですよね...。
  そして、お肌の上にも!!」



 そうなんです。
 今週は菌とお肌の関係についてお話します。




 ▼お肌にはいつも菌が住んでいる


 お肌には、


 ○表皮ブドウ球菌
 ○アクネ菌


 などの菌が住んでいます。


 私たちのお肌から分泌される皮脂や汗をエサにして活動しています。

 これらは、どんな人のお肌にも住む「常在菌」。
 ニキビができる時だけ存在しているかのようなイメージがありますが、
 実はどんなときもお肌に棲息している菌なのです。


 皮膚の中でも皮脂腺の多い顔面では、個人差はありますが
 以下の菌が優位に常在しているそうです。



 1)プロピオニバクテリウム属...嫌気性...アクネ菌類
 2)スタヒロコッカス属...好気性...表皮ブドウ球菌類
 3)マラセチア属(ピチロスポルム属) ...好気性...酵母様真菌類



 これらの菌は皮脂を分解して、
 グリセリン・オレイン酸・パルミチン酸・ステアリン酸・酢酸
 プロピオン酸・ニコチン酸などを代謝産生し、
 それぞれがそれをエサに増殖促進をするという
 複雑な食物連鎖があるようです。




 ▼お肌は菌に守られている


 繰り返しお話していることですが、
 人間の身体に無駄なものはありません。


 お肌に住む菌だって同じ。
 れっきとした役割を持っているのです。

 お肌に住む菌は、
 産生した酸類により、
 お肌に悪い菌が入ってくるのを防いでいます。


 皮脂と汗で皮膚は弱酸性に保たれていますが、
 そこに住んでいる常在菌は弱酸性でなければ増殖できません。

 そして、酸性物質を産生することにより、
 病原菌や皮膚に常在しない菌郡の増殖を阻止しているのです。


 なぜか、病原菌郡は酸性域では増殖できないのです。


 ニキビの原因菌と思われている
 プロピオニバクテリウム属のアクネ菌たちは、
 酢酸、プロピオン酸を代謝産生して、
 病原菌となる黄色ブドウ球菌やレンサ球菌、
 大腸菌、緑膿菌などを静菌、殺菌しています。

 つまり、お肌を健康な状態にする働きをしているのです。



 「菌は悪さをするものだとばかり思っていたけれど...。
  まったく正反対だったんですね!
  でも、市販されているソープやニキビ用化粧品のボトルには、
  よく"抗菌"って書いてありますよね。
  大切な働きをしている菌なのに、退治してしまうわけですよね??」



 白木さん、よく気がつきましたね。


 "菌はお肌の大敵!"
 "菌を追い出してキレイになろう!"


 こんなイメージを全面に打ち出している化粧品や洗剤を
 あちこちで見かけますね。


 しかし、それは商品を売るためのうたい文句に過ぎません。
 実際にもたらしているのは逆効果。

 菌を追い出してしまうことによって、
 お肌は大きな痛手を背負っているのです。




 ▼無菌=健康?


 お肌の「悪い菌」を追い出そうと抗菌・殺菌・消毒をすると、
 常在菌も一緒に追い出してしまいます。


 増殖する「悪い菌」の代表は、黄色ブドウ球菌。

 お肌の健康を守ってくれている「表皮ブドウ球菌」と
 名前は似ていますが、その性質はまったく異なります。


 お肌のキズを化膿させたり、
 口に入れば下痢や食中毒を引き起こしたり。

 アトピー性皮膚炎の皮膚では
 黄色ブドウ球菌が最優位に検出される例が多いそうです。


 黄色ブドウ球菌が増殖してしまうと、
 私たちのお肌は確実にバランスを失います。



 「う~~ん。
  菌を追い出して健康になるつもりが、
  実際には不健康な状態を招いてしまっているんですね。
  何のための抗菌なんだろ...」



 ほんとうですね。
 『清潔』であることが当たり前になってしまったいま、
 牛田のお話に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。


 でも、人間の身体にとっていちばんいいのは
 自然であることなんです。

 自然な状態で存在している菌は、必要があるからそこにいる。
 いまお届けしている「菌の秘密」で
 ひとりでも多くの方にそのことを知っていただけたら、と思っています。


 次回もどうぞお楽しみに!


 ★牛田への感想・コメントはこちらへ。
  http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php


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【お知らせ】


 GWは、お休みの方が多いと思いますので1回お休みとします。
 次回の配信は、5/10(火)を予定しています。


 お楽しみに!


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 そこで、牛田のアンケートにそっとお答えいただけないでしょうか?

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