「非接触生活」マスター 白木さんの一日

◆白木さんの夜

(1)何はなくとも【手洗い】を

──帰宅して、まず最初にすることは?

「荷物を降ろして、コートを脱いだら、洗面所に直行!
 手洗いとうがいをします。

洗浄剤やうがい薬は使っていません。
 流水のもとで、ペーパータオルで手を拭いながら念入りに洗います」

◎牛田のチェックポイント ~ハンドソープは必要?~

肌に棲んでいる皮膚常在菌には、雑菌の繁殖を防ぐ働きがあります。
手についた雑菌やインフルエンザウイルスは、付着しているだけの
通過菌ですからそこで増殖することはありません。

そのため、日常生活では手の消毒や殺菌をする必要はないのです。

手に付着したウィルスは水道水で手を洗うだけで、物理的に洗い流すことができます。

(2)【夕食の支度】をします

──調理をする前にも手洗いを?

「ええ。もちろん手は洗いますが、手の殺菌はしていません。
 お肉を触って手がベタベタになったときは、
 ペーパータオルで手を拭うようにして洗っています」

◎牛田のチェックポイント ~調理前後の殺菌は不要~

外出後の手洗いと同じように、お湯で手を洗うだけでOK。
皮膚常在菌が増殖しやすい環境を整えましょう。

(3)ご飯を食べたら【後片付け】

──食器用洗剤はどんなものを使っていますか?

「市販の中性洗剤を使っています。
 市場に出回っているものは容器に"除菌"と書いてあるものがほとんどですが、
 直接肌に触れるものに使うわけではないので、特に気にせず選んでいます」

──食器を洗うときに気をつけていることは?

「手が荒れやすいので、ゴム手袋をして洗っています」

◎牛田のチェックポイント

<1.食器用洗剤の選び方>

よく「おすすめの食器用洗剤は?」というお問い合わせをいただきますが、
市販の商品は、除菌効果のあるものが大半ですので
具体的な商品を挙げることはできません。

<2.素手で洗うときは>

ちょっとした洗い物ならば素手で洗っている方が多いことでしょう。

ほとんどの食器用洗剤には、除菌・抗菌効果があります。
手には抗菌剤が残留しているので、その手で顔などを触らないよう注意しましょう。
石けん由来の食器用洗剤でも、手に脂肪酸の残留がありますので、洗剤に
直接触れた後は気をつけましょう。

「肌にやさしい」と謳っている洗剤も、界面活性剤です。
 手の荒れやすい方は、素手では洗剤を使わないようにしてくださいね。

手荒れの予防策として、ワセリンを薄く手につけてから食器洗いをする方法もあります。

<3.手荒れしやすい方は綿手袋の上にゴム手袋を>

手が荒れやすい方はゴム手袋をするのがおすすめですが、
ゴムの加工剤で手荒れを起こす事例もあります。

「ゴム手袋を使うと手がガサガサする」というときは、
自宅で洗濯した綿手袋をして、その上にゴム手袋をしましょう。

(4)のんびり【お風呂】でリラックス

──白木さんは長風呂で有名という噂ですが......?

「ゆっくりとお湯に浸かってリラックスしています。
 入浴剤を入れなくても、身体が温まりますよ。
 ボディソープもシャンプーも使わないぶん、丁寧に洗っています。

 でも、メイクを落としたり、入浴後にいろいろなお手入れをしていた頃に比べると
 全体的にはかなり時間短縮できたんですよ」

──具体的に、どんな手順でお風呂に入っていますか?

「長くなりそうなので、下記にまとめました~!」

<<白木さんの入浴手順>>

【1.準備】

お風呂に入る前はまず髪を丁寧にブラッシングしています。
豚毛のブラシを使って、前から。そして後ろからも。

ベタつきがちな頭頂部から、きちんと梳かします。
最初に充分にブラッシングしておくと、
洗っているときの髪の絡みも防止できます。

【2.髪を洗う】

髪を梳かし終わったら、お風呂に入ります。
片手に綿手袋をして、手袋をしていないほうの手で
地肌や髪のべたつき加減を確かめながらお湯洗髪をします。

シャワーを当てながら、ひととおり地肌を洗った後、
洗面器にお湯をためて、べたつきがちな髪の根元や
頭頂部を中心に綿手袋で洗っています。その後、シャワーですすいで終わり。

今ではうまくいくようになりましたが、最初は、シャンプーを使ったときのように
ただなんとなく全体をごしごししていました。
しかし、それだけではベタつくし、フケも気になって......。

お湯洗髪では、髪を分けながら地肌を「まんべんなく洗う」
という意識を持つことが大切ですね。

【3.顔を洗う】

普段は、手ぬぐいで軽く拭って落とせる程度のポイントメイクをしています。
その後は、顔全体をお湯で軽く洗うだけです。

肌の表面にざらざらした角栓があるときは、手ぬぐいで軽く拭って取っています。

特別なイベントがあるときなど落ちにくいアイメイクをすることもありますが、
そんな夜は、お風呂に入る前に、クレンジング剤を
しみこませたコットンで目の周りを拭きます。

その後、濡れた手ぬぐいで残ったクレンジング剤を拭き取って完了。
落ちたアイメイクやクレンジングが顔を洗ったときに広がらないよう、
洗顔前にポイントメイクをきれいにしておきます。

