バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2024年10月15日配信
注射薬?『皮膚科で増える薬剤料』の秘密 | 第820号
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと
「秘密の皮膚科学」
第820号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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シニアフェローの牛田専一郎です。
最近、皮膚科で注射薬を勧められることが
あるようです。
「皮膚科で注射?何の治療ですか」
今日は増えてきた治療法についてお話しますね。
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注射薬?
『皮膚科で増える薬剤料』の秘密
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▼読者の方からのご相談
きっかけは読者の方からのご相談でした。
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自家感作性皮膚炎と診断され、
デュピルマブを紹介されました。
金額も高いのですが、これは何でしょうか。
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「自家感作性皮膚炎とは
どんなものですか」
身体にできた発疹や虫刺されを掻くことで
悪化し、発疹が全身に広がります。
激しいかゆみがありますが、掻くことでさらに
広がることがあります。
「デュピ......なんとか、っていうのは
どんなお薬なんですか」
デュピルマブ。
デュピクセントともいい、タンパク質をもとに
作られた生物学的製剤です。
「生物学的製剤?」
生物が産生するタンパク質などの物質を
医薬品として利用したものです。
デュピルマブは、遺伝子組み換え技術により、
チャイニーズハムスター卵巣細胞を
用いて製造されているそうです。
アレルギー性の炎症の原因となるIL-4/IL-13シグナル伝達を
阻害する、免疫調整薬です。
こんな適応があるようですね。
◇アトピー性皮膚炎
◇結節性痒疹
◇突発性の慢性蕁麻疹
◇気管支喘息
◇鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
「皮膚科というと塗り薬や飲み薬のイメージ
でしたが、注射薬があるんですね」
ええ。以前メルマガでお知らせしましたが、
皮膚科では注射薬が増えているんですよ。
▼どのくらい?注射薬の普及
厚生労働省では毎年9月頃に前年度の
医療費の動向が発表されています↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43263.html
皮膚科の調剤医療費の内訳を見ると
注射薬はこんな推移です。
◇「注射薬」薬剤料(単位:億円)
平成30年 4
令和元年 30
令和2年 54
令和3年 105
令和4年 152
令和5年 239
「すごい伸び率ですね!」
そうですね、白木さん。
デュピルマブは2018年(平成30年)4月に
日本で発売されました。
適応が拡大し、2023年(令和5年)9月には
生後6ヵ月から使用可能になりました。
アトピーなどの皮膚炎に使用される注射薬には
他にもこんな種類があります。
ネモリズマブ(2022年承認)
トラロキヌマブ(2022年承認)
レブリキズマブ(2024年承認)
「種類も増えてきたんですね」
はい。
免疫を調節、抑制するはたらきのある薬には
アレルギー反応や結膜炎、ヘルペス感染などの
副作用があるようですね。
感染症にかからないよう注意が必要です。
▼視点をどこに?
いろいろな薬が開発され、重度のアトピーが
改善したという患者さんもいるかもしれません。
ただ、原因がそのままなら再び
症状がぶり返す可能性があります。
皮膚炎が悪化する原因を取り除く必要がありますね。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞ
https://jstcd.or.jp/contact/
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