バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2020年05月19日配信
第616号 消毒は必須?『増える手荒れのご相談』の秘密
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2020/05/19━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと
「秘密の皮膚科学」
第616号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
「牛田さん、最近は消毒液を
使う方が増えていますよね。
手荒れなどのご報告が
増えている気がするのですが」
白木さん、そうなんですよ。
コロナウイルス感染防止のため、
石鹸や消毒液を使った手洗いが
励行されています。
そのため手ががさがさになってしまったり、
手の湿疹が悪化したり。
手荒れがかえって感染のリスクを
高めてしまうこともあります。
今回は、そんな手荒れを
防ぐ方法をお話しします。
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消毒は必須?
『増える手荒れのご相談』の秘密
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▼荒れた手からの感染を防ぐために
東京都健康安全研究センター微生物部が
調査した「手洗いによるウイルス除去効果の検討」
(2006年)という論文があります。
手洗いをしない場合に比べ、
〇流水のみで洗った場合
〇石鹸を使用した場合
〇消毒剤を使用した場合
について、ウイルスの除去効果
(ウイルスの「感染価」と遺伝子量測定)を
検討しています。
※ウイルス感染価・・・細胞感染性を持つウイルス粒子の数
それによると、流水のみですすぎ洗いを15秒した場合でも
ウイルスの感染価、遺伝子量ともに、
約100分の1(約1%)に減少することが
明らかになっています。
■肌の弱い人はふだんは流水のみで
「流水で手洗いをするだけでも
99%ウイルスを除去できるんですね!」
ええ。
脱脂力の強い消毒液や石鹸を頻繁に
使って、手が荒れた状態になると、
その傷からかえってウイルスや細菌が
侵入しやすくなってしまいます。
皮膚のバリア機能が低下するためです。
「手が痛いとこまめな手洗いも
したくなくなりますよね。
特に小さなお子さんは」
日常生活では流水のみで15秒~30秒、
心配な方は、帰宅後や食事前に
消毒液や石鹸を使って手洗いをするなど、
できるだけ使用頻度を減らすとよいでしょう。
手洗いをした後は、
しっかり水分を拭き取るようにしてくださいね。
▼おわりに ~間接接触を防ぐことを忘れずに~
今回は、手洗い励行のこの時期の
手荒れ防止策についてお伝えしました。
白木さん、いかがでしたか?
「手荒れと同時に、顔に赤みが出てしまうと
いうご相談もありますね」
手から間接接触してしまっているんですね。
石鹸を使った後、
その手で顔や髪に触ると、肌に赤みや
カサつきが出てしまうことがあります。
間接接触を防ぐために、
もう一度、指定のペーパータオルを使い
流水の下で手をぬぐうように洗ってくださいね。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞこちらへ。
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