メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2006年03月22日配信
第67号 お肌の美は"知ること"から!『傷が治るしくみ』の秘密(1)
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
3・4日おきに、温かな風が吹くようになりました。
まさに"三寒四温"ですね。
......あれれ。
春がすぐそこまで来ているというのに、
白木さんが浮かない顔をしています。
今日は一体どうしたのでしょうか?
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――お肌の美は"知ること"から!――
『傷が治るしくみ』の秘密(1)
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▼またまた......
「またまたニキビができちゃったんです~~(涙)」
一難去ってまた一難。
白木さんのお肌は、忙しいですね......。
「しかも、今回は重症なんです。
洗顔をしていたら、うっかり引っ掻いてしまって」
あっ。
血が出てるじゃないですか。
これはもう、"傷"の段階に来てしまっていますね。
残念ながら、たしかに重症です。
▼症状によってはニキビも"傷"
ニキビはニキビ! と考えている人が多いかもしれませんが、
炎症・化膿を起こしてしまったら、
ニキビではなく"傷"と認識して、対処法を考えましょう。
以前のメルマガで、『傷の秘密』について
お話したことがありましたが、覚えていますか?
○第53号 ウソ? ホント? 『傷』の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/11/53.php
傷治療のウソ・ホントに
ビックリされた方もたくさんいらっしゃることでしょう。
今回は、それをさらに掘り下げて
傷の治るメカニズムについてお話します。
白木さんも、
"ニキビを治すためにするべきこと・してはいけないこと"
が分かるはずですよ。
▼『傷が治る』ってどういうこと?
傷治療のメカニズムを考える前に、
そもそも『傷が治る』とはどういうことなのか?
その定義を確認してみましょう。
『傷が治る』とは、
"損傷によって失われた部分(表皮組織)が再生すること"
を指しています。
お肌に傷ができてしまうと、
・痛み
・出血浸出液の分泌
・その後の感染
といった症状が現れます。
しかし、これらに悩まされるのは、表皮が再生するまで。
表皮が元通りになれば、痛みやジュクジュクからも解放されます。
傷を治すためには、
表皮再生を促進することが近道なのです。
○表皮って何だっけ? という方はこちらをどうぞ↓
『表皮の構成図』
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/post-6.php
▼傷が治るしくみ
では、傷がどうやって治っていくのか?
そのメカニズムについてお話していきましょう。
表皮の再生には、真皮にある毛孔や汗腺が大きな働きをしています。
そのため、『真皮が残されているかどうか(傷が浅いか、深いか)』が、
大きな分かれ目となります。
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【傷が軽度である場合】(=真皮が残っている場合)
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傷ができた直後は、
皮膚の一番上にある表皮が欠損し、
真皮が露出している状態になっています。
しかし、しばらくすると
毛孔などの表皮細胞や、周囲の健康な表皮細胞が
表皮欠損部分に向かって移動を始めます。
そして、露出した真皮が
移動してきた表皮細胞で覆われることによって
表皮が再生するのです。
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【傷が重度である場合】(=真皮が失われている場合)
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真皮が失われているため、
そこに含まれている毛孔や汗腺もなくなっています。
それでは傷が治らないのか!?
......というと、そうではありません。
傷ができてしまった部分は、
まず肉芽組織(赤く柔らかい粒状の結合組織)で覆われます。
その後、この肉芽組織を足場として
周囲の皮膚の表皮細胞が移動を始めるのです。
やがて傷の部分は次第に収縮し、
表皮となっていきます。
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▼お肌はたくましい。でも......
「細胞が移動してくるなんて、すごい再生力!
お肌ってたくましいんですね~」
そうですね。
しかし、この再生力が発揮されるためには、
ある条件が必要なのです。
それは、『傷を乾かさないこと』。
ここまでのところでお話したとおり、
傷が深い場合も、浅い場合も、
失われた表皮を再生させるのは、周囲の"細胞"です。
細胞は、湿った環境で活動するものです。
その反面、乾燥にとても弱いという性質を持っています。
ひとたび乾いてしまうと、細胞が移動するどころか、
死滅してしまうのです。
表皮の再生を促進するためには、
細胞が活動しやすい環境を作ってあげること。
そのために、『傷を乾かさないこと』。
これが何より大切なのです。
「いま、私のお肌にできているニキビもそうだけど、
傷ができると表面がジュクジュクしてきますよね。
それも、乾かさずに放っておいたほうがいいのかしら??」
白木さん、いい質問ですね。
『ジュクジュク』の正体については
来週じっくりお話しすることにしましょう。
それでは、次回もどうぞお楽しみに!
★牛田への感想・コメントはこちらへ。
http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php
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【参考文献】
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今回のお話は、現役のお医者様でいらっしゃいます
夏井睦先生の本『これからの創傷治療』
を参考にさせていただきました。
http://www.igaku-shoin.co.jp/prd/00125/0012501.html
夏井先生、ありがとうございます。
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