メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2005年11月15日配信
第54号 『傷と乾燥』の秘密
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
前回は、傷にまつわる"常識のウソ"についてお話しました。
いかがだったでしょうか?
○第53号 ウソ? ホント? 『傷』の秘密
→ http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/11/53.php
このお話をした直後、なんと
白木さんは包丁で指を切ってしまったとか。
「ぼんやり考え事をしながらタマネギを刻んでいたら、
人差し指をちょこっとだけ......。
でも、"傷の秘密"を知った後だったから、
あんまり慌てずに対処できたんですよ。
メルマガの内容どおりに、
・消毒をしないで
・水で洗い流して
・ガーゼをあてずに
過ごしていたら、まだ1週間も経たないのに
傷口がきれいにふさがってきました。よかったぁ」
白木さん、どうぞお大事に。
さっそくお役に立つことができてよかったです。
実はもうひとつ。
読者のみなさんにご紹介したいお話があるんですよ。
今週も最後までお付き合いくださいね。
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『傷と乾燥』の秘密
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▼傷は乾かしたほうがいい?
先週は"創傷ケアの「常識の嘘」"についてお話しました。
でも、牛田がこの事実を知った経緯については
お話していませんでしたね。
そもそも牛田は、
・ニキビで悩んでいる読者の方が、意外なほど多いこと
・そして、病院に通っても治らないとの不満が多いこと
を、ずっと疑問に思っていました。
そして、ある日もそんなことを考えながら
書店の医学書コーナーを歩いていましたら。
夏井 睦(なつい まこと)先生の
・「創傷治療の常識非常識」(三輪書店)
・「これからの創傷治療」(医学書院)
に出合ったんです。
思わず買い求めて拝読いたしました。
そして、夏井先生のサイトを訪れたのです。
○新しい創傷治療
→ http://www.wound-treatment.jp/
前回もご紹介しましたが、夏井先生は
長野県松本市にある相澤病院のお医者さま。
「傷」の専門家でいらっしゃる方です。
夏井先生のサイトに掲載されているお話の数々は、
おそらく、かなり目新しいもの。
"既存の常識"にどっぷりと浸かっている方には
いささかショッキングな内容かもしれません。
お肌の専門家である牛田でさえも、
エェ~! と驚いたり、
ヘェ~。 と感心したり。
目からウロコをボトボトと落としています。
そして。
夏井先生のサイトを読みながら、もうひとつ見つけたのです。
『秘密の化粧品』読者のみなさんにぜひともお伝えしたい情報を。
それは、
"傷は乾かしてはいけない"
ということなんです。
▼皮膚にも弱点がある
まずは、夏井先生のサイトにある文章を引用させていただきましょう。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
真皮の唯一の弱点,それが乾燥だ。
乾燥させると真皮はすぐに死んでしまう。
そして同時に・・・「真皮の中にある表皮」である
毛穴も汗管も死んでしまう。
そして,死んだものはもう生き返らない。
ということは,表皮欠損創(すりむき傷や熱傷)を乾燥させると
傷は治らなくなってしまうのだ。
当然の話である。
つまり,「傷を乾かすと傷は治らない」のだ
(「傷は治ると乾く」・・・というのが正しい)。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
☆全文はこちら
→ http://www.wound-treatment.jp/wound008.htm
白木さん、いかがでしょうか?
「たしか、真皮はお肌の土台の部分。
この部分を傷つけてしまうと、その部分だけ
お肌が凹んでしまうんですよね?」
その通り。
白木さん、よく覚えていましたね。
真皮については、以前にお話したことがありました。
○第10号 「大人のニキビ」の秘密(3) ~対処編~
→ http://hisesshoku-derm.com/archives/2004/12/10.php
○"真皮"ってどこ? という方はこちらをどうぞ。
「皮膚の構造」
→ http://www.wound-treatment.jp/wound005.htm
真皮は皮膚の再生に欠かせない層。
そして、夏井先生がおっしゃっているように
乾燥にとても弱い性質を持っているのです。
だから、お肌に傷ができてしまったら。
そして、その傷をキレイに治したいのなら。
傷 を乾燥させないことがとても大切なのです。
▼ニキビも傷なら......
「牛田さん、気になることがあるんですけど......」
何です?
「ニキビ用の化粧品って、
"さらさらパウダー入り"
とか、
"テカらない成分入り"
って謳ってますよね。
つまり、ニキビ用の化粧品は
乾燥を促すような成分を含んでいるってことですよね。
そんなものを使いながら真皮を傷つけてしまったら、
ニキビの跡が残りやすくなってしまうのでは??」
白木さん、いつになくスルドイですね。
その通りなんです。
牛田が、
○ニキビも傷のひとつ!
○ニキビができているときはニキビ専用の化粧品を使わないこと!
と口酸っぱく言っているのは、そういう理由もあるのです。
▼お肌に傷ができてしまったら
「じゃあ、結局のところ、
お肌にニキビの傷ができてしまったら、
どうしたらいいんですか?」
先週のおさらいになりますが、
ポイントは4つあります。
1つ目は、傷口を殺菌・消毒しないこと。
殺菌・消毒を行うと、傷の治癒が遅れてしまいます。
2つ目は、傷口にガーゼをあてないこと。
これもまた、傷の治癒が遅れる原因になります。
3つ目は、傷口を水で洗うこと。
傷口の化膿を予防し、また、治癒を促進させる効果があります。
そして、4つ目は......
"傷を乾燥させないこと"です。
かといって、化粧水や乳液をベタベタとつけていいはずは......
ありませんよね。
健康なお肌の機能さえもおびやかす化粧水や乳液が、
傷ついたお肌にいいはずがありません。
「じゃあ、ニキビの傷を乾燥させないために、
具体的にはどうしたらいいんですか?」
残念ながら、ニキビの閉鎖療法については
まだ臨床例が少なく、ニキビの場合は
単純に傷としての処置がしにくいようなのです。
「そうですか......。
どうしたらいいか、早く知りたいですね」
そうですね。
これからも、牛田は情報を集め続けます。
有力な情報が見つかり次第、このメルマガで
お知らせしていきますから、楽しみにしていてくださいね。
▼牛田からのお詫びと訂正
ここで、みなさんにお伝えしておかなければならないことがあります。
以前にお届けしたメルマガの中に、こんな一文がありました。
===============================================================
> むしろ、乾いた状態にしておくと早く治りますよ。
> これは怪我などでできてしまった傷の対処と同じですね。
===============================================================
ここまでの内容を読んでこられた方は
すでにお分かりですよね?
事実は、まったく逆だったのです。
傷を乾燥させると、治りが遅くなってしまいます。
そして、跡が残ってしまう可能性が高くなります。
お詫びして訂正いたします。
(※以下の記事には、修正のコメントを加えています)
○第10号 「大人のニキビ」の秘密(3) ~対処編~
→ http://hisesshoku-derm.com/archives/2004/12/10.php
▼詳しくはこちらを
傷のホントをもっと知りたい!
という方は、ぜひこちらをご覧ください。
○創傷治癒の基礎知識
→ http://www.wound-treatment.jp/title_kiso.htm
今日お話した内容も掲載されています。
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先週・今週と2回にわたって
夏井先生のお話を引用させていただきましたが、
いかがだったでしょうか?
感想や疑問などありましたら
牛田までお気軽にお聞かせくださいね。
http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php
では、次号の『秘密の化粧品』をどうぞお楽しみに!!
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またも苦しい・・・と始まった今週号。
読者からのメールに牛田は何が苦しいのでしょう。
でも嬉しいとは!?
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...続きは『秘密のプロジェクト』をお読みくださいね。
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