メールマガジン「秘密の皮膚科学」

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2016年03月01日配信

第498号 もっとキレイになる?『化粧品の効果』の秘密

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2016/03/01━☆
     健康な素肌を取り戻すために知ってほしいこと

            「秘密の皮膚科学」

     第498号 発行者:シニアフェロー 牛田専一郎
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 みなさん、こんにちは。
 シニアフェローの牛田専一郎です。

 かつてはお問い合わせの大半を占めていた
 "化粧品を使わないことへの不安"の声。

 近年は減少傾向にあります。
 関連書籍が増えたおかげかもしれません。

 しかしこのごろ、再び
 化粧品についてのお問い合わせが増えてきています。

 さまざまな機能・効果があることを期待させるような
 化粧品が次々と開発されているようなのです。

 今回は久しぶりに『化粧品』についてお話します。

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           ── もっとキレイになる? ──

             『化粧品の効果』の秘密

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 ▼化粧品の広告をよくよく見ると


 化粧品の広告には
 『成分が肌の奥深くまで浸透します』
 という表現がよく使われていますね。

 その広告をよーく見ると......

 必ず『※角質層まで』という注釈がついています。

 このことに気づいた読者から、
 こんなメールをいただきました。



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  『角質には効果があるのでしょうか』(40代・女性)
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  角質について質問です。

  一般的に化粧品は角質まで届くそうですが、
  角質を美白したり、シワ防止に潤いやハリをもたせたり
  することには、効果があるのでしょうか?

  化粧品の広告に"角質まで"と小さく書いてあったので
  そんな疑問を持ちました。

  角質まではコーティング効果がある、という風に
  考えてもいいのかなと思ったのですが。


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 ▼白木さんも疑問に思っていました


 「そうそう、書いてありますよね。
  なぜ『角質層まで』という注釈がつくのでしょうか?」


 PRに『浸透』という表現を使う場合は
 『角質層まで』という但し書きをつけることが
 薬事法で義務づけられているからです。


 「なるほど、法律で決められていることなんですね。
  "この化粧品の成分は角質層まで浸透しますよ"
  という意味なのでしょうか?」


 白木さんと同じように思う方は多いかもしれませんが......

 この但し書きは
 角質層まで浸透することを保証しているわけではありません。

 消費者に効果を誤認させないよう、
 広告の表現を制限しているだけ。
 というのが実情です。






 ▼化粧品は"効果があってはいけない"もの


 「そういえば以前に牛田さんが話してくれたことがありましたね、
  化粧品は効能や効果を表現できないものだ、って」

   ☆第80号 『守ってる? 薬事法』の秘密(1)
    http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/06/80.php   

   ☆第81号 『守ってる? 薬事法』の秘密(2)
    http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/06/81.php


 よく覚えていましたね。

 薬事法では、医薬品や化粧品を次のように定義しています。

┌────────────────────────────
| 
| ●医薬品:
|  治療や予防に使用することを目的としたもので
|  身体の構造または機能に影響を及ぼすことが
|  目的とされているもの。
|  
| ●医薬部外品:
|  人体に対する作用が緩和で、効能・効果が期待できるもの。
|  
| ●化粧品:
|  人の身体を清潔にし、美化し、容貌を変え
|  皮膚・毛髪を健やかに保つことを目的としたもの。
|  効能・効果を表現できない。
|  
└────────────────────────────


 医薬品や化粧品を管轄する厚生労働省は
 『化粧品は、安全性の面から、効能・効果があってはいけない』
 という立場をとっています。

 消費者に効果があると思わせないよう、
 化粧品広告の表現範囲も厳しく制限されています。

 化粧品は、肌につけることで
 潤いやハリがあるように"見せる"ものであり、
 肌への実際の作用は期待できないものなのです。






 ▼肌に合う化粧品なら大丈夫?


 化粧品の使用について、
 最近こんなメールをいただきました。


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  『オーダーメイドの化粧水を購入したのですが』(女性)
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  最近、とても肌の調子がよくなってきました。

  以前は生理周期により、生理前などはどうしても肌がくすんだり、
  吹き出物が出たりしていたのですが、ここ最近は
  生理前になってもそういう肌トラブルが少なくなり、
  とても安定しています。

  また、シミですが、一時期とても増加して
  ものすごく心配になったのですが、減ったというより、
  シミ以外の肌の調子が良くなったことで、
  シミがあっても、そんなに肌が汚い感じがしません。

  シミも以前より薄くはなってきており、
  肌断食を続けてよかったなと本当に実感しています。

  ただ、ここ最近、肌の調子が良くなってきたこともあり、
  シミをやっぱりなんとかしたいと、
  今、ネットで話題になっている
  オーダーメイドの化粧水を購入してしまいました。

  化粧水を寝る前につけるだけでシミが良くなる、
  ということでしたが、一度つけただけで
  翌朝の肌がなんだかくすんでいるような気がし、
  すぐに使用をやめました。

  やっぱり、いくら自分にあった化粧水というものであっても、
  つけない方が良いですよね?

  というより、つけない状態の方がやはり肌の調子も良かったので、
  今後は非接触生活においても、こういった宣伝文句に
  流されないよう、気をつけないといけないなと思いました。

  また、肌断食の効果が、肌の状態が良くなるだけでなく、
  自分自信の内側を見つめる良いきっかけにもなり、
  本当に感謝しています。

  今後も肌断食をずっと続けていこうと思います。

  
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 白木さん、うんうんと頷きながら読んでいましたね。


 「肌の調子が良くなってくると、
  化粧品を使ったらもっとキレイになれるかも!
  って思うときがあるんですよね」


 自分の肌に合う化粧水なら使っても大丈夫なのでは?
 と思う方も多いようですが......

 ほとんどの化粧品には、使用感を高めるために
 界面活性剤などの一次刺激性物質が使用されています。

 一次刺激性物質が含まれていなくても、
 しっとりしたものを肌につけたままにしておくと
 皮膚生理が妨げられ、肌の弱い方は影響を受けてしまいます。


 「つまり、肌に良い影響を与える化粧品はない。
  ということでしょうか?」


 残念ですが、そのとおりです。
 "肌に合う、合わない"はよく使われるフレーズですが、
 『肌に合う化粧品』は、そもそも存在しないのです。

  ☆バックナンバーでもお話しています
   第337号 基準にできる?『肌に合う・合わない』の秘密
   http://hisesshoku-derm.com/archives/2012/11/337.php



 化粧品は"つけたほうがよいもの"ではありません。
 肌の弱い方は、広告に惑わされず、
 全成分を確認してくださいね。



 
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  →→ http://jstcd.or.jp/contact/

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