バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2021年11月30日配信
皮膚科の新薬続々?『医療費で見る変化~その2~』の秘密 | 第689号
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2021/11/30━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと
「秘密の皮膚科学」
第689号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
前回は昨年度の医療費の変化を
診療科ごとに見てみました。
「皮膚科の医療費も他科目と同様に
下がっていますが、減少率は
低かったんですよね」
はい。その理由は皮膚科の「調剤医療費」が
大きく伸びていることにありそう、と。
今日はその続きです。
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皮膚科の新薬続々?
『医療費で見る変化~その2~』の秘密
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▼皮膚科の薬剤料の傾向は?
こちらから各年度の医療費、調剤医療費のデータが見られます↓
☆医科・調剤医療費の動向調査:集計結果(厚生労働省)
「どこを見たらいいんですか......?」
そうですよね。
皮膚科の調剤医療費の推移を年度ごとにまとめると↓
表を見ると、
薬剤料の内訳はこんなふうになっています。
・内服薬
・頓服薬
・注射薬
・外用薬
・後発医薬品
「えーっと、皮膚科で伸びているのは......
『注射薬』と『外用薬』『後発医薬品』ですね」
はい。「後発医薬品」は
他科目でも増えていますが、
「注射薬」と「外用薬」が気になりますね。
▼アトピー性皮膚炎の新薬続々?
調べてみると、2020年前後から
アトピー性皮膚炎の新薬が次々と
開発されているようなのです。
アトピー性皮膚炎の患者さんは
年々増加傾向にあるとされています。
最近では成人してから発症するというケースが
増えているそうですが。
「う~ん。外用剤は塗り薬ですよね。
でも皮膚科で注射薬......?」
あまりなじみがないですよね。
表を見ると、注射薬は平成30年度の4億から
令和元年に30億に一気に伸びていますね。
注射薬はアトピー性皮膚炎としては
初めての生物学的製剤。
特にアトピーが重症化した患者さんに
効果があるとされているようです。
「なぜ注射にする必要があるんでしょうか」
タンパク質をもとに作られた生物学的製剤ですが、
タンパク質は飲み薬にすると胃腸で消化されて
しまうからなのです。
注射薬の開発は承認待ちのものもあり、
これからも続いていくようです。
▼調剤医療費はまだ増えていく?
「効果のある薬ならどんどん
開発されるといいですね!」
ええ......。
そうだといいのですが。
注射薬は比較的高額になること、
また免疫を抑制する作用があるとのことで、
副作用も考えられます。
また、アトピー性皮膚炎は
原因がわからなければ治療は長期化しがちです。
「薬の開発とともに、悪化要因をなくす
ことも大切ということですね」
はい。
牛田は今後薬剤の開発が
どう進んでいくのか注視しています。
▼おわりに ~肌が弱い人に優しい生活空間を目指して~
牛田は大人のアトピー性皮膚炎が増えていることや
重症化することの一因に現代の生活環境が
あると考えています。
接触することで炎症を起こす物質が
身の回りにあふれています。
この状況ではアトピー性皮膚炎の
患者さんは増えていくでしょう。
調剤医療費の増加傾向から、
薬の開発が対症療法的に進んでいる
ように感じられます。
肌の弱い人が普通に生活していても
炎症を起こさないような生活空間を
早く作っていきたいですね。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞこちらへ。
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