メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2005年11月08日配信
第53号 ウソ? ホント? 『傷』の秘密
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
先週号では、読者の方からいただいた質問と、
牛田からの回答を一挙掲載いたしました。
いかがだったでしょうか?
○第52号"『何もつけないQ&A』の秘密"
→ http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/11/52.php
私も『何もつけない』を始めてみようかな。
ひとりでも多くの方にそう思っていただけたらうれしいですね。
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ウソ? ホント? 『傷』の秘密
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▼覚えていますか?
さて、白木さん。
先週号で一番最後にご紹介したメールを覚えてますか?
「お医者様からいただいたメールですよね。
ええと......こちらですね」
┌――┐
|\/| 【驚きを隠せません......】
└―――――――――――――――――――――――――――――――
|
| それにしても,化粧品業界(全てとはいいませんが)の
| デタラメさには驚くばかりです。
|
| この業界は「皮膚呼吸」という言葉を使うのが好きですが,
| 皮膚で呼吸をしているのはカエルなどの両生類だけです。
|
| 流行のコラーゲンも噴飯もの。口から食べたコラーゲンは
| 皮膚の成分になりません。ヒアルロン酸も同じでしょう。
|
| 皮膚にコラーゲンを塗る,に至っては言葉もありません。
| 馬鹿か君たちは,という感じです。
|
| 高校程度の生物の知識があれば,
| 皮膚にコラーゲンを塗っても無駄ってことは分かると思います。
|
| こういうインチキ情報で食っている業界,
| そういうインチキ情報に振り回される消費者......,
| 外部から見ていると、
| 詐欺師と被害者が手を取り合っているようにしか見えません。
|
└―――――――――――――――――――――――――――――――
こちらのメールを下さったのは、
夏井 睦(なつい まこと)先生。
長野県松本市にある特定医療法人慈泉会 相澤病院のお医者様です。
夏井先生は「傷」の専門家でいらっしゃいます。
そして、こちらのサイトを開設されています。
○新しい創傷治療
→ http://www.wound-treatment.jp/
ウンウンと頷いたり、ウ~ンと唸ったり。
こちらのサイトを拝見しながら、牛田は強く思いました。
夏井先生のお話を、メルマガ読者の方にぜひご紹介したいと。
そしてその旨先生にメールでお願いしたところ、
"もちろん,構いません。"
とご快諾をいただくことができました。
夏井先生、ありがとうございます!
というわけで。
今日は「傷のウソ・ホント」についてお話します。
▼あなたの常識は真実?
次の○×クイズに答えてみてください。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
1.傷(裂傷,挫傷,縫合創,熱傷,褥瘡など...)は必ず消毒する。
消毒しなければいけない。
2.傷は消毒しないと化膿する。傷が化膿しないように消毒している。
3.傷が化膿したので消毒する。
4.傷にはガーゼをあてる。
5.傷は濡らしてはいけない。縫った傷は濡らしてはいけない。
6.痂皮(カサブタ)は傷が治るときにできる。
痂皮ができたら傷が治る。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
白木さん、マルは何個ありましたか?
「ええと......全部マルだったので、6つですね」
正解を発表します。
マルはひとつもありません。
全部バツなんです。
「ぜ、全部!?」
夏井先生いわく、
1~6の処置をすると、傷が治るどころか、
治癒が遅れてしまうのだそうです。
「でも、だってだって!
転んだら消毒して、ガーゼをあてて、紙テープで止めて。
小さい頃からずっと、そうしてきましたよ?」
ええ。
読者のみなさんもそうかもしれませんね。
しかし、事実は違うのです。
夏井先生のお話によると、現役の医療従事者ですら
大多数が正しい知識を持っていないのだそうですよ。
「『カサブタができたら治りかけのサインね』って、
母親に言われながら大人になったのに......。
......(ブツブツ)」
白木さん、ショックを隠せないようです。
▼これが新しい「常識」です
さきほどのクイズ。
正解と解説はこちらです。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
1.傷は消毒してはいけない。
消毒は,傷の治癒を遅ら妨害しているだけの
無意味で愚かな行為である。
2.消毒しても傷の化膿は防げない。
傷の化膿は別のメカニズムで起こっている。
3.化膿した傷を消毒しても,治療効果は全くなく無意味である。
4.傷(特に皮膚欠損創)にガーゼをあてるのは,
創治癒を遅らせる行為である。
5.傷はどんどん洗ったほうが良い。
傷の化膿の予防のためにも,治癒を促進させるためにも
最も効果がある。縫合した傷も洗ってよい。
6.痂皮(カサブタ)は傷が治らないときにできる。
痂皮は創治癒がストップしているからできている。
痂皮は創治癒の大敵である。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
傷ができたらまず消毒。
それからガーゼをあてて、カサブタができるのを待つ。
......といった"従来の常識"を
見事に覆す"新常識"ですよね。
「消毒は無意味なんだ......
ガーゼは逆効果なんだ......
カサブタは『治りかけ』じゃなくて『治癒ストップ』のサイン......
......(ブツブツ)」
白木さんのショックはまだ続いているようです。
▼牛田の想いに通じるものが......
ここまでご紹介した、
"傷は水で洗うこと、消毒してはいけない"
という夏井先生のお話。
"ニキビも「傷」である"
と解釈すると、牛田が今までお話してきた理論に
ピタリと合致するところがあるのです。
皮膚についた汚れやばい菌だけでなく、
皮膚を守る働きをする常在菌も除去してしまううえに、
タンパク変性を起こす「界面活性剤」。
そして、殺菌効果を謳った「ニキビ用化粧品」。
これらを使用することで、
ニキビの治りは遅くなる。
今はお肌が健康な人も、
やがてお肌を傷めていく。
お肌の健康と美容の立場からそう訴えていた牛田ですが、
創傷ケアの「常識の嘘」に気が付かない部分がありました。
ところが、何年も前から「消毒とガーゼ」の撲滅を目指して
活動をされているお医者様がいらっしゃったのです。
そのことに、牛田は心強さとよろこびを感じています。
▼詳しくはこちらを
今日お話した内容は、こちらのページで紹介されています。
○創傷ケアの「常識の嘘」
→ http://www.wound-treatment.jp/wound006.htm
メルマガでの紹介に快いお返事をくださった夏井 睦先生、
あらためてお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
夏井先生のお話、まだまだご紹介させていただきたいものが
たくさんあります。
次号の『秘密の化粧品』をどうぞお楽しみに!!
★牛田への感想・コメントはこちらへ。
http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php
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