バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2016年01月19日配信
第492号 料理前、外出後は?『手の洗い方』の秘密
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2016/01/19━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと!
「秘密の皮膚科学」
第492号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
風邪やインフルエンザが気になる季節。
手洗いについてのご質問が増えてきました。
今回は、次の3つのシチュエーションでの
手の洗い方についてお話しします。
◯料理をするとき
◯外出先から帰ったとき
◯お手洗いのあと
それぞれの状況でどのように手を洗ったらよいのか、
みなさんも考えてみてくださいね。
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── 料理前、外出後は? ──
『手の洗い方』の秘密
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▼まずは『菌』についておさらいしましょう
日常生活で意識する機会はほとんどないかもしれませんが、
私たちの皮膚には『表皮ブドウ球菌』『アクネ菌』などの
皮膚常在菌がすんでおり、その数は約1兆個ともいわれています。
皮膚常在菌は、肌から分泌される皮脂や汗を食べて
酸を排出し、皮膚を弱酸性に保っています。
『黄色ブドウ球菌』などの悪性菌はアルカリ性を好むため、
皮膚常在菌のバランスが保たれているとき(=弱酸性)は
繁殖しません。
皮膚常在菌は、皮膚の上で精妙な食物連鎖を築きながら
皮膚を守るバリアの役割を果たしているのです。
▼常在菌のバランスを壊さない生活を
風邪やインフルエンザを予防するには
石けんやハンドソープを使った手洗いが必要では?
というお問い合わせも多いのですが、
これらを使うと皮膚常在菌が殺菌され、
悪性菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
顔や身体と同じように、手もお湯だけで洗い、
皮膚常在菌が増殖しやすい環境をつくりましょう。
◎非接触生活・4つめの習慣
【顔、身体、髪、手は水またはお湯のみで洗う】
http://hisesshoku-derm.com/contents/style/nanimo04.php
では次に、冒頭でご紹介した
3つのシチュエーションでの手洗いについてお話します。
▼状況(1):料理をするときは
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『Q.調理前は石けんを使って手を洗うべき?』(女性)
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牛田先生が推奨しているペーパーで
拭き取るように手を洗っています。
お陰様で冬でも乾燥知らずです。
私が今迷っているのは、料理をするときです。
直接食材に触るので、料理前だけは
純石けんなどで洗ったほうがいいのでしょうか?
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◆A.調理前後も、いつもの手洗いで大丈夫です。
皮膚常在菌がバリアの役割をしていますから、
雑菌が手で繁殖することはありません。
調理前も、調理後も、いつもの方法
(流水のもとペーパータオルで丁寧に手を拭う)で
手を洗いましょう。
ちなみに、
"手にケガをしているときは料理をしてはいけない"
とよく言われますね。
手に切り傷などがあるときは
傷の部分は皮膚常在菌が増殖しにくく、
悪性菌が繁殖しやすい環境になっているからです。
ただし、手にケガをしていても、
調理してすぐに食べるなら問題はありません。
食品についた菌が増殖するまでには時間がかかるからです。
お弁当など、調理してから
時間をおいて食べるものの調理は控えましょう。
▼状況(2):外出先から帰ったときは
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『Q.いつもの手洗いで、ウイルスも洗い流せる?』(女性)
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指定のペーパータオルを使った手の洗い方で
手についた雑菌やウイルス細菌も取れますか?
風邪予防には手洗い・うがい、なので
どうかと思いまして!
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◆A.洗い流せます。増殖することもありません。
日常生活でさまざまなものに触れることで
一時的に付着する菌を『通過菌』といいます。
雑菌やウイルスは通過菌ですので、
付着してそのまま手で増殖することはありません。
流水で1分ほどよく洗うだけで
ほとんどのウイルスが落ちているという報告もあります。
外出先から戻ったら、時間をかけて
お湯で丁寧に手を洗いましょう。
石けんを使っていないからといって
風邪をひきやすくなることはありませんので、
安心してくださいね。
インフルエンザ対策が気になる方は、こちらをどうぞ。
☆第207号 石けんで洗うべき?『インフルエンザ対策』の秘密
http://www.hisesshoku-derm.com/archives/2009/10/207.php
▼状況(3):お手洗いのあとは
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『Q.オムツを替えたあともお湯だけで大丈夫?』(女性)
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赤ちゃんがおり、オムツを替えた後も
お湯で洗うのみで雑菌が取れるか、心配です。
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◆A.大丈夫です。お湯でよく洗いましょう。
先ほどもお話ししたとおり、
皮膚常在菌のバランスが保たれた手では
悪性菌が繁殖しません。
オムツ替えやお手洗いのあとも
石けんを使わず、お湯だけで大丈夫。
丁寧によく洗いましょう。
▼おわりに ~ 常在菌のバランス維持を心がけて ~
今回は手洗いについてお話しました。
白木さん、いかがでしたか?
「1兆個の常在菌が
私たちの肌を守ってくれているんですね。
目に見える石けんやハンドソープに目が行きがちですが、
目には見えない常在菌たちに思いを馳せながら
この冬を過ごしたいと思います......!」
そうですね。
手・顔・身体を洗うときは、殺菌ではなく
"常在菌のバランスを崩さないこと"
を第一に考えましょう。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞこちらへ。
→→http://jstcd.or.jp/contact/
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