メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2012年12月25日配信
第341号 生活や加齢で変わる?『肌の強さ』の秘密
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2012/12/25━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと!
「秘密の皮膚科学」
第341号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
白木さん、早いもので
2012年も残すところあと数日ですね。
「本当に早いですね~。
なんだか年を重ねるたびに早くなっていくような......。
ところで牛田さん、
年齢とともに肌の強さって変わるんでしょうか?」
肌の強さについては
読者の方からもご質問をいただいているんですよ。
一年の終わりにじっくり考えてみましょうか。
肌の強い人・弱い人の定義についても
あらためて確認しましょう。
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── 生活や加齢で変わる? ──
『肌の強さ』の秘密
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▼肌の強さ・3つの質問にお答えします
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| 【Q1.非接触療法で刺激物への耐性が落ちる?】
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| 寒くなってから鼻水がでるようになったので
| ティッシュを使い始めたところ、小鼻や鼻の下が
| ひりひりするようになってしまいました。
|
| 非接触療法を始めて以来
| 初めてワセリンを使っていたのですが
| バックナンバーを読み返して、
| ティッシュを断つことに決めて
| 無漂白のペーパータオルに差し替えることにしました。
|
| 今はジップロックの袋に
| 小さくカットしたペーパータオルを入れて
| 持ち歩いています。
|
| そこでひとつお伺いしたいのですが、
| 非接触療法を続けていると刺激物への耐性が落ちたり、
| 反応が出やすくなったりするのでしょうか?
|
| といいますのも、ティッシュをはじめ、
| すすぎ残りの風呂場用洗剤でも
| 顔に顕著な反応があったのです。
|
| 家族は、"非接触療法を始めてから
| 今までになかった肌トラブルが起こるようになったのでは?"
| と疑問に思っている様子です。
|
| 自分では、乳液やクリームをつけていた時も
| 改善しなかった粉ふきが今年はないので、
| 非接触療法の効果を実感しているのですが......。
|
| 一次刺激物との接触が少なくなると
| 肌に現れる反応が大きくなる、
| ということがあるのでしょうか?
| 教えてください。
|
| (30代・女性)
|
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"何もつけない生活"をしていると、
肌の弱い人でも、季節に関係なく
健康な素肌を保つことができます。
しかし、これは
『肌が強くなったから』ではありません。
炎症や湿疹、カサつきなどのトラブルを引き起こす
原因物質と接触していないだけなのです。
何もつけない生活をしている人が
強い接触があったときや、弱い接触が続いたときに
ダメージが現れやすくなったように感じるのは
そのためです。
一次刺激性物質は目には見えません。
特に、最近の衣類・寝具・日用品などには
化学処理が施されたものが増えていますから
一次刺激性物質と気づかずに触れてしまう
という状況が起こりやすくなっています。
ご質問のメールのように
何気なく使ったものが原因で
急に炎症やニキビ、カサつきが現れて
びっくりしてしまう人も多いでしょう。
急なトラブルは
原因を特定しやすいので、すみやかに
思い当たるものとの接触を断ちましょう。
一次刺激性物質との接触を避ければ
すぐに肌の状態は元に戻るはずです。
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| 【Q2.加齢によって肌質が変わる?】
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| 「肌の強い人は、界面活性剤やシリコンなどの
| 一次刺激性物質を含む化粧品を使っても
| トラブルが表面に現れにくい。」
|
| という説明がメルマガにありましたが
| 表面には現れないけど......?
| どうなるんでしょう??
|
| 表面に現れなければ
| まったく問題ないのでしょうか。
|
| 例えば、加齢とともに体質が変わって
| トラブルが表面に現れてくる場合もあるのでしょうか。
|
| それとも、生まれつき肌の強い人は
| 一生大丈夫なのでしょうか。
|
| (50代・女性)
|
└────────────────────────────
◎肌の強い人も"接触の積み重ね"にご用心
以前は化粧品を使っていても肌がきれいだったのに
突然トラブルが出るようになったという方もいるでしょう。
これは肌が弱くなった、敏感になったというわけではなく、
トラブルが現れる閾値まで
接触の影響が重なったと考えています。
(どの程度の接触をすると
目に見えるトラブルになるかは個人の肌の強さによります)
大人になってさまざまな化粧品を使うようになったことが
肌トラブルのきっかけ、という方もいますが
それだけではないようです。
現在は以前に比べて
抗菌・柔軟加工をした日用品が増えているため
知らぬ間に接触が積み重なりやすくなっています。
そのため、肌が強いと思っていた方も
突然トラブルが現れることがあるようです。
◎肌の強さは加齢で変化しない
肌の強い人でも、接触後に測定をすれば、
紅斑値などの数値に変化が現れていることでしょう。
ただ、(あくまでも牛田のイメージですが)
肌の強い人はタンパク質の修復が早く、
ダメージとして残りにくいようです。
肌の強さは生まれつきですので、
加齢によって変化することはありません。
肌の強い人が一生強いままでいられるかどうかも、
生まれつきのもので、個人差があります。
一次刺激性物質の接触が現れにくい、
本当に肌の強いタイプなら
年齢を重ねても接触の影響を受けにくいでしょう。
ただ、自覚しているかどうかは別として、
シミやしわなど肌に悩みのない『本当に肌が強い人』は
20%未満で、かなり少ないのではないかと思います。
いつか統計をとってみたいですね。
┌────────────────────────────
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| 【Q3.「肌が薄い」と「肌が弱い」は同じ?】
|
|
| 「肌が薄い」と「肌が弱い」は
| イコールなのでしょうか。
| それとも違うのでしょうか?
|
| また、どういう人が「肌が薄い人」なのでしょうか?
|
| (女性)
|
└────────────────────────────
皮膚生理の観点からお話しすると
肌の厚さには大きな個人差はありません。
厚いほうが肌が強いとか、健康である、
ということもありません。
肌が弱い人とは、
一次刺激性物質との接触の影響を受けやすい人です。
毛穴、シミ、乾燥、シワ、くすみ、ニキビ、
赤み、テカリ、アトピー、アレルギー、毛孔性角化症......
などの悩みが一つでもある方は
「肌が弱い人」に当てはまります。
なお、ときどき質問をいただくことがありますが
洗顔時に多少こすってしまっても
皮膚が薄くなることはありません。
ご安心くださいね。
▼本年もご愛読ありがとうございました
2012年最終号は
ご質問にお答えしながら
肌の強さについて考えてみました。
白木さん、いかがでしたか?
「日々の暮らし方が肌に現れるんだな~と
しみじみ思いました。
目には見えなくても、
毎日積み重ねているんですよね」
年末年始は、肌についても
じっくり見直し&新たなスタートをきる
いい機会かもしれませんね。
読者のみなさん、フェローのみなさん、
本年もご愛読いただき、
ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
☆質問・疑問などがありましたら、
お気軽にどうぞこちらへ。
→→ http://hisesshoku-derm.com/archives/01about/info.php
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