バックナンバーメールマガジン「秘密の皮膚科学」
2019年04月23日配信
第568号 意識してる?『肌を傷めるもの』の秘密
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2019/04/23━☆
健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと
「秘密の皮膚科学」
第568号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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みなさん、こんにちは。
シニアフェローの牛田専一郎です。
「牛田さん、メルマガでは何回も
『肌を傷めない』って出てきますが......
肌が傷むとはどういうことなんですか?」
一般的には肌は少しでもこすると
ダメージになると言われることもありますね。
今回はどんなことが肌にとって
ダメージとなることなのかお話いたします。
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意識してる?
『肌を傷めるもの』の秘密
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▼肌が傷んだ状態とは?
肌はとてもデリケートと言われますが。
肌の役割は体内を守ることです。
少しこすったくらいでは傷んでしまうことは
ありません。
「肌が傷んでいる」とは、
タンパク質が変性していたり、
傷ついて修復されない状態のとき。
第566号でもお話しましたが、
皮膚の防御機能が損なわれた状態(炎症)が
続くと、その部分の色を黒く変えて
体内を守っているのでしたね。
☆第566号 夏前に?『シミの基礎知識』の秘密
炎症は、生体の防御反応で、
傷ついたり、変性を受けた細胞を分解したり
修復したりするために起こります。
▼肌を傷めるものいろいろ
「牛田さん、肌は何が原因で
傷むのでしょうか?」
肌を傷める(皮膚の防御機能を損ねる)
ものにはさまざまなものがあります。
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〇角質層が破れる(外傷)
スクラブ入りの洗顔料で洗ったり、
ナイロンタオルでごしごし
こすったりしたときなど、
物理的に角質層に傷がついた状態。
出血したり体液が滲出します。
処置が必要です。
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〇熱(高温・低温)
タンパク質は高温になると変性します。
また、0度以下の低温でも変性が起きます。
熱変性が起きた状態は、やけどの状態です。
深いやけどの場合は、修復しきれずに
色素沈着することがあります。
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〇酸変性・アルカリ変性
薬品などによってpHが極端に変化すると、
タンパク質に変性が起きます。
この性質を利用しているのがパーマです。
毛髪タンパク質のジスルフィド結合を
還元剤で切断し、カーラーで巻いて
形を作った後、酸化剤により再び
ジスルフィド結合を形成させます。
こうして元の毛髪タンパク質とは違った
立体構造に変えて、髪に癖付けを
しているのですね。
肌の弱い人は、アルカリ温泉で
カサカサになり酸性温泉では
カサカサしない傾向がありました。
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〇変性剤(一次刺激性物質)による変性
このメルマガではおなじみの、
界面活性剤や尿素など一次刺激性物質による
タンパク変性です。
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〇強い紫外線
よくご存知のことと思いますので
解説は割愛します。
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「こうして改めて見てみると、
肌を傷めるものにもいろいろ
種類があるんですね!」
そうですね、白木さん。
▼傷んだ状態を長引かせないことが大切
「肌を傷める原因として
一番多い原因は何なのでしょう?」
日常的にそれとは知らずに触れるものの中では、
変性剤(一次刺激性物質)が一番多いです。
タンパク質を変性させるものについて
見てきましたが。
変性して損傷したタンパク質は、
すぐに分解され、修復されています。
☆第141号 お茶に渋味を感じる理由『タンパク変性』の秘密
タンパク質の分解と修復は、
分子レベルではミリ秒(1/1000)単位で
行なわれているそうです。
皮膚のタンパク質もそのように
修復されていれば、肌トラブルは
起こらないはずですが......
実際には同じ接触があっても、
皮膚トラブルが起きてしまう人と、
起こらない人がいます。
その理由は明らかになっておりませんが。
▼まとめ ~傷んだ状態を続けないことが大切~
今回は肌にダメージを与えるものに
ついてご紹介しました。
白木さん、いかがでしたか?
「一次刺激性物質との接触以外は、
薬品や高温など、極端な環境での
ダメージですね」
そうですね。
肌は意外と丈夫なのです。
接触の影響を受けやすい肌の弱い人は、
・「肌を傷めるもの」と接触をしない
・接触した状態を続けない
ことを普段から意識できれば、
肌のトラブルを減らすことができますよ。
☆ご相談・ご質問など、お気軽にどうぞこちらへ。
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