【4.身体を洗う】

洗浄剤を使わずに、全身を手ぬぐいで洗っています。
強くこすりすぎるとかゆくなることがあるのでやさしく洗います。

◎牛田のチェックポイント

<1.家族と同居の場合は>

シャンプー・リンス、ボディソープや石けんを使用している
家族がいるときは、お風呂の洗面器や蛇口に
脂肪酸等の一次刺激性物質が残留しています。

顔を触るときは、必ず流水のもとでペーパータオルや手ぬぐいで、手を拭うように洗いましょう。

洗面器を共用している場合は、その洗面器で髪を洗ったり、手ぬぐいをすすいだりすると、
髪や手ぬぐいに一次刺激性物質がつき、トラブルが出ることもあります。

同居のときに注意することは↓
第284号 ちょっと、が大切 『間接接触を防ぐには』の秘密

<2.小麦粉シャンプーを使うときは>

小麦粉シャンプーを使うときは使用量に注意。
さっぱりしたいがためにたくさんの量を使うと、
地肌の感覚がつかめず、充分に洗えないためかえってベタつくことも。

適量を使い、地肌の状態を確かめながら
洗い残しのないよう少しずつ丁寧に洗いましょう。

<3.髪は毎日洗いましょう>

皮膚のバリア機能を保つためにも、
頭皮の常在菌を毎日入れ替えることが大切です。

<4.お風呂に入れてもよいものは?>

香りがないとさみしい、入浴剤を入れて温まりたいというご意見もありますが、
アロマオイル、入浴剤、重曹、天然塩などはどれも入れないほうがよいものです。

それぞれ、下記のような理由があります。

  • ○アロマオイル→精油は肌に直接つくと刺激になることがあるため
  • ○入浴剤→界面活性剤が使われているものがあるため
  • ○重曹・天然塩→アルカリ性なので、肌には刺激となるため
<5.メイクの落とし方>

お湯で落とせるタイプのメイク用品にも界面活性剤は使われています。

ポイントメイクをしたまま、いきなり顔全体を洗ってしまうと、
落ちたメイクが頬などに触れてトラブルが出ることがあります。
顔全体を洗う前に、手ぬぐいやペーパータオルでポイントメイクを落としましょう。

メイク落としに使った手ぬぐいは、顔や身体に使わないように。
手ぬぐいについた界面活性剤やシリコンに
触れた部分がトラブルを起こすことがあります。

<6.浴槽用の洗剤にも注意>

抗菌剤配合の洗剤で浴槽を洗っていると、
浴槽についている抗菌剤が、背中等の触れた部分につき
かゆみ等が出る可能性があります。

(5)【お風呂あがり】のお手入れは?

──かつては、お風呂上がりの化粧水と
ボディローションが欠かせない白木さんでしたが......?

「今は顔にも身体にも、何もつけません!

髪はよくタオルドライした後、最初に目の粗い
プラスチックの'くし'で軽く梳かしたあとすぐにドライヤーでしっかり乾かします。

お風呂上がりにきちんと乾かさないと、寝癖がつきやすくなってしまうんです」

◎牛田のチェックポイント ~髪はすぐ乾かしましょう~

ドライヤーで髪をすぐに乾かしたほうが、
自然乾燥させるよりも地肌のにおいが気にならない、
というご報告があります。

(6)1日お疲れさまでした!【就寝】タイム

──寝る前にはどんなことをしていますか?

「"非接触生活"を始めてから、
 お肌については、特に何もすることがなくなってしまいました。

 日中、寒さを我慢していたり、疲れているときは
 少し肌がカサカサしているときもありますが、何もつけずに寝ています。

 体調から来るカサつきの場合は、ゆっくり休めば翌朝には肌は回復していますから」

◎牛田のチェックポイント

<1.寝る前のワセリンは基本的にNG>

カサつきがひどく、炎症やかゆみがあるとき以外は
寝る前にワセリンをつけないようにしましょう。
肌が自然に潤う力を妨げないようにしてくださいね。

<2.毛布が顔に触れないように>

自宅で洗うには大きく、コインランドリーを使っても
洗濯槽の柔軟剤等が付着する可能性のある毛布。

毛布をかけるときは、直接肌に触れないよう
カバーをつけたりして工夫をしましょう。

○以上で『白木さんの1日』は終了です!

──ここまでに挙げたポイント以外に、
  白木さんが注意していることはありますか?

「やっぱり、心と身体の健康に気を配ることが一番大切だと思います。
 "運動・栄養・休養"をバランスよく行うことですね。
 寒い季節は身体が冷えないようひざ掛けを使ったり、一枚多く着たり。

 疲れたときはおいしいものを食べてしっかり休み、
 休日にはテニスをして身体を動かしています。

 ストレスをためないこと、気持ちにゆとりを持つことも
 "非接触生活"を送るために大切なことかもしれません」

◎牛田より、最後のチェックポイント

よく、たるみや老化対策として顔をマッサージしているというメールが届きますが、
一番有効なのは全身運動で汗をかくこと。
筋肉の量を増やして(減らさずに)心身の若さを保つことが、老化防止の秘訣です。

○【1日】のまとめ  ── 「自分なりの注意点」を見つけよう ──

朝・昼・晩の注意点を見てきました。
いかがでしたか?

気をつけなければならないことが膨大にあるように思えるかもしれませんが、
いろいろなチェックポイントがあるのは、人によってライフスタイルが様々だからです。

たくさんの注意点の中から、一度「自分が気をつけるべきこと」を見つけてしまえば、
後はそれを実行するだけ。

実はとてもシンプルで、簡単なのです。

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