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2020年07月28日配信

第626号 機能繊維?『靴下や肌着で肌荒れ』の秘密

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2020/07/28━☆
    健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

           「秘密の皮膚科学」

    第626号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。


 最近では、繊維を化学的に加工して
 抗菌・防臭、吸湿発熱、接触冷感などなど。

 さまざまな機能を持たせたものが
 当たり前になってきましたね。

 そのせいか、衣類との接触でかぶれるという
 ご報告が増えてきています。
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            機能繊維?

       『靴下や肌着で肌荒れ』の秘密

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 ▼最近できた湿疹の原因は?


 湿疹や痒みのお悩みを送ってくださった
 MさんとYさんのご報告を紹介します。


 【ご報告1】

 「靴下のせい?足裏に湿疹が」Mさん
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 非接触皮膚科学生活をはじめ
 10年近く経ちました。

 私は肌が弱く、以前はよく湿疹が
 できていましたが、非接触生活を始めてから
 しばらくずっとできていませんでした。

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 しかし、最近足の裏に酷い湿疹が
 できてしまいました。靴下の素材は
 綿100%です。

 これはおかしいなと思い、最近取り替えた
 ばかりの靴下のパッケージをよく見ると
 防菌、防カビ加工がなされており
 洗っても効果は落ちません。とありました。

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 おまけに履いているスニーカーにも
 防菌、防臭加工が施されて
 いることに気づきました。

 やはりこう言った成分が湿疹の原因
 なのでしょうか?加工に気が付かなかった
 自分が情けなく愕然としています。

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 【ご報告2】

 「肌着でかゆみが出て困っています」Yさん(抜粋)
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 質問なのですが、綿100%の生地を
 勧められていますが、なぜ綿100%が
 良いのでしょうか?

 また、加工されているものを見極める
 方法はあるのでしょうか?
 大体、綿100%しか記入されておりません。。

 肌着の部分に痒みが出ており困っています。
 大変お忙しい中恐縮ですが、
 教えて頂きたいです。宜しくお願い致します。

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 肌の弱い方に綿素材の衣類を
 おすすめしているのは、化学繊維の
 生地でかぶれる方が多いためです。

 直接肌に触れるものは
 天然素材のものをおすすめしています。

 綿は通気性に優れており、
 肌触りも良く肌荒れしにくい素材です。


 「でも、綿100%表示でも
  かぶれてしまうことがあるんですね?」


 ええ。

 綿を化学的に加工したものは、
 接触によってかぶれてしまうことがあります。






 ▼落ちにくい加工で


 よく見かける布製品の加工に
 「抗菌」があります。

 抗菌とは菌の増殖を抑制することです。

 抗菌剤を生地にコーティングする方法と、
 繊維に練り込んで生地を織る方法があります。

 コーティングしたものの場合は、
 洗濯を繰り返すごとに効果は薄れていきますが、
 繊維に練り込まれている場合は、
 洗濯しても落ちにくいのが特徴です。


 「どんなものに加工されていることが
  多いのでしょうか」


 今は肌に触れるほとんどのものに
 加工がされていると言えるかもしれません。

 靴下や靴、スリッパやバスマットなど、
 足に触れるものには強い加工が
 されているものが多く見られます。

 裸足でカーペットの上を歩いていて
 足裏にカサつきが出た事例もあります。

 特に汗をかくと抗菌加工の影響を
 受けやすくなることがありますので、
 靴下からの影響は受けやすいでしょう。






 ▼加工の確かめかた


 「Yさんのおっしゃるように、
  衣類の表示には綿100%しか
  書いてませんよね」


 はい。

 繊維素材の表示は、繊維ごとの
 質量割合を%で表すことが
 義務付けられていますが、加工に
 ついては定められていません。

 ですが、Mさんのご報告のように、
 抗菌、防臭、防カビ、保湿成分配合などは
 製品の売りとしてパッケージに表示
 されていることが多くあります。

 ただし・・・

 柔軟加工は表示されてなくても
 基本的にはされていると思われますので、
 使用する前に2回程度洗濯しましょう。


 「オーガニックコットンの製品なら
  大丈夫そうに見えるのですが」


 オーガニックコットンの衣類は
 石鹸で仕上げられているものがあります。

 表示はされていませんが、
 こちらも2回以上は指定の洗剤で
 洗ってから着ましょう。






 ▼おわりに ~素材の加工もチェックしよう!~


 抗菌加工は一見清潔そうに見えますが、
 皮膚の常在菌も殺してしまいます。

 また、消臭効果がなくても、
 身体に洗浄剤を使わなくなってから
 足のにおいがしなくなったという
 ご報告も届いています。

 肌にかゆみや赤み、ニキビができやすい方は
 直接肌に触れるものは綿素材で、
 特殊な加工がされていないものを
 選ぶようにしましょう。






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  →→ https://jstcd.or.jp/contact/

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