メールマガジン「秘密の皮膚科学」
2005年02月15日配信
第17号 なくてはならぬ...『防腐剤』の秘密(前編)
みなさん、こんにちは。
コスメプロデューサー・牛田専一郎です。
そろそろ春の足音も聞こえてきそうですが、
相変わらず牛田は化粧品づくりに没頭する日々を送っています。
お肌に関する相談や質問、新しい話題のリクエストなどなど、
たくさんの方からメールを頂戴していますが、
なかなか満足にお答えできていません...。
大変に申し訳なく思っています。
でも、すべてに目を通させていただいております。
そして、みなさんのメッセージがエネルギーとなり、
牛田は毎日元気に活動することができています。
本来ならばお一人お一人にお返事を差し上げるべきですが、
取り急ぎ、この場を借りて御礼を申し上げます。
みなさん、ありがとうございます!
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なくてはならぬ...『防腐剤』の秘密(前編)
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▼先週のおさらいです
前回・前々回と、2回にわたり「化粧水の秘密」をお届けしました。
そして、最後にちょこっとだけ、防腐剤のお話をしましたよね。
覚えてます? 白木さん。
「そりゃあ覚えてますとも!
○化粧水だって『水』。当然、放っておけば腐るもの。
○だから、化粧品の品質保持のため、防腐剤の配合が不可欠。
○防腐剤を入れていないことを宣伝文句にしている化粧品にも、
必ずや、防腐の働きをする成分が含まれているはず。
これがポイントでしたよね」
★化粧水の秘密(前編)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/02/15.php
★化粧水の秘密(後編)
http://hisesshoku-derm.com/archives/2005/02/16.php
正解! カンペキです。
白木さん、すっかり頼もしくなりましたね...(じ~ん)
なぁんて、白木さんの成長に感激している場合ではないんです。
反響のメールが届いているんですよ!
"私が使っている化粧水にも防腐剤が入っているのでしょうか?"
とか。
"防腐の働きをする成分名をおしえてください!"
とか。
みなさんの関心の高さを受けて、またもやムズムズ...。
牛田、居ても立ってもいられなくなってしまいました。
そこで、今回は「防腐剤の秘密」をお話しいたします!
▼いちばんメジャーな防腐剤
ひとくちに「防腐剤」と言っても、その種類はさまざま。
なかでも多くの化粧品に用いられているのは『パラベン』です。
今まで防腐剤にあまり関心がなかった...という方も、
その名前なら聞いたことがあるのではないでしょうか?
パラベンが広く使われている理由は、
化粧水・乳液・美容液...などなど
幅広い用途に用いることができるためです。
いまお近くに化粧品の容器や箱があれば、
ちょっと成分をチェックしてみてください。
すぐに『パラベン』という文字を発見できるはずです。
▼パラベンあれこれ
そして、パラベンのなかにもいくつかの種類があります。
例えば、
●メチルパラベン
●プロピルパラベン
●エチルパラベン
●ブチルパラベン
●イソブチルパラベン
...などなど。
これらは「パラオキシ安息香酸エステル」という総称でも表示されます。
また、ベンジルアルコール系である
●ベンジルパラベン
も、パラベンのひとつ。
こちらは「パラオキシ安息香酸ベンジル」という名称でも表示されます。
ちなみに、上に挙げたものはすべてパラベンの仲間ですが、
抗菌性の高さはそれぞれ異なります。
ベンジル>ブチル>プロピル>エチル>メチル
の順に抗菌性が高いとされています。
抗菌性が高いものは少量ですが、低いものは多めに配合されます。
そうしなければ防腐の効力を発揮できないからです。
つまり、毒性に差があっても、配合の際に分量を調整してしまうため、
どの種類のパラベンを使っても、結局のところはあまり違いがない...
ということになります。
▼「パラベン=悪者」のできるまで
いわゆる防腐剤の「王道」的存在のパラベンですが、その反面、
危ない、副作用がある...などのマイナスイメージが
浸透してしまっています。
そうしたイメージは何故つくられたのでしょうか?
その理由は、「成分の表示」にかかわる歴史を紐解くと明らかになります。
従来、化粧品に含まれる成分は
『アレルギー反応などのおそれのある特定の成分だけ表示すればよい』
とされてきました。
パラベンもそうした成分のひとつだったために、
「パラベンはリスクが高い成分である」
という認識が一般に広く浸透してしまったのです。
なお、その後薬事法が改正され、現在では
『全成分表示』が義務づけられるようになりました。
その名のとおり、アレルギーを起こす可能性の有無にかかわらず、
化粧品に含まれるすべての成分を
容器や箱に明記しなければならないようになったのです。
▼"自称・無添加化粧品"にご用心
防腐剤は、"腐敗"という自然現象を回避する力を持つものです。
少々荒削りな表現をするなら、防腐剤は『毒』であると言えます。
当然、人間の身体によい影響をおよぼすものではありません。
生まれつき肌の弱い人にとっては、相当の刺激になってしまいます。
そこで、肌の弱い人をメインターゲットに、
"パラベンフリー" "無添加化粧品"
などと謳われた化粧品が登場するようになりました。
しかし、本当に防腐剤が含まれていないのでしょうか?
残念ながら、答えはNOです。
先週もお話したように、化粧品だって放置すれば腐るもの。
自称・無添加化粧品は、一番よく知られている「パラベン」を
用いていないだけで、それに代わる防腐能力を持つ成分を
ちゃんと配合しているのです。
そして、そういった成分の名称もちゃんと明らかになっています。
ぜひ、今すぐお知らせしたい...のですが、
今回も長くなってきてしまいましたので、
続きはまた次回にさせていただきたいと思います。
来週は、パソコンのそばにお手持ちの化粧品をご用意ください。
「あれ、これにも防腐剤が入っていたの!」
という発見が...あるかもしれません。
どうぞお楽しみに!
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これからも牛田のお話する「秘密」をどうぞお楽しみに!
